LEDテープの施工で意外と判断が分かれるのが「配線に単線を使うか、より線(撚線)を使うか」です。家庭用VVFの単線をそのまま末端まで引っ張ってコネクタに挿し、緩みや断線でトラブルになる例は少なくありません。単線とより線はそれぞれ向き不向きがはっきりしており、配線箇所ごとに正しく選べば、接触不良・断線・発熱を確実に減らせます。このページでは両者の違い、用途別の使い分け、断面積(sq)別の許容電流早見表、より線の端末処理まで施工業者の目線で整理します。
1. 単線とより線(撚線)の違い(基本比較)
| 比較項目 | 単線(ソリッド) | より線(撚線・ストランド) |
|---|---|---|
| 構造 | 1本の太い銅線 | 細い素線を多数より合わせ |
| 代表例 | VVF・IV単線 | KIV・機器配線用ビニルコード・VCTF |
| 柔軟性・取り回し | 硬く曲げにくい | 柔らかく狭所・曲げに強い |
| 繰り返し曲げ耐性 | 折り曲げ反復で金属疲労・断線 | 可動部に強い |
| 固定配線の納まり | 形が保持され直線が出る | たわむため固定にひと手間 |
| 差込端子への適性 | 差し込み式に挿しやすい | 素線がばらけやすく要処理(棒端子) |
| はんだ付け(テープ端) | 可だが硬く扱いにくい | なじみやすく好適 |
| 向く箇所 | 天井裏・壁内の隠蔽固定(幹線) | 什器内・可動部・末端・コネクタ/テープ接続 |
判断の起点はこの2つ: ①その配線は「固定して動かさない」か「曲げる・動く」か。②先端は「何に接続する」か(差込端子・端子台・コネクタ・テープへ直はんだ)。動く/曲げる・末端側はより線、据え置きの幹線は単線が基本です。
2. LEDテープ配線でどちらを使う?(用途別の使い分け)
1本の系統でも、幹線側と末端側で電線を使い分けるのが実務的です。電源から器具近くまでは単線で引き、最終のテープ・コネクタ接続はより線でなじませる、という構成が扱いやすく信頼性も高くなります。
| 配線箇所 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 天井裏・壁内の隠蔽幹線(固定) | 単線 | 形が保持され納まりが良い。動かさないため断線リスク低 |
| 什器・棚・カウンター内の取り回し | より線 | 狭所で何度も曲げる。柔軟性が必要 |
| 扉・引き出し・可動間仕切りの渡り | より線 | 開閉で繰り返し屈曲。単線は金属疲労で断線 |
| LEDテープへの直接はんだ付け | より線 | ランドになじみやすく、根元が曲げに強い |
| 差込コネクタ・中継コネクタへの挿入 | より線+棒端子 | 素線のばらけ防止に棒端子。単線も可だが太さ適合に注意 |
| ねじ式端子台・WAGO等への接続 | どちらも可(より線は棒端子) | より線ははんだ上げせず棒端子で。端子台・WAGO接続の解説参照 |
| 屋外サイン内・振動のある箇所 | より線 | 風・振動の繰り返し応力に強い |
よくある失敗: 什器の扉に渡す配線にVVF単線を使い、開閉の繰り返しで根元が金属疲労 → 数か月後に断線して片側が消灯。可動部・繰り返し曲げの箇所は必ずより線を使い、屈曲点には余長(サービスループ)を取って応力を逃がします。
3. 断面積(sq)と許容電流の早見表
電線の太さは「断面積(sq=mm²)」で表します。下表は機器配線用ビニル電線の一般的な許容電流の目安です(製品・敷設条件で変わるため、必ず使用ケーブルの仕様値で確認してください)。LEDテープは低圧(12/24V)で電流が大きくなりがちなので、余裕を見て選びます。
| 断面積 | AWG目安 | 許容電流の目安 | LEDでの主な用途 |
|---|---|---|---|
| 0.3sq | AWG22 | 約3A | 短い末端の渡り・小容量テープ |
| 0.5sq | AWG20 | 約5A | 什器内の末端配線 |
| 0.75sq | AWG18 | 約7A | 一般的な分岐・中継 |
| 1.25sq | AWG16 | 約12A | 幹線・複数テープの送り |
| 2.0sq | AWG14 | 約17A | 大容量幹線・長距離給電 |
低圧は「許容電流」だけで決めない: 12V/24Vは同じワットでも電流が大きく、長距離では電圧降下で末端が暗くなります。許容電流に余裕があっても、距離が長いときは1ランク太くするか両端給電を検討してください。許容電流=発熱の上限、電圧降下=明るさ低下、の二つを別々に満たす必要があります。
4. 電流の求め方と太さ選定(計算)
まず系統に流れる電流(A)を求め、その電流に対し許容電流が余裕をもって上回る太さを選びます。
// 例: 24V・96W(4.8W/m × 20m)の場合
電流 = 96W ÷ 24V = 4.0A → 余裕を見て 0.75sq(約7A)以上を選ぶ
// 同じ96Wでも12Vなら…
電流 = 96W ÷ 12V = 8.0A → 1.25sq(約12A)以上が安全
同じワット数でも電圧が低いほど電流が倍増する点に注意してください。12Vは24Vの2倍の電流が流れるため、必要な電線も太くなり、電圧降下も大きくなります。電圧選定の考え方は配線ケーブルの太さの選び方も併せて確認してください。
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5. より線の正しい端末処理(棒端子・はんだ上げ禁止)
より線はそのまま端子に挿すと素線がばらけ、1〜2本が外れて接触面積が減り発熱します。正しい端末処理で確実に締結します。
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差込端子・端子台には棒端子(フェルール)を圧着 より線の先端に絶縁スリーブ付き棒端子を専用工具で圧着。素線のばらけと抜けを防ぎ、締め付けが安定する。
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ねじ式端子へ「はんだ上げ」した先端を入れない 予備はんだで固めた先端はクリープ(時間変形)でねじ圧が抜け、緩み・接触不良・発熱の原因に。端子台には棒端子を使う。
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テープへの直はんだは予備はんだ+本付け ランドとより線の双方に予備はんだをのせてから素早く本付け。はんだ付けの基礎の手順に従い、根元はより線で曲げに備える。
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屈曲点に余長と固定を設ける 可動部・根元はサービスループで応力を逃がし、結束で固定。引っ張り・繰り返し曲げが端子や半田に直接かからないようにする。
「はんだ上げ=丁寧」ではない: より線をねじ端子に入れる前にはんだで固める処理は、一見きれいでも長期的にはクリープで緩みます。圧着の棒端子が正解です。一方でテープへの直接はんだ付けは適切な接続方法——「どこに・何で接続するか」で正解が変わる点を押さえてください。
6. 電線選定チェックリスト
- その配線が「固定して動かさない幹線」か「曲げる・動く末端」かを区別したか
- 可動部・扉・繰り返し曲げの箇所はより線を選び、屈曲点に余長を取ったか
- 幹線は単線で納まりを出し、末端のテープ・コネクタはより線でなじませたか
- 合計ワット÷電圧で電流を求め、許容電流に1.5倍程度の余裕を持たせて太さを選んだか
- 12V系は24V系の2倍の電流になることを踏まえ、太さと電圧降下を確認したか
- より線を差込端子・端子台に使う箇所に、棒端子(フェルール)を圧着したか
- ねじ式端子へ「はんだ上げした先端」を入れていないか(クリープ緩み対策)
- テープへの直接はんだは予備はんだ+本付けで行い、根元をより線にしたか