「細すぎて過熱・電圧降下」「太すぎてコスト増」を防ぐ。電気工事業者向けケーブル選定の完全手順
LEDテープ施工では電源容量(W・A)だけを確認して配線ケーブルの太さを軽視するケースが多く、細すぎるケーブルによる過熱・絶縁劣化・火災リスクや電圧降下による輝度不均一が発生します。電源が正常でも配線が細ければトラブルは起きます。
ケーブルには電気抵抗があり、細いほど抵抗値が高くなります。電流が流れると抵抗によって発熱(P = I² × R)と電圧降下(V = I × R)が起きます。LEDテープは電圧に敏感なため、配線で1〜2Vの損失が生じると端部が著しく暗くなります。
また、ケーブルが電流容量(定格値)を超えると絶縁被覆が溶け、最悪の場合は火災につながります。LED照明は長時間通電が前提であるため、電流に対して適切なケーブルの選定は安全施工の基本です。
基本原則:ケーブルの定格電流はテープの実際の電流値の125%以上を確保する(実電流は定格の80%以下で使用)。
例:実電流5Aなら定格6.25A以上のケーブルを選ぶ → 0.75mm²(定格7A)が最低ライン、余裕を見て1.25mm²(定格12A)推奨。
日本市場では断面積(mm²)表記が主流ですが、海外製のLEDテープ製品には AWG(American Wire Gauge)表記のケーブルが付属することがあります。以下の対応表を参照してください。
| AWG | 断面積(mm²) | 外径(概算) | 連続定格電流(目安) | LEDテープでの用途例 | 推奨 |
|---|---|---|---|---|---|
| AWG 22 | 0.32mm² | 約1.4mm | 3A以下 | 信号線・調光器制御線のみ | 電源配線NG |
| AWG 20 | 0.52mm² | 約1.6mm | 5A以下 | 12V低電力テープ(〜3W/m・2m以内) | 短距離小電流のみ |
| AWG 18 | 0.82mm² | 約2.0mm | 7A以下 | 12V〜24V中電力テープ(5W/m以下・5m以内) | 汎用標準 |
| AWG 16 | 1.31mm² | 約2.6mm | 12A以下 | 24V高輝度テープ(10W/m前後・10m以内) | 業務用推奨 |
| AWG 14 | 2.08mm² | 約3.0mm | 20A以下 | 24V大電力テープ(15W/m以上)・長尺幹線 | 大電流・長尺対応 |
| AWG 12 | 3.31mm² | 約3.7mm | 30A以下 | 大型看板・複数回路の幹線配線 | 大規模施工向け |
※電流容量は周囲温度30℃・単線・露出配線を想定した目安値です。束線・高温環境・管内配線では定格を下げて計算してください。
【計算例】24V・8W/m × 10m = 80W → 最大電流 80÷24 = 3.3A → 必要定格 3.3×1.25 = 4.2A
→ AWG18(定格7A)で問題なし。
電圧降下確認:AWG18の導体抵抗≒0.022Ω/m × 10m × 2 = 0.44Ω → 3.3A × 0.44Ω = 1.45V降下
→ 24V × 5% = 1.2V(許容値を若干超過) → 配線を短くするか AWG16 に変更推奨。
| テープ仕様 | 電圧 | 長さ | 最大電流 | 推奨ケーブル | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4.8W/m(低電力) | 12V | 2m | 0.8A | AWG20以上(0.52mm²) | カウンター下・棚下の短尺 |
| 4.8W/m(低電力) | 12V | 5m | 2.0A | AWG18以上(0.82mm²) | 間接照明標準施工 |
| 9.6W/m(中電力) | 12V | 5m | 4.0A | AWG18(0.82mm²) | 電圧降下は要計算確認 |
| 9.6W/m(中電力) | 24V | 10m | 4.0A | AWG18(0.82mm²) | 24Vで電流半減・降下少 |
| 14.4W/m(高電力) | 24V | 10m | 6.0A | AWG16(1.31mm²) | 業務用高輝度テープ標準 |
| 20W/m(超高電力) | 24V | 10m | 8.3A | AWG16(1.31mm²)以上 | 屋外看板・大型サイン向け |
| 幹線(複数系統集約) | 24V | — | 15A超 | AWG14(2.08mm²)以上 | 電源BOXからの主幹線 |
計算した最大電流の1.25倍の定格電流を持つケーブルを選ぶ。これが安全施工の絶対条件。ケーブルの発熱・絶縁劣化・火災リスクを防ぐ最重要基準。
電流容量をクリアしても配線が長い場合は電圧降下を計算する。許容値は定格電圧の±5〜10%以内。超える場合はケーブルを1ランク太く変更するか、電源をテープ近くに設置。
管内配線・束線・40℃超の高温環境では定格電流を70〜80%にデレーティングする。夏場の屋外・厨房・機械室内では特に注意。高温環境では1ランク上の太さを選ぶ習慣をつける。