飲食店・カフェ・アパレル・美容院の内装照明で、LEDテープを使った間接照明は今や標準的な選択肢になっています。しかし、「とりあえず電球色の LEDテープを買ってきた」では、完成した空間が想定と違う——という失敗が現場では繰り返されています。店舗照明は色温度・演色性・発光の均一性・調光対応・電源容量の5点が一致して初めて「プロの仕事」になります。本記事では、内装施工会社・電気工事業者・店舗設計士が押さえるべき5つの選定ポイントを業種別の推奨仕様と合わせて解説します。
ポイント1 — 色温度の選定(業種・空間コンセプトから逆算)
色温度(K: ケルビン)は、照明の「光の白さ」を示す指標です。低いほど赤みがかった暖かい光、高いほど青みがかった白い光になります。
店舗・飲食店で使われる主な色温度帯:
| 色温度 | 色の特徴 | 雰囲気 | 主な業種 |
|---|---|---|---|
| 2700K(電球色) | オレンジがかった温かい白 | ラグジュアリー・リラックス | 高級レストラン・バー・ホテルラウンジ |
| 3000K(温白色) | わずかに温かみのある白 | 落ち着き・品質感 | カフェ・ビストロ・アパレル |
| 4000K(白色) | 中性的な白 | 清潔・明快 | ファストフード・ドラッグストア・オフィス |
| 5000K(昼白色) | 自然光に近い白 | 活気・視認性 | 美容院・精肉・鮮魚・診療所 |
業種別の推奨色温度:
- カフェ・バー・ビストロ: 2700〜3000K — 料理と空間の「温かさ」を演出
- 居酒屋・大衆飲食店: 3000K — 活気を持ちながら料理を美味しく見せる
- アパレル(ラグジュアリー): 3000K — 商品の質感・素材感を引き出す
- アパレル(カジュアル): 4000K — 明るく活気ある演出
- 美容院・ネイルサロン: 5000K — カラーリング・仕上がり確認のために自然光に近い色
- 食品スーパー精肉・鮮魚: 5000K(鮮魚はさらに高め) — 食材の鮮度感を強調
ポイント: 間接照明は空間全体の「ベースカラー」を決める要素です。スポットライト(目的照明)と組み合わせる場合は、間接照明を低め(2700〜3000K)・スポットを高め(3000〜4000K)に設定すると立体感が出ます。
ポイント2 — 演色性(Ra値)の選定(料理と商品の「見え方」が変わる)
演色性(Ra値 / CRI値)は、その光の下で物の本来の色がどれだけ正確に見えるかを示す指標です。Ra100 が自然光と同等で、Ra80 未満だと料理・商品の色が実物と異なって見えます。
| Ra 値 | 特性 | 推奨用途 |
|---|---|---|
| Ra75 以下 | 色の再現性が低い | 倉庫・駐車場など色の正確さが不要な場所 |
| Ra80 | 一般的な業務照明の標準 | オフィス・廊下・バックヤード |
| Ra90 | 色の再現性が高い | 飲食店・アパレル・カフェ |
| Ra95 以上 | 自然光に近い演色 | 美容院・宝飾品・ギャラリー・精密な色確認が必要な場所 |
店舗・飲食店では最低 Ra80、できれば Ra90 以上を選定基準にします。
特に以下の業種では Ra90 以上が実質的な必須条件です:
- 飲食店(料理の色を正確に見せる): Ra90 以上で肉の赤み・野菜の緑が本来の色に見える
- 美容院(髪色・メイクカラーの確認): Ra95 以上が標準。Ra80 では染め上がりの色が店内と屋外で違って見える
- アパレル(ファブリックカラーの忠実表現): Ra90 以上でリターン率の低下につながる
LED PRO SHOP のラインナップでの対応: LED PRO SHOP の全COBテープは Ra>90 標準仕様で、店舗・飲食店・アパレルのRa90推奨基準を全品種で標準クリアしています。Ra95以上が必要な美容院・宝飾品・スタジオ用途は型番選定でお問い合わせください。
ポイント3 — 均一発光の確保(ドット感のない「プロの仕上がり」)
間接照明で最も質感に差が出るのが「発光の均一性」です。天井コーブや壁面スリットから光を出すとき、LEDチップの粒が見える「ドット感」があると空間の品質が著しく下がります。
対策の選択肢(優先順位順):
- COBテープを使う: ドット感がほぼゼロの連続発光ライン。アルミフレームに収めるだけで均一な光の線になる。追加の拡散処理が不要なため施工が簡潔。
- 高密度SMDテープ+乳白拡散カバー: チップ密度が高い SMD(120chip/m 以上)を乳白 PC カバーで拡散。コストは下がるが拡散カバーの光損失(5〜20%・カバー材質と厚みによる)が発生。
- 乳白アクリル越しの設置: テープを建材(乳白アクリル)の裏に隠す設計。意匠設計と連携が必要で後からの調整が難しい。
店舗・飲食店の間接照明では、COBテープ+アルミフレーム(乳白カバー付き)の組み合わせが現在の業務施工における事実上のスタンダードです。
COBテープカテゴリを見る | アルミフレームカテゴリを見る
ポイント4 — 調光対応と制御システムの選定
店舗照明では、昼間・夕方・夜間・閉店前といった時間帯ごとの明るさ調整が求められます。また、飲食店のディナータイムのような「雰囲気を変える」場面でも調光は欠かせません。
主な調光方式と特徴:
| 調光方式 | 特徴 | 適した規模 |
|---|---|---|
| PWM 調光(トライアック調光) | 一般的・コスト安 | 小規模店舗・単純な明暗調整 |
| 0-10V 調光 | 滑らか・精密・ちらつき少ない | 中規模店舗・複数ゾーン |
| DALI 調光 | 個別アドレス制御・デジタル | 大型施設・複数ゾーン精密制御 |
| スマート(Wi-Fi / BLE) | スマホ操作・シーン記憶 | 新規店舗・リノベーション |
導入時の注意点:
- LEDテープ・ドライバ・コントローラ・調光器の調光方式を必ず一致させること(不一致でちらつきが発生)
- 調光下限(最低輝度)を事前確認(LEDの種類によって調光下限が違い、暗くなりきらない場合がある)
- PWM 周波数が低いと動画撮影時にフリッカーが映り込む(飲食店の Instagram 投稿・撮影用途がある場合は高周波対応品を選定)
ポイント5 — 電源容量と配線計画(あとから増設できる設計)
店舗照明の電源設計で最もよくある失敗が「後から照明を追加したら既設の電源では容量不足になった」パターンです。
電源容量計算の基本:
- 使用するLEDテープの消費電力(W/m)を確認
- 使用する総テープ長さ(m)を計算
- 消費電力 × 長さ = 必要電力(W)
- 必要電力の 1.2〜1.3倍の容量の PSU を選定(負荷率 80%設計)
具体例:
- カウンター下 3m + 天井コーブ 8m = 合計 11m
- COBテープ 10W/m の場合: 11m × 10W = 110W(COB24シリーズの一般的な目安として10W/mで試算。正確な値は型番ごとに商品ページの仕様欄でご確認ください)
- PSU 容量: 110W × 1.25 = 137.5W 以上 → 150W〜200W PSU を選定
配線計画での注意点:
- 将来の増設スペースを確保: 電源容量に 30% 程度の余裕を持たせると後から追加できる
- ゾーン分け: カウンター・ホール・個室を別回路にすることで調光の独立制御が可能
- 電圧降下の計算: 長尺(5m 以上)では 24V テープを優先して電圧降下を抑える
まとめ — 業種別 推奨仕様早見表
| 業種 | 色温度 | Ra値 | 発光方式 | 調光 |
|---|---|---|---|---|
| 高級レストラン・バー | 2700K | Ra90 以上 | COB | 0-10V / DALI |
| カフェ・ビストロ | 3000K | Ra90 以上 | COB | PWM / 0-10V |
| 居酒屋・大衆飲食店 | 3000K | Ra80 以上 | COB or 高密度SMD | PWM |
| アパレル(ラグジュアリー) | 3000K | Ra90 以上 | COB | 0-10V |
| アパレル(カジュアル) | 4000K | Ra80 以上 | COB or SMD | PWM |
| 美容院・ネイルサロン | 5000K | Ra95 以上 | COB | PWM / 0-10V |
5つのポイントを一枚の仕様書に落とし込んで、発注前に設計士・電気工事業者と共有することを推奨します。LED PRO SHOP では、用途・業種・平面図をもとにした選定相談もお問い合わせフォームで受け付けています。