屋外や水回りにLEDテープを施工する際、必ず確認すべきが防水規格(IPコード)です。「IP65対応と書いてあるから大丈夫」と判断して施工したところ、半年で浸水して点滅が止まらなくなった——というトラブルは、現場では珍しくありません。IP65・IP67・IP68はいずれも「防水対応」と表現されますが、保護レベルと使用条件は大きく異なります。本記事では、業務施工の現場目線で3つの等級の違いを整理し、用途別の選定早見表と、LED PRO SHOPの防滴・防水・防熱ラインナップとの対応を解説します。
IPコードとは何か — 2桁の数字が意味するもの
IPコード(Ingress Protection)は、IEC 60529 規格に基づく「外部からの固体・液体の侵入に対する保護等級」を示す国際規格です。「IP65」「IP67」「IP68」の場合、数字は2桁で構成されており、それぞれ別の保護内容を表しています。
| 数字の位置 | 意味 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 第1数字(0〜6) | 固体異物からの保護 | 6 = 完全防塵(粉塵の侵入なし) |
| 第2数字(0〜9K) | 液体の侵入からの保護 | 5 = 噴流水 / 7 = 短時間水没 / 8 = 継続水没 |
LEDテープの屋外施工で問題になるのは主に第2数字(液体保護)です。IP65・IP67・IP68 はいずれも第1数字が「6」(完全防塵)なので、粉塵環境での差異はありません。決定的な差は水への耐性にあります。
IP65 — 噴流水に対する保護
IP65 は、あらゆる方向からの噴流水(ウォータージェット)に対して保護されている等級です。具体的には「内径 6.3mm のノズルからあらゆる方向に噴射される水流に対し、12.5L/min で最低3分間耐えること」が試験条件です。
IP65 が適切な環境:
- 軒下・庇(ひさし)の下の外壁照明(雨がかかる可能性はあるが水没はしない)
- 半屋外の飲食店テラス・屋根付き駐車場
- 定期的に水洗いする什器内部(防塵目的との兼用)
- 屋内の高湿度環境(プールサイドの乾燥エリア・厨房の蒸気帯)
IP65 では不十分な環境(IP67/IP68 が必要):
- 雨に直接当たる開放外壁・屋外サイン
- 地面近く・排水溝付近など水がたまりやすい場所
- 強い雨のかかる外構・エントランス
IP67 — 短時間の水没に対する保護
IP67 は、「水深 1m の水中に 30 分間沈めても内部に浸水しない」ことを保護条件とします。IP65 との最大の違いは、一時的な水没に耐えられる点です。
IP67 が適切な環境:
- 雨ざらしの屋外サイン・外壁照明(日本の降雨環境で最低限の選択肢)
- 外構・ガーデンライト・塀の上部照明
- 高圧洗浄機による定期清掃が想定される場所
- 小規模な水景設備(噴水の外周・池の縁)
実務上の注意点: IP67 であっても、コネクタ・接続部・端末処理は防水処理が必要です。テープ本体が IP67 でも接続部が無処理なら浸水の起点になります。
IP68 — 継続的な水没に対する保護
IP68 は「メーカーが指定した水深・時間での継続水没に耐える」等級です。IP67 より条件が厳しく、水中での継続使用を前提とした設計になっています。
IP68 が適切な環境:
- プール・池・噴水の水中照明
- 浴槽・スパの水中設置(ただし医療・安全規格を別途確認)
- 護岸・ウォーターフロントの水面以下の演出照明
- 常時水分にさらされるグラウンドラインや地中埋込施工
業務施工における防水等級の選定基準
IP規格の数字を把握していても、「現場でどれを選べばいいか」の判断に迷うケースが多いです。以下の早見表を基準にして選定してください。
用途別 防水等級 選定早見表
| 用途・環境 | 推奨等級 | 理由 |
|---|---|---|
| 屋内什器・棚下(乾燥) | 防水不要(標準品) | 結露・水滴の可能性なし |
| 屋内高湿度(厨房・浴室隣接) | IP65 | 蒸気・水滴の付着対応 |
| 軒下・庇下(雨かかりあり) | IP65〜IP67 | 横方向の雨には IP67 が安全 |
| 屋外サイン・外壁(雨ざらし) | IP67 | 日本の降雨環境に対して最低ライン |
| 外構・ガーデン・塀上部 | IP67 | 水たまり・雨水流入リスクあり |
| プール・水景・水中 | IP68 | 継続水没が想定される |
| 屋外地中埋込・水路際 | IP68 | 土中水分の継続浸透あり |
重要: 防水等級はテープ本体の等級です。現場施工では接続部・端末処理・コネクタ・アルミフレームへの固定方法も防水設計に含まれます。テープを IP67 にしても接続部を屋外露出にすると意味をなしません。
LED PRO SHOP ラインナップとの対応
LED PRO SHOP では、防水対応を3段階で提供しています。
| 品番末尾 | 分類 | 対応 IP 等級目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| (なし)標準品 | 非防水 | — | 屋内乾燥環境 |
-BT(防滴) |
シリコンコーティング | IP65 | 軒下・半屋外・高湿度屋内 |
-BS(防水) |
ゲルコーティング | IP67 | 屋外サイン・雨ざらし外壁 |
-BN(防熱コーティング) |
耐熱シリコン充填 | IP20相当+耐熱(防水非対応) 高温環境(最大80℃) 水中・水回り用途は -BS を選択 |
サウナ・温浴施設・厨房など高温環境 |
COBテープライト(防滴・防水バリエーション)カテゴリを見る
屋外施工でよくある施工ミスと対処法
接続部の防水処理の欠如
最も多いトラブルは「テープ本体は IP67 なのに接続コネクタが屋外露出になっている」ケースです。LEDテープの接続部は構造上、防水コネクタを使わない限り無防備になります。
対処法:
- 防水コネクタ(IP67 対応品)を使用する
- 接続部を自己融着テープ+熱収縮チューブでシーリングする
- 接続部を屋内・庇内に収めてテープのみ屋外に出す設計にする
アルミフレームへの収めと防水の関係
アルミフレームにLEDテープを収納する場合、フレーム自体の防水性能はありません。フレームを屋外で使用する場合は、エンドキャップとシーリング材(シリコンコーキング)で端末処理を行うことが必須です。
IP等級の「試験条件」と「施工環境」のギャップ
IP試験は実験室条件での単体評価です。現場施工では、テープの曲げ・切断・コネクタ接続・フレームへの固定・熱膨張収縮のサイクルによって、工場出荷時の防水性能が低下する可能性があります。屋外施工では等級の1段階上を選ぶ(軒下用途なら IP65 ではなく IP67)のが実務上の安全設計です。
防水等級の確認方法と購入時のチェックポイント
LEDテープを発注する際、防水等級を正確に確認するための5点チェックリストです。
- IP等級の明示: 仕様書・商品ページに「IP65」「IP67」「IP68」が明記されているか(「防水」という曖昧な表記のみは注意)
- 試験規格の準拠: IEC 60529 または同等規格への準拠表示があるか
- コーティング方式の開示: シリコンコーティング・ゲルコーティング・充填方式の違いが開示されているか
- 接続部の防水対応: 接続コネクタの IP 等級が開示されているか(テープ本体と別評価が原則)
- 切断・再接続後の防水性: 切断部の再処理が必要かどうか、処理方法が示されているか
LED PRO SHOP の防水バリエーション(-BT / -BS)はコーティング方式と対応 IP 等級目安を商品ページに明示しています。選定に迷う場合は、用途と環境を添えてお問い合わせフォームからご相談ください。
まとめ — 防水規格の選び方3原則
- IP65 は「防滴」の上限 — 雨ざらし屋外では不十分: 日本の降雨環境で開放外壁・屋外サインに使う場合、最低でも IP67 を選択する。
- テープ本体の等級だけでなく接続部・端末処理を同等に保護する: 防水テープを使っても接続部が無処理では意味をなさない。
- 用途に迷ったら「1段階上」を選ぶ: 等級ダウンによるトラブルは交換工事が発生するが、等級アップのコスト差は施工費用に比べて軽微。