LEDテープ施工で「電源(PSU)が思ったより早く落ちた」「2年で電解コンデンサが膨らんだ」というトラブルの大半は、容量計算の段階で安全率を取り切れていないことに起因します。本記事では、業務用LEDテープの W/m × 配線長 × 安全率 を軸に、6W/m〜24W/m × 1〜20m の容量早見表をまとめました。12V系・24V系で電流値が倍違う点、並列分岐での電圧降下、定電圧電源の力率まで、現場で迷わない判断基準をご提供します。

PSU 容量計算の基本式

LEDテープ用電源容量の計算式はシンプルです。

必要PSU容量(W) = テープのW/m × 使用長(m) × 安全率(1.2〜1.3)

ここに3つの要素があり、業務施工での失敗はほぼこの3要素のどこかで起こります。順に整理します。

W/m × 配線長 × 安全率(推奨1.2〜1.3)

安全率 1.2〜1.3 はメーカー推奨と電気工事の現場実務の双方から導かれる係数です。理由は3つです。

  • 電源側の効率損:定電圧PSUは出力定格の80〜85%付近で運用するのが熱設計上望ましく、定格ギリギリで使うと寿命が短くなります(電解コンデンサの寿命は温度10度上昇で半減:アレニウス則)。
  • 個体差・経年劣化:LEDテープのW/m表記はロット差で±5%程度ぶれる場合があり、3〜5年運用すると発光効率も微減します。
  • 環境温度:屋外看板・天井裏・什器内部は周囲温度が高く、ディレーティング(温度低減)が必要です。

実務では 常時点灯・屋外・調光なし → 1.3屋内・調光あり → 1.2 を目安にすると過不足が出にくくなります。

12V系と 24V系の電流値の違い

同じ消費電力でも電圧が違えば電流値は倍違います。

電流(A) = 電力(W) ÷ 電圧(V)

PSU 100W の場合の電流値:

  • 12V系 PSU:100W ÷ 12V ≒ 8.3A
  • 24V系 PSU:100W ÷ 24V ≒ 4.2A

電流値が倍違うということは、配線抵抗による発熱と電圧降下が4倍違うということ(P = I²R のため)です。長尺施工で 24V系が選ばれる主な理由はここにあります。詳細は別記事「LEDテープ 12V vs 24V 選び方」で解説しています。

容量別早見表(一般W/m別 × 配線長別)

実際の選定で最も使うのが下の早見表です。安全率1.25 で計算した PSU 容量(W)を示します。

早見表:必要PSU容量(W)— 安全率1.25適用後

W/m \ 配線長1m5m10m15m20m
6W/m8W38W75W113W150W
12W/m15W75W150W225W300W
18W/m23W113W225W338W450W
24W/m30W150W300W450W600W

推奨 PSU 容量(市販規格への切り上げ)

市販の定電圧PSUは 60W / 100W / 150W / 250W / 350W / 500W が主要ラインナップのため、上記の計算値を直近上位の規格に切り上げします。

W/m \ 配線長1m5m10m15m20m
6W/m60W60W100W150W150W
12W/m60W100W150W250W350W
18W/m60W150W250W350W500W
24W/m60W150W350W500W350W×2

600W が必要になる施工では、PSU 1台で組まず 350W ×2台に分割給電する方が放熱・故障時の冗長性・電圧降下の観点で有利です。

LED PRO SHOP の取扱容量帯:本早見表は業界一般論として 60W〜500W の市販規格を扱っていますが、LED PRO SHOP の取扱は 200W / 300W / 400W の3容量帯(DC12V・DC24V 各系統)です。早見表の計算結果が 250W になる現場は 300W へ、500W になる現場は 400W ×2台分割給電をご検討ください。

ありがちな誤算ケース3つ

実際の施工現場で発生しやすい誤算パターンを3つ取り上げます。いずれも早見表だけでは見抜けない落とし穴です。

ケース1 — 安全率を取らなかった結果、半年でPSUが落ちた

20m の 18W/m テープに対し「18 × 20 = 360W だから 350W のPSUで足りる」と考えて施工したケースです。定格ギリギリで運用したため、PSU 内部の電解コンデンサが想定温度を超え、半年で出力が不安定化しました。

対策: 安全率1.25適用で 450W → 直近上位の 500W PSU を選定するか、350W × 2台に分けて給電します。電源コストは数千円増えますが、再施工コスト(足場・人件費・営業補償)と比べれば桁違いに安全です。

ケース2 — 並列分岐で末端の電圧降下を見落とした

24V系で 10m テープを2本並列に分岐した結果、給電点から末端で 0.8V 程度の電圧降下 が発生し、末端の発光が暗くなったケースです。

電圧降下の概算式:

電圧降下(V) ≒ 電流(A) × 配線抵抗(Ω/m) × 配線長(m)

24V × 18W/m × 10m = 7.5A 流れる箇所で、AWG18(0.0066Ω/m)配線10m を使うと:

7.5A × 0.0066Ω/m × 10m × 2(往復)= 0.99V

24V のうち約1V(4%)が配線で消費される計算です。5%を超えると目視で輝度差が分かるため、長尺施工では給電点を分けるか、AWG14以上の太い配線を使う、または24V化で電流を半減させる選択が必要です。

ケース3 — 力率を見落として電源側ブレーカーが落ちた

業務施工で複数のPSUを1系統に集約した際、PSU の 力率(PF) を見落として電源側のブレーカーが想定より早く落ちたケースです。

定電圧PSUは内部にスイッチング回路を持つため、力率は通常 0.5〜0.95 の幅があります(PFC回路搭載モデルで0.95以上、廉価モデルで0.5前後)。

皮相電力(VA) = 有効電力(W) ÷ 力率(PF)

例: 350W のPSUを8台 = 2,800W を 100V系統に集約した場合、力率0.6 のPSU だと:

2,800W ÷ 0.6 ≒ 4,667VA → 4,667VA ÷ 100V ≒ 46.7A

20A ブレーカーでは2回路に分割しても落ちます。業務施工では PFC(力率改善回路)搭載PSU を選定するのが安全です。

PSU の冗長性と耐久性

業務用施工では、容量計算に加えて「壊れた時にどう影響を抑えるか」の設計も必要です。

分割給電のメリット

20m を 350W × 1台ではなく 150W × 3台 + 100W × 1台 で分割給電する設計には次のメリットがあります。

  • 故障時の影響範囲が局所化:1台壊れても全体は点く
  • 熱集中の回避:電源収納BOX内の温度が下がる
  • 電圧降下の緩和:給電点が増えれば末端までの距離が短くなる

ただし配線とPSU設置スペースが増えるため、施工性とのバランスで判断します。

IP等級と設置場所の整合

  • 屋内:IP20 で十分(ホコリと指の侵入を防ぐ程度)
  • 屋外・庇下:IP65 以上(防水)
  • 屋外・直射雨:IP67(一時的水没にも耐える)

IP等級が上がると放熱効率が下がる傾向があるため、屋外用は1ランク上の容量 を選ぶのが実務上のセオリーです。

電解コンデンサの寿命

定電圧PSUの寿命は事実上 電解コンデンサの寿命 で決まります。85度品で2,000時間、105度品で5,000〜10,000時間が一般的なカタログ値です。

常時点灯(24時間 × 365日 = 8,760時間/年)では、85度品なら理論上3〜4ヶ月で寿命が来ます。業務施工で常時点灯前提なら 105度品 + 安全率1.3 が最低ラインです。

よくある質問(FAQ)

Q1. テープの公称W/m と実測値が違うことはありますか?

あります。LEDテープのW/m表記はロット差で±5%程度ぶれることがあり、安価な汎用品では±10%のばらつきも見られます。容量計算で安全率1.2〜1.3を取る理由のひとつです。重要な施工では事前に1mサンプルで実測し、計算根拠を残しておくと後のトラブル対応がスムーズです。

Q2. PSU の容量は大きすぎても問題ないですか?

定電圧PSUは負荷が小さくても電圧自体は安定して出力されるため、容量過剰自体に直接の動作問題はありません。ただし PSU は定格の30〜80%付近で最も効率が良いため、定格に対して負荷が10%以下のような極端な余剰は変換効率の低下とコスト面で不利です。実務では 定格の60〜80%を狙って選定するのが目安です。

Q3. 12V と 24V のPSU を混在させて1施工にしても良いですか?

技術的には可能ですが、保守性が大きく下がるため業務施工では推奨しません。テープを 12V/24V で混在させると予備品在庫が倍になり、現場の誤配線リスクも上がります。1施工内では 電圧系統を統一することを強く推奨します。

Q4. 調光(PWM)を入れる場合、容量計算はどう変わりますか?

PWM調光は最大輝度時の電流を基準に容量計算します。調光で平均電力は下がりますが、瞬間的にはフル点灯と同じ電流が流れるため、容量を減らすことはできません。PWM対応の調光器・コントローラーを噛ませる場合は コントローラー自体の電圧降下(通常0.3〜0.5V)も加味してください。

Q5. 安全率1.25 を1.5 まで上げる必要がある場面は?

以下のいずれかに該当する場合、1.5 以上を検討します:

  • 屋外・西日が直接当たる場所
  • 設置場所の周囲温度が常時35度以上
  • 24時間連続点灯(飲食店看板・コンビニ等)
  • 1台のPSUで5m以上を遠隔給電(電圧降下と熱を同時に抱える条件)

これらが重なる場合は PSU の冗長化(並列分割給電)とセットで検討するのがプロ施工の標準です。

まとめ・次のアクション

LEDテープ用PSUの容量計算は W/m × 配線長 × 安全率1.2〜1.3 が基本式で、市販PSU の規格刻みに切り上げて選定します。安全率・電圧降下・力率の3点を押さえれば、業務施工で大きく外すことはありません。

LED PRO SHOP では、業務施工向けの定電圧PSU(屋内・屋外IP67・PFC搭載大容量)をプロ施工業者向けに提供しています。容量選定でお悩みの場合は、施工条件(W/m・配線長・設置環境)を添えてお問い合わせください。