長尺の間接照明やコーブ照明、什器の棚下を一直線に流す現場では、LEDテープをカットしてつないだ箇所(継ぎ目)だけ暗く見えるつなぎ目が影になって浮くというクレームがよく起こります。これはテープの不良ではなく、カットとつなぎでLEDの並びが部分的に途切れる構造上の現象です。仕組みを押さえれば、密度の選定・つなぎ方・見込み深さの3点で確実に目立たなくできます。本記事では、継ぎ目の暗点が出る理由と、テープ密度別の必要な見込み深さ・目立たせない連結手順を施工業者向けに解説します。

現場あるある: 「1本で足りず途中で連結したら、つないだ所だけ暗い帯が出てやり直し」。原因のほとんどは、つなぎで空いたLED間隔と見込み深さ不足です。貼る前に密度と納まりを決めておけば防げます。

なぜ継ぎ目だけ暗く見えるのか

LEDテープは一定間隔(ピッチ)でLEDが並び、その上にディフューザー(乳半カバー)をかけて光を均一な線に見せています。継ぎ目が暗くなるのは、つなぎ部分だけLEDの間隔が広がり、その区間が発光しないためです。間隔が広がる理由は2つあります。

  • カットによる間隔の広がり: テープはカットマーク(電極パッド)でしか切れません。切った両端の最後のLEDから端までには、半ピッチ前後の余白が残ります。左右を突き合わせると、最後のLED同士はおおむね1ピッチ分空きます。
  • つなぎの物理長が加算される: 差込式コネクタは本体長(約10〜15mm)、はんだ+渡り線も配線分の長さが、そのまま非発光区間として上乗せされます。

つまり継ぎ目の暗点の幅は、ざっくり 1ピッチ + つなぎの物理長 です。これが周囲のピッチより大きいほど、そしてテープからカバーまでの見込み深さが浅いほど、影としてはっきり見えます。

計算例(60LED/mの場合): ピッチは 1000mm ÷ 60 ≈ 16.7mm。ここにコネクタ本体 約12mm が乗ると、継ぎ目の空き間隔は 16.7 + 12 ≈ 約29mm。通常ピッチの約1.7倍に広がるため、浅い見込みでは暗い帯として見えます。はんだ直結で物理長を 3〜5mm に詰めれば 約20mm(約1.2倍)まで圧縮でき、目立ちにくくなります。

継ぎ目の暗点を生む3要因と対策

要因 何が起きるか 対策
LED間隔(ピッチ)の不連続 カットで生じる1ピッチ分の空きが暗点になる 高密度テープ・COBで相対的な空きを小さくする
つなぎの物理長 コネクタ本体・渡り線の長さが非発光区間に加算 はんだ直結で短く詰める/突き合わせを密着させる
見込み深さ(テープ〜カバー距離)不足 光が回り込まず暗点が影としてくっきり出る 深いフレーム・離隔を確保し、厚手の拡散カバーで散らす

テープ密度別 継ぎ目の見えにくさと必要な見込み深さ

同じつなぎ方でも、テープ密度が高いほど継ぎ目は目立ちません。密度(LED/m)ごとのピッチと、暗点を均すために確保したい見込み深さ(テープ表面からディフューザーまでの距離)の目安を整理します。数値は乳半ディフューザー併用時の現場での実用目安です。

密度 ピッチ目安 つなぎ後の空き目安* 継ぎ目の目立ちやすさ 推奨見込み深さ
60 LED/m 約16.7mm 約25〜30mm 目立つ 20mm 以上
120 LED/m 約8.3mm 約15〜20mm やや目立つ 12〜15mm 以上
240 LED/m 約4.2mm 約10〜12mm 目立ちにくい 8〜10mm 以上
COB(連続発光) ドットなし 約5〜8mm(カット端のみ) ほぼ目立たない 5mm 前後でも可

*コネクタ接続を含む目安。はんだ直結で突き合わせるとさらに小さくできます。見込み深さは光源を直視させない設計が前提です。

選定のコツ: 近距離で連続した線に見せたい間接照明・什器の縁は、はじめからCOBまたは240LED/mの高密度を選ぶと、連結が複数あっても継ぎ目が出にくくなります。ドット感の比較はCOBテープの密度ガイドも参照してください。

継ぎ目を目立たせない連結手順

手順① カットと突き合わせ

  1. カットマーク上で正確に切る: はさみマークの中心で切る。斜め切り・パッドの欠けは接触不良と暗点の原因。
  2. 左右の向き(ピッチ)を揃える: 2本のテープの最後のLED同士が最短になる向きで合わせる。上下を逆にすると無駄に間隔が空く。
  3. 端を密着させる: 連結部に余計な隙間を作らず、可能な限りカット端同士を突き合わせる。

手順② つなぎ方を選ぶ(物理長を短く)

  1. 仕上がり重視ははんだ直結: カット端のパッドを予備はんだし、AWG24〜26程度の細線で+・−を最短接続。つなぎ長を3〜5mmに詰められる。こて先 300〜340℃・1パッド2〜3秒以内でパッド剥離を防ぐ。
  2. 速さ重視はコネクタ: 差込式は速いが本体長(約10〜15mm)が暗点に加算される。見込み深さで隠せる納まりか確認してから使う。
  3. 絶縁処理: 接続部は熱収縮チューブで絶縁。屋外・水回りは自己融着テープを併用する。

手順③ 見込みと拡散で均す

  1. 見込み深さを確保: 上表の密度別目安以上の離隔をフレーム・下地で取り、光を回り込ませる。
  2. 厚手・高拡散のディフューザー: 乳半(フロスト)カバーで輝度差をぼかす。透明カバーは暗点が出やすい。
  3. つなぎ位置を影に逃がす: どうしても出る場合は、継ぎ目を見切り材・什器・コーナーの陰に来る位置へ寄せる。

色ムラにも注意: 別ロット・別ビンのテープをつなぐと、継ぎ目で色温度や明るさが段差になります。連結する区間は同一ロット・同一ビンで揃えてください。詳しくはつなぐと色が違う原因と対処を参照。

継ぎ目チェックリスト

  • 連続して見せたい区間は高密度(240LED/m)またはCOBを選定した
  • 密度に対し必要な見込み深さ(上表)を確保した
  • カットはカットマーク中心・パッド欠けなしで行った
  • 左右のテープを最後のLEDが最短になる向きで突き合わせた
  • 仕上がり重視ははんだ直結でつなぎの物理長を詰めた
  • 厚手の乳半ディフューザーで輝度差を拡散した
  • 連結区間は同一ロット・同一ビンで色を揃えた
  • どうしても出る暗点は見切り・什器の影へ逃がした

まとめ — 継ぎ目対策の3原則

  1. 暗点幅は「1ピッチ+つなぎの物理長」: 高密度・COBでピッチを詰め、はんだ直結で物理長を詰めるほど目立たない。
  2. 見込み深さと拡散で均す: 密度別の見込みを確保し、厚手の乳半カバーで影をぼかす。
  3. つなぐ前に決める: 連結が出る長尺は、貼る前に密度・納まり・つなぎ方・色(ロット)を決めておくのが最も確実。

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よくある質問(施工業者向けFAQ)

連結した継ぎ目だけ暗いのはテープの不良ですか?
ほとんどは不良ではなく構造上の現象です。テープをカットしてつなぐと、両端の最後のLED同士の間隔がカット分とコネクタ・渡り線の物理長だけ広がり、その区間が発光しない「暗点」になります。さらにテープからディフューザーまでの見込み深さが浅いと、その暗点が影としてはっきり見えます。テープ密度を上げる・つなぎの物理長を短くする・見込み深さを確保する、の3点で目立たなくできます。
コネクタ接続とはんだ接続、継ぎ目が目立たないのはどちらですか?
つなぎ目を最も短くできるのは、カット端同士を直接突き合わせて細い渡り線ではんだ付けする方法です。差込式コネクタは本体の長さ(おおむね10〜15mm)がそのまま非発光区間として加算されるため、暗点が広がりやすくなります。仕上がり重視の間接照明や近距離で見える什器の縁では、はんだ直結+熱収縮チューブで物理長を詰めるのが有利です。速さ優先の屋内ではコネクタでも、見込み深さで暗点を隠せる納まりかを確認してください。
すでに施工済みで継ぎ目が暗い場合、貼り直さずに改善できますか?
貼り直さない改善策は3つあります。1つ目はディフューザー(乳半カバー)を厚手・拡散率の高いものに替えて暗点をぼかす方法。2つ目はテープとカバーの間に見込み(離隔)を足し、光を回り込ませる方法。3つ目はつなぎ箇所を什器や見切り材の影に隠す位置へ寄せられる場合に寄せる方法です。これでも目立つときは、その継ぎ目の前後だけ高密度テープに増し貼りするか、コネクタをはんだ直結に変えて物理長を詰めると改善します。