LEDテープ施工で「電源(PSU)が思ったより早く落ちた」「2年で電解コンデンサが膨らんだ」というトラブルの大半は、容量計算の段階で安全率を取り切れていないことに起因します。本記事では、業務用LEDテープの W/m × 配線長 × 安全率 を軸に、6W/m〜24W/m × 1〜20m の容量早見表をまとめました。12V系・24V系で電流値が倍違う点、並列分岐での電圧降下、定電圧電源の力率まで、現場で迷わない判断基準をご提供します。

【現場の早わかり】巻数から「選ぶ電源の大きさ」を見当づける

厳密にはテープのW/m(1mあたりの消費電力)×使用長×安全率で計算します(詳しくは下の計算式)。ここでは計算前に、巻数から“どれくらいの大きさの電源を選べばよいか”のあたりをつけるための早わかり表を載せます。これは消費電力の表ではありません。

推奨:電源は「定格の約半分くらい」で使うのがおすすめです。容量に余裕を持たせると電源の発熱が抑えられ、火災リスクを下げられます。消費に対して容量を倍くらい余裕を取って電源を選ぶイメージです。下表はこの“倍の余裕”を織り込んだ「選ぶ電源サイズの目安」です(あくまで推奨であり、現場条件に応じてご判断ください)。

選ぶ電源の目安
(安全余裕込みの推奨容量)
つなげるテープの目安用途の目安
200W クラステープ1巻ぶん程度什器1台・短尺の間接照明
300W クラステープ2巻ぶん程度カウンター・棚下のライン照明
400W クラステープ3巻ぶん程度壁面・天井見切りなど長尺の建築化照明

※上表は消費電力ではなく、余裕を見込んだ「選ぶ電源の大きさ」の目安です。実際の消費は1巻あたりおおむね 75〜100W 程度(テープの機種・W/m・長さで変わります)。たとえば消費が約75〜100Wの1巻に対し、余裕をもって 200W クラスの電源を選ぶ、という考え方です。正確な必要容量は、下の「PSU 容量計算の基本式」と早見表で必ず算出してください(本表はその前段の早わかりとしての補完です)。

PSU 容量計算の基本式

LEDテープ用電源容量の計算式はシンプルです。

必要PSU容量(W) = テープのW/m × 使用長(m) × 安全率(当店推奨2.0=定格の半分/上限1.25=定格の80%)

ここに3つの要素があり、業務施工での失敗はほぼこの3要素のどこかで起こります。順に整理します。

W/m × 配線長 × 安全率(当店推奨2.0・上限1.25)

上限は安全率1.25(定格の80%)、当店の推奨は安全率2.0(定格の約半分)です。一般に連続負荷は電源定格の80%程度が上限の目安ですが、当店はそれよりさらに安全側に振り、電源の発熱と寿命のため定格の約半分で設計することをおすすめしています。理由は3つです。

  • 電源側の効率損:定電圧PSUは定格に近い負荷ほど発熱し、電解コンデンサの寿命が縮みます(温度10度上昇で寿命半減:アレニウス則)。負荷を定格の半分程度に抑えると発熱が大きく下がり、火災リスクと故障率を下げられます。
  • 個体差・経年劣化:LEDテープのW/m表記はロット差で±5%程度ぶれる場合があり、3〜5年運用すると発光効率も微減します。
  • 環境温度:屋外看板・天井裏・什器内部は周囲温度が高く、ディレーティング(温度低減)が必要です。

屋内・調光ありの通常条件でも上限の80%(安全率1.25)が最低ライン、当店は発熱と寿命のため定格の半分(安全率2.0)を推奨します。常時点灯・屋外・高温など過酷な条件では、さらに余裕を取ってください。

12V系と 24V系の電流値の違い

同じ消費電力でも電圧が違えば電流値は倍違います。

電流(A) = 電力(W) ÷ 電圧(V)

PSU 100W の場合の電流値:

  • 12V系 PSU:100W ÷ 12V ≒ 8.3A
  • 24V系 PSU:100W ÷ 24V ≒ 4.2A

電流値が倍違うということは、配線抵抗による発熱と電圧降下が4倍違うということ(P = I²R のため)です。長尺施工で 24V系が選ばれる主な理由はここにあります。詳細は別記事「LEDテープ 12V vs 24V 選び方」で解説しています。

容量別早見表(一般W/m別 × 配線長別)

下の早見表は、上限(定格の80%=安全率1.25)で計算した最低容量です。当店の推奨は、これよりさらに大きい定格の半分(安全率2.0)ですが、まず上限を割り込まない最低ラインとしてご確認ください。

早見表:最低PSU容量(W)— 上限80%(安全率1.25)

W/m \ 配線長1m5m10m15m20m
6W/m8W38W75W113W150W
12W/m15W75W150W225W300W
18W/m23W113W225W338W450W
24W/m30W150W300W450W600W

推奨 PSU 容量(市販規格への切り上げ)

市販の定電圧PSUは 60W / 100W / 150W / 250W / 350W / 500W が主要ラインナップのため、上記の計算値を直近上位の規格に切り上げします。

W/m \ 配線長1m5m10m15m20m
6W/m60W60W100W150W150W
12W/m60W100W150W250W350W
18W/m60W150W250W350W500W
24W/m60W150W350W500W350W×2

600W が必要になる施工では、PSU 1台で組まず 350W ×2台に分割給電する方が放熱・故障時の冗長性・電圧降下の観点で有利です。

LED PRO SHOP の取扱容量帯:本早見表は業界一般論として 60W〜500W の市販規格を扱っていますが、LED PRO SHOP の取扱は 200W / 300W / 400W の3容量帯(DC12V・DC24V 各系統)です。早見表の計算結果が 250W になる現場は 300W へ、500W になる現場は 400W ×2台分割給電をご検討ください。

ありがちな誤算ケース3つ

実際の施工現場で発生しやすい誤算パターンを3つ取り上げます。いずれも早見表だけでは見抜けない落とし穴です。

ケース1 — 安全率を取らなかった結果、半年でPSUが落ちた

20m の 18W/m テープに対し「18 × 20 = 360W だから 350W のPSUで足りる」と考えて施工したケースです。定格ギリギリで運用したため、PSU 内部の電解コンデンサが想定温度を超え、半年で出力が不安定化しました。

対策: 上限80%でも最低450W(安全率1.25)、当店推奨の定格の半分なら約720W。400W × 2台に分けて給電すれば余裕をもって収まります。電源コストは数千円増えますが、再施工コスト(足場・人件費・営業補償)と比べれば桁違いに安全です。

ケース2 — 並列分岐で末端の電圧降下を見落とした

24V系で 10m テープを2本並列に分岐した結果、給電点から末端で 0.8V 程度の電圧降下 が発生し、末端の発光が暗くなったケースです。

電圧降下の概算式:

電圧降下(V) ≒ 電流(A) × 配線抵抗(Ω/m) × 配線長(m)

24V × 18W/m × 10m = 7.5A 流れる箇所で、AWG18(0.0066Ω/m)配線10m を使うと:

7.5A × 0.0066Ω/m × 10m × 2(往復)= 0.99V

24V のうち約1V(4%)が配線で消費される計算です。5%を超えると目視で輝度差が分かるため、長尺施工では給電点を分けるか、AWG14以上の太い配線を使う、または24V化で電流を半減させる選択が必要です。

ケース3 — 力率を見落として電源側ブレーカーが落ちた

業務施工で複数のPSUを1系統に集約した際、PSU の 力率(PF) を見落として電源側のブレーカーが想定より早く落ちたケースです。

定電圧PSUは内部にスイッチング回路を持つため、力率は通常 0.5〜0.95 の幅があります(PFC回路搭載モデルで0.95以上、廉価モデルで0.5前後)。

皮相電力(VA) = 有効電力(W) ÷ 力率(PF)

例: 350W のPSUを8台 = 2,800W を 100V系統に集約した場合、力率0.6 のPSU だと:

2,800W ÷ 0.6 ≒ 4,667VA → 4,667VA ÷ 100V ≒ 46.7A

20A ブレーカーでは2回路に分割しても落ちます。業務施工では PFC(力率改善回路)搭載PSU を選定するのが安全です。

PSU の冗長性と耐久性

業務用施工では、容量計算に加えて「壊れた時にどう影響を抑えるか」の設計も必要です。

分割給電のメリット

20m を 350W × 1台ではなく 150W × 3台 + 100W × 1台 で分割給電する設計には次のメリットがあります。

  • 故障時の影響範囲が局所化:1台壊れても全体は点く
  • 熱集中の回避:電源収納BOX内の温度が下がる
  • 電圧降下の緩和:給電点が増えれば末端までの距離が短くなる

ただし配線とPSU設置スペースが増えるため、施工性とのバランスで判断します。

IP等級と設置場所の整合

  • 屋内:IP20 で十分(ホコリと指の侵入を防ぐ程度)
  • 屋外・庇下:IP65 以上(防水)
  • 屋外・直射雨:IP67(一時的水没にも耐える)

IP等級が上がると放熱効率が下がる傾向があるため、屋外用は1ランク上の容量 を選ぶのが実務上のセオリーです。

電解コンデンサの寿命

定電圧PSUの寿命は事実上 電解コンデンサの寿命 で決まります。85度品で2,000時間、105度品で5,000〜10,000時間が一般的なカタログ値です。

常時点灯(24時間 × 365日 = 8,760時間/年)では、85度品なら理論上3〜4ヶ月で寿命が来ます。業務施工で常時点灯前提なら 105度品 + 定格の半分(安全率2.0)以上の余裕 が最低ラインです。

よくある質問(FAQ)

Q1. テープの公称W/m と実測値が違うことはありますか?

あります。LEDテープのW/m表記はロット差で±5%程度ぶれることがあり、安価な汎用品では±10%のばらつきも見られます。容量計算で安全率2.0(定格の約半分で使う)を取る理由のひとつです。重要な施工では事前に1mサンプルで実測し、計算根拠を残しておくと後のトラブル対応がスムーズです。

Q2. PSU の容量は大きすぎても問題ないですか?

定電圧PSUは負荷が小さくても電圧自体は安定して出力されるため、容量過剰自体に直接の動作問題はありません。ただし負荷が10%以下のような極端な余剰は変換効率とコスト面で不利です。規程上の上限は定格の80%(連続負荷)ですが、当店は発熱と寿命のため定格の約半分(50%前後)を推奨します。おおむね定格の40〜50%を狙って選定するのが目安です。

Q3. 12V と 24V のPSU を混在させて1施工にしても良いですか?

技術的には可能ですが、保守性が大きく下がるため業務施工では推奨しません。テープを 12V/24V で混在させると予備品在庫が倍になり、現場の誤配線リスクも上がります。1施工内では 電圧系統を統一することを強く推奨します。

Q4. 調光(PWM)を入れる場合、容量計算はどう変わりますか?

PWM調光は最大輝度時の電流を基準に容量計算します。調光で平均電力は下がりますが、瞬間的にはフル点灯と同じ電流が流れるため、容量を減らすことはできません。PWM対応の調光器・コントローラーを噛ませる場合は コントローラー自体の電圧降下(通常0.3〜0.5V)も加味してください。

Q5. 定格の半分(安全率2.0)よりさらに余裕を取る場面は?

以下のいずれかに該当する場合、定格の半分よりさらに余裕(安全率2.5以上=定格の40%以下)を検討します:

  • 屋外・西日が直接当たる場所
  • 設置場所の周囲温度が常時35度以上
  • 24時間連続点灯(飲食店看板・コンビニ等)
  • 1台のPSUで5m以上を遠隔給電(電圧降下と熱を同時に抱える条件)

これらが重なる場合は PSU の冗長化(並列分割給電)とセットで検討するのがプロ施工の標準です。

当店の実物での当てはめ — 巻数から電源を選ぶ早見表

ここまでの計算式を、当店で売っているCOBテープライト(DC24V・5m巻・約12W/m=1巻約60W)に当てはめた早見表です。電源は定格の約半分(50%前後)で使うという現場の基準で組んでいます。容量ぎりぎりで使うと電源が熱を持ち、寿命が縮むためです。

テープの巻数(1巻5m)消費電力の目安選ぶ電源(DC24V・別売)そのときの負荷
1巻(5m)約60W200W定格の30%
2巻(10m)約120W300W定格の40%
3巻(15m)約180W400W定格の45%
4巻以上(20m〜)約240W〜電源を2台以上に分ける(本文の冗長性の考え方どおり)

計算上は200Wの電源に2巻(120W)つなげますが、それは定格の60%で回し続けるということです。電源の価格差は数百円、容量不足による発熱は交換工事になります。迷ったらひとつ上の容量を選んでください。

実物の補足: テープは全12色ともDC24V・5m巻・幅8mm・カット単位50mm・¥2,100+税(税込¥2,310)で共通なので、色を混ぜても上の早見表がそのまま使えます。電源も含めて屋内の乾いた場所への設置が前提です(テープ自体はIP20=屋内専用/防水タイプの電源は現在お取り扱いしておりません)。ラインナップは電源装置の売り場ページへ。

まとめ・次のアクション

LEDテープ用PSUの容量計算は W/m × 配線長 × 安全率2.0(定格の約半分で選ぶ。上限は80%) が基本式で、市販PSU の規格刻みに切り上げて選定します。安全率・電圧降下・力率の3点を押さえれば、業務施工で大きく外すことはありません。

LED PRO SHOP では、業務施工向けの定電圧PSU(屋内・屋外IP67・PFC搭載大容量)をプロ施工業者向けに提供しています。容量は施工条件(W/m・配線長・設置環境)をもとに本ガイドの手順で算出できます。