照明設計ガイド(飲食店)

飲食店のテーブル照明は何ルクス?
卓上の明るさ目安とテーブルランプ・ペンダントの選び方

更新日: 2026年6月15日|LED PRO SHOP 編集部

飲食店の照明計画でつまずきやすいのが卓上(テーブル面)の明るさです。明るすぎると安っぽく雰囲気が出ず、暗すぎると料理の色が映えずメニューも読めない——どちらも客単価やリピートに直結します。本記事は業態別の卓上照度(ルクス)の目安、テーブルランプの必要ルーメン、ペンダント・ダウンライトとの役割分担、料理がおいしく見える色温度・演色性の判断基準を、内装施工・店舗設計の現場目線で数値とともに整理します。

▶ 結論から

卓上の明るさは「平均照度」ではなく「料理皿の上の光だまり」で設計します。高級ディナーはテーブル面150〜300lx・2700〜3000K・Ra90以上が基準。テーブルランプは演出用に100〜300lmで足し、料理を見せる主照明はペンダント/ダウンライトで確保。アクセント(皿の上)とベース(店内全体)の照度差を3:1前後つけると、低照度でも料理が立体的に見えます。

1. なぜ「卓上の明るさ」を別で設計するのか

飲食店の照明は、店内全体を照らすベース照明と、料理皿の上を照らすアクセント照明に役割が分かれます。客が見るのは「皿の上の料理」であって床や天井ではありません。にもかかわらず、店全体を均一に明るくすると、料理の陰影が消えてのっぺりと安っぽく見えます。

そこで重要なのが照度のメリハリ(コントラスト)です。料理皿の上をベース照明より明るくし、周囲を落とすと、同じ平均照度でも料理が浮き上がって見え、客の視線が自然に料理へ集まります。卓上を「他とは別系統で」設計するのは、このメリハリを作るためです。

目安:料理皿の上(アクセント)と店内全体(ベース)の照度比は約3:1。高級店ほど比を大きく(ベースを暗く)し、ファミリー向けほど比を小さく(全体を明るく)します。

2. 業態別・卓上照度(ルクス)の目安

下表はテーブル面(皿の高さ)で測った実務上の設計目安です。JIS Z 9110では飲食店の客席はおおむね高めの照度が示されていますが、実際の高級業態では演出として意図的に低めに設計します。客単価とコンセプトに合わせて選んでください。

業態卓上照度の目安色温度ねらい
ファミリーレストラン/食堂300〜500lx3000〜4000K明るく入りやすい・回転重視
カフェ/ベーカリーカフェ200〜350lx3000〜3500K明るさと寛ぎの中間
一般レストラン(ランチ)250〜400lx3000K料理が見え活気が出る
高級レストラン(ディナー)150〜300lx2700〜3000K雰囲気と視認性の両立
和食・割烹・鉄板150〜250lx2500〜3000K素材の色・しつらえを上品に
バー/ラウンジ50〜150lx2200〜2700K暗さで非日常・没入感

※数値はテーブル面(皿の高さ・卓上約70cm)での目安です。卓上が暗いコンセプトでも、メニューを読む・会計時の手元など「最低限の視認性」は確保します。年配客が多い店は各帯の上限寄りに振ると親切です。

3. 卓上を照らす3つの手段と役割分担

同じ「卓上を明るくする」でも、ペンダント・ダウンライト・テーブルランプは役割が違います。主役(料理を見せる主照明)と脇役(演出)を分けて組み合わせます。

手段主な役割明るさの目安向く卓
ペンダントライト卓上の主照明(皿を照らす)1灯400〜800lm/卓固定席・2〜4名卓
ダウンライト(スポット)卓上の主照明(上から狙い撃ち)1灯500〜900lm相当レイアウト変更が多い店
テーブルランプ(卓上)演出・手元の光だまり100〜300lm高級・バー・個室

高級店の定番構成:ダウンライト or ペンダントで皿の上に150〜300lxを作り、卓上にコードレスのテーブルランプ(150〜250lm・2400K前後)を足して手元に温かい光だまりを重ねる。主照明だけだと均一で平板、ランプだけだと暗くて料理が見えない——両者の組み合わせが鍵です。

4. テーブルランプ(卓上ランプ)の明るさの選び方

「高級店のテーブルランプは何ルーメンか」という質問は多いですが、答えは主照明があるかどうかで変わります。

演出用(主照明あり)
100〜200lm
手元に光だまりを足す程度
準主役(主照明が弱い)
200〜400lm
卓の明るさを実質的に担う
色温度
2200〜2700K
電球色〜キャンドル色
調光
無段階推奨
昼=明・夜=暗を1台で

コードレス(充電式)テーブルランプを選ぶ場合は、明るさ(lm)だけでなく連続点灯時間(営業時間をカバーできるか・8〜12時間以上が安心)、調光段階(無段階だと業態転換に強い)、IP等級(テラス席・水しぶきのある卓はIP44以上)も確認します。グレア(まぶしさ)を抑えるため、光源が直接目に入らないシェード付き・ローポジション型が向きます。

5. 明るさと同じくらい大事な「色温度・演色性」

卓上は明るさ(ルクス・ルーメン)だけで決まりません。料理の色をどう見せるか=色温度と演色性が、おいしさの印象を大きく左右します。

項目飲食店の推奨外すとどうなるか
色温度2700〜3000K(和・バーは2200〜2500K)4000K超で料理が冷たく安っぽい印象に
演色性 RaRa90以上Ra80前後は色がくすみ鮮度が落ちて見える
R9(赤の再現)R9>50(肉・マグロ・トマト扱う店は重視)R9低だと赤身肉・トマトが茶色く沈む
色のばらつき卓・ペンダント・天井で色温度を統一光色がちぐはぐで安っぽく見える

特に赤い食材(肉・寿司・トマト・赤ワイン)を扱う店は、平均演色評価数Raに加えてR9(赤の特殊演色評価数)が高い製品を選ぶと、料理の色が見違えます。詳しくは演色性の解説ガイドも参照してください。

6. 卓上照明の設計手順

7. 設計・施工チェックリスト

8. FAQ

高級レストランのテーブル(卓上)は何ルクスが目安ですか?
ディナー中心の高級レストランは、テーブル面で150〜300lx程度を目安にすると、雰囲気を保ちつつ料理がしっかり見えます。雰囲気を最優先する店では100lx前後まで落とすこともありますが、卓上が暗すぎると料理の色・質感が伝わらず、メニューも読みにくくなります。ポイントは卓全体を均一に明るくするのではなく、料理皿の上に光だまりを作り卓の周囲を落とすこと。アクセント(皿の上)とベース(店内全体)の照度差を3:1前後つけると、同じ平均照度でも料理が立体的に見え、高級感が出ます。
卓上に置くテーブルランプ(コードレスランプ)は何ルーメンを選べばいいですか?
演出用の卓上テーブルランプは100〜300lm程度が目安です。テーブルランプ単体で卓上照度をすべて賄うのではなく「手元に温かい光だまりを作る」役割と考え、料理を見せる主照明はペンダントやダウンライトで確保します。明るさを連続可変できる調光式・無段階タイプを選ぶと、ランチ(明るめ)とディナー(暗め)で1台を使い分けられます。色温度は2200〜2700Kの電球色〜キャンドル色が落ち着きます。バッテリー式は連続点灯時間(8〜12時間以上)と充電サイクルも確認してください。
料理がおいしく見える色温度・演色性はどれくらいですか?
飲食店の卓上は2700〜3000K(電球色)が基本で、和食・鉄板・バーなどさらに落ち着かせたい場では2200〜2500Kも使われます。演色性は平均演色評価数Ra90以上を選び、特に肉・マグロ・トマトなど赤い食材を扱う店は赤の再現性を示すR9が高い製品(R9>50目安)を選ぶと、料理の色が鮮やかに出ます。Ra80前後の汎用LEDは赤がくすみやすく、料理が安っぽく見える原因になります。卓上・ペンダント・ダウンライトの色温度は揃えて、光の色がちぐはぐにならないようにします。

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