この記事について(正直な線引き)
当店はLEDテープライトと電源・調光器の店で、美術館の主役であるスポットライト(ピクチャースポット・トラック照明の灯体)は取り扱っていません。この記事の前半は作品を扱う照明に共通する考え方の整理、後半は展示ケース・ウォールウォッシュ・サインなど当店の部材が実際に役立つ場所の設計です。施工の実績を示す記事ではなく、検討と発注の前に読む手引きです。
最初に決めるのは「作品をどこまで光に当ててよいか」
展示照明の設計は器具選びからではなく、作品側の条件の確認から始まります。
- 素材(油彩・水彩・紙・染織・写真など)によって光に対する強さがまったく違います。感光性の高い作品は、照度の上限や年間の累積露光を管理するのが博物館の実務です。
- 具体的な上限値は所蔵品の保存方針・学芸側の基準で決まります。貸出作品なら貸出元の条件が付きます。当店で確認できていない数値をここに書くことはしません。
- LEDは白熱灯・ハロゲンより紫外線・赤外線の放射が少なく作品保護に有利ですが、「傷めない」ではなく「傷みが遅い」が正確です。可視光にも退色を進める作用があるため、感光性の高い作品は照度と点灯時間の管理が引き続き必要です(LEDと美術品のUV・IR対策)。
色の見え方=Raだけでなく「R9」を見る
絵画・工芸の照明で「色がくすむ」原因の多くは演色性です。平均演色評価数Raに加えて、彩度の高い赤の再現を示すR9が重要で、Raが高くてもR9の低い光では赤・オレンジの絵の具が沈んで見えます(R9・特殊演色評価数の見方)。
| 確認する項目 | 見方 |
|---|---|
| Ra(平均演色) | 90以上が展示用途の出発点。当店のCOBテープはRa90超(CRI・Ra値の見方) |
| R9(赤の再現) | 赤が主役の作品・漆・染織では特に効く。仕様書にR9の記載がある光源を選ぶ |
| 色温度 | 油彩・木彫・和の工芸は3000K前後の暖色、写真・現代アートは4000K前後も使われる。★展示室単位でそろえるのが原則 |
| 色のばらつき(SDCM) | 複数本並べるウォールウォッシュではロット内の色ばらつきが目立つ(SDCM・色バラつきの見方) |
LEDテープが役立つ場所(スポットの代わりではなく)
作品を狙って照らすのはスポットライトの仕事です。テープが効くのは「面」と「線」の光が要る場所です。
- 展示ケース・棚の中:ケース内の上縁・框の陰にテープを仕込み、光源を見せずに展示物を照らします。ガラス棚は棚板の縁から入れる方法もあります(ショーケース照明の設計/ガラス棚のエッジ照明)。
- 壁面のウォールウォッシュ:コーニスから壁全体を均一に洗う光。展示替えの多いギャラリーでは、壁を面で明るくしておきスポットを作品に足す構成が扱いやすいです(コーニス照明の納まり寸法)。
- 解説パネル・サイン・受付:読ませる場所の手元光と、館名・企画展サインのライン(シリコンカバーでネオン風)。
- 暗い展示室の床の誘導:映像展示など暗転する部屋の通路・段差の足元ライン(階段・足元照明の設計)。
映り込み・グレアの消し方
- ガラス(ケース・額装)への映り込み:光源の位置がガラス面に対して映る角度に入っていないかを、実際の目線の高さで確認します。ケース内照明はこの点でも有利です。
- 粒々(ドット)を見せない:浅い仕込みでもドットが出ないCOBタイプが向きます(COBとSMDの違い/ドットの消し方)。
- 調光でちらつきを出さない:映像記録・撮影可の展示では、調光時のちらつきがカメラに映らないか一角で試してから広げます(カメラのちらつきとPWM周波数)。
長さと電源の計算
当店のCOBテープライトは約12W/m(1巻5mで約60W・単色の場合)です。電源は連続で使う負荷を定格の半分に収めます(電源の選び方(定格の半分))。
消費電力
約12W/m
COB24シリーズ(単色)・1巻5mで約60W
電源の使い方
定格の半分
200W→1巻/300W→2巻/400W→3巻
1列の長さ
5m前後で給電
ウォールウォッシュの色ムラ防止にも効く
計算の例:幅6mの壁2面をコーニスから照らすなら合計12mで約144W=DC24V 200W電源1台に収まります。展示替えで構成が変わる館は300Wにして余裕を持たせると組み替えが楽です。ケース内などごく短い回路が多い場合は、電源を1か所にまとめて配線を分けると保守が楽になります(電源の置き場所の決め方)。
部材のまとめ(当店で揃うもの)
| 部材 | 当店の取り扱い | 用途 |
|---|---|---|
| LEDテープ(単色) | COBテープライト 24V 全12色・5m巻 ¥2,100+税(税込¥2,310) | ケース内・ウォールウォッシュ・サイン・足元誘導 |
| 電源 | DC24V 200W/300W/400W | 展示室・系統ごとに1台 |
| 調光器 | 単色調光器 RFリモコン付 | 展示ごとの明るさ調整 |
| アルミフレーム | 通常型25mm・埋め込み型20mm | 放熱と仕上げ。ケース内の熱だまり対策にも |
| シリコンカバー | 8〜15mm対応 | 企画展サイン・誘導ライン |
当店のテープはIP20の屋内専用です。屋外サイン・水景まわりには使えません(IP等級の選び方)。スポットライト・トラック灯体は照明メーカーの製品からお選びください(レールの取り付け自体はダクトレールの施工解説があります)。
まとまった数量・法人でのご購入は大量購入のご案内もご覧ください。
検討前チェックリスト
- 作品側の条件(素材・感光性・貸出元の指定)を学芸側と確認した
- 展示室単位で色温度をそろえる方針を決めた
- Ra90以上を前提に、赤が主役の作品はR9も確認した
- ケース・額装ガラスへの映り込みを実際の目線の高さで確認する段取りにした
- ウォールウォッシュは色ばらつき(SDCM)と給電の分け方を確認した
- テープの合計長さ(m)を出し、約12W/mで電源のWを計算した(定格の半分)
- 撮影可の展示は、一角で試し撮りをしてから調光を広げる段取りにした
- 屋外・水のかかる場所にIP20のテープを使っていない
よくある質問(FAQ)
美術品の展示照明で最初に確認することは何ですか?
作品側の条件です。素材(油彩・水彩・紙・染織・写真など)によって光に対する強さがまったく違い、感光性の高い作品は照度の上限や年間の累積露光を管理するのが博物館の実務です。具体的な上限値は所蔵品の保存方針・学芸側の基準で決まるため、照明の設計はまず「この作品はどこまで光を当ててよいか」を確認してから始めてください。
LEDは作品を傷めないと聞きましたが本当ですか?
LEDは白熱灯やハロゲンと比べて紫外線・赤外線の放射が少なく、作品保護の面で有利なのは事実です。ただし「傷めない」ではなく「傷みが遅い」が正確で、可視光そのものにも退色を進める作用があります。感光性の高い作品では照度と点灯時間の管理が引き続き必要です。
絵画の色がくすんで見えるのはなぜですか?
光の演色性が足りていないことが多いです。平均演色評価数Raに加えて、絵画では特に「彩度の高い赤」の再現を示すR9が重要で、Raが高くてもR9が低い光では赤やオレンジの絵の具が沈んで見えます。当店のCOBテープはRa90超です。
ギャラリーでLEDテープはどこに使えますか?
スポットライトの代わりではなく、面と線の光が要る場所です。定番は①展示ケース・棚の中②壁面のウォールウォッシュ(コーニスから壁全体を均一に照らす)③解説パネル・サインまわり④暗い展示室の床の誘導ラインです。どれも光源を見せず、映り込みを避ける位置に仕込みます。
ウォールウォッシュ用に壁一面を照らす場合、電源は何Wが要りますか?
当店のCOBテープは約12W/mです。幅6mの壁2面をコーニスから照らすなら合計12mで約144W。電源は定格の半分で使う考え方から、DC24V 300W電源1台 をおすすめします。展示替えで長さが変わる可能性があるなら、余裕を見て300Wにしておくと組み替えが楽です。
LED PRO SHOP のCOBテープライト
DC24V・5m巻の全12色、¥2,100+税(税込¥2,310)です。320粒/m・テープ幅8mm・カット単位50mm・Ra>90・IP20(屋内専用)・寿命5万時間。1巻から購入でき、ご入金確認後3営業日以内に発送します。
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