LEDテープのLED密度(30/60/120/240個/m)の選び方|ドット感・明るさ・最大連結長で決める施工業者向けガイド
カタログの「60LED/m」「120LED/m」というLED密度(1mあたりの素子数)は、ただの密度表記ではありません。ドット感(粒の見え方)・明るさ・W/m(消費電力)・最大連結長のすべてに連動して効く、選定の起点になる数値です。密度を上げれば粒は消えますが、同時にW/mが増えて電圧降下が早まり、1本で引ける長さは短くなります。本記事では30/60/120/240個/mを用途別に整理し、密度と明るさ・連結長のトレードオフを数値で示しながら、施工業者が現場で密度を決めるための判断基準をまとめました。
LED密度(個/m)が決める4つの性能
SMD LEDテープの「LED密度」は、1mあたりに実装された素子の個数です。COBテープは粒ではなく連続発光のため密度はチップ数(個/m)で表されますが、考え方の起点は同じです。密度は次の4つに同時に効きます。
- ドット感(粒の見え方):密度が高いほど素子間隔が狭まり、粒が連続して見えてムラ(つぶつぶ)が消える。
- 明るさ(lm/m):素子数が増えれば光束が増えやすい。ただしW/mが同じだと1素子あたりの電流が下がり、総光束は横ばいのこともある。
- 消費電力(W/m):高密度・高出力品ほどW/mが増え、電源容量・放熱設計に影響する。
- 最大連結長:W/mが増えると電流が増え、電圧降下が早まり、1本で引ける長さが短くなる。
ポイント:密度は「粒を消す」ためだけの数字ではありません。上げれば明るさ・消費電力・連結長すべてが動くため、見え方と配線設計の両面で判断します。
30/60/120/240個/mの特性比較
下表は一般的なSMD2835クラスのDC24V品を例にした傾向値です。実際の数値は製品の素子・駆動電流で変わるため、必ずカタログのlm/m・W/mで確認してください。
| LED密度 | 素子間隔の目安 | ドット感 | W/mの傾向 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 30個/m | 約33mm | 粒がはっきり見える | 低(約5W/m前後) | 遠目の装飾・粒を見せる演出 |
| 60個/m | 約17mm | 近距離だと粒が見える | 中(約10W/m前後) | 深い溝+拡散カバーの間接照明 |
| 120個/m | 約8mm | 近距離でも粒が目立ちにくい | 中〜高(約14〜19W/m) | 棚下・什器・直視する間接照明 |
| 240個/m | 約4mm | ほぼ連続(粒が消える) | 高(製品により20W/m超) | 至近距離・浅い溝・高品位サイン |
COBテープの位置づけ:COBは蛍光体で発光面を覆い、SMDの粒を構造的に消したタイプです。「粒を絶対に見せたくないが溝が浅い」現場では、高密度SMDよりCOBテープが有利になります。
ドット感(粒)の見え方と離隔距離
粒が見えるかどうかは密度だけで決まりません。LEDと見る面(拡散カバーや反射面)の距離が効きます。素子が離れていても、拡散板との距離が十分あれば光は重なって粒が消えます。
粒を消す3つの手段
- 密度を上げる:120個/m以上、または連続発光のCOBにする。
- 拡散距離をとる:LED面から拡散カバーまで5〜15mm程度の空間を設けると粒が均される。浅い溝ほど高密度が必要。
- 拡散カバーを使う:乳白(フロスト)カバーで光を散らす。透過率は落ちるが粒は消える。
逆算の考え方:溝が浅く拡散距離が取れない(カバーがLEDに近い)現場ほど、密度を上げる必要があります。「浅い溝=高密度(120〜240個/m)またはCOB」「深い溝+拡散カバー=60個/mでも可」が現場の目安です。
密度と最大連結長・電圧降下の関係
高密度品は明るく粒が消える一方、W/mが大きいぶん電圧降下が早く進み、1本で引ける長さ(最大連結長)が短くなります。下表は同じDC24V品でW/mが違う場合の片側給電の目安です。
| W/m(消費電力) | 電圧 | 片側給電の目安連結長 | 末端が暗いときの対策 |
|---|---|---|---|
| 約5W/m(低密度) | DC24V | 約15〜20m | — |
| 約9.6W/m(中密度) | DC24V | 約10m前後 | 両側給電で約2倍に延長 |
| 約19.2W/m(高密度) | DC24V | 約5m前後 | 中間給電・電源分散が前提 |
数値はあくまで目安で、製品の銅箔厚(PCB銅重量)や許容電圧降下率で変わります。重要なのは「密度(明るさ)を取れば連結長は犠牲になる」というトレードオフです。高密度を長く使う場合は、給電方式の設計を最初から織り込みます。
あわせて確認:電圧降下・最大接続長・パワーインジェクション(中間給電)の各ガイドも参照してください。
用途別の推奨密度
| 現場・用途 | 推奨密度 | 理由 |
|---|---|---|
| 天井コーブ・カーテンボックス(深い溝+拡散) | 60〜120個/m | 拡散距離が取れ、長尺が必要なため密度を抑えても粒が出にくい |
| 棚下・什器の手元照明(直視する) | 120個/m以上 or COB | 至近距離で粒が見えやすいため高密度で均一に |
| 浅い溝・薄い見切り(拡散距離なし) | 240個/m or COB | カバーがLEDに近く、低密度では粒が出る |
| 内照式サイン・文字(正面拡散) | 120個/m以上 | 面の輝度ムラ(ホットスポット)を抑える |
| 遠目の装飾・粒を見せる演出 | 30〜60個/m | 離れて見るため粒が問題にならず、消費電力を抑えられる |
| 長尺の輪郭ライン(建築ライン) | 60個/m+給電分散 | 連結長を稼ぐため密度を抑えつつ給電で明るさを確保 |
選定時に確認するスペック
カタログ比較では個/mだけで明るさを判断しないのが鉄則です。明るさはlm/m、電源容量と連結長はW/mで判断します。高密度品はカット単位(最小カット長)が短い反面、電圧降下が早いので給電設計を同時に検討してください。
選定チェックリスト
- 見る距離(至近/遠目)と拡散カバーの有無を確認した
- 溝の深さ(LEDから拡散面までの距離)で粒が出るか判断した
- 明るさはlm/mで比較し、個/mだけで判断していない
- W/mから電源容量(余裕20%以上)を算出した
- 高密度品では最大連結長を確認し、給電方式を決めた
- 電圧(DC24V)と最大連結長・電圧降下を突き合わせた
- 浅い溝・至近距離ではCOBも比較検討した
よくある質問
Q. LEDテープのLED密度(個/m)は何で選べばよいですか?
A. 「見る距離」と「拡散カバーの有無」で選びます。手元で直視する間接照明・棚下・什器・サインの正面では、粒が見えにくい120個/m以上を基本にします。深い溝に入れて拡散カバー越しに見せる、または2m以上離れて見る用途なら60個/mでも粒は目立ちません。粒の見え方は密度だけでなくLEDと見る面の距離・拡散板の透過率でも変わるため、密度・カバー・離隔距離をセットで判断してください。
Q. LED密度を上げると最大連結長はどうなりますか?
A. 短くなります。密度が上がるとW/mが増え、テープ銅箔に流れる電流が増えて電圧降下が早く進みます。同じDC24V品でも、9.6W/mなら片側給電で約10m引けても、19.2W/mでは約5m前後で末端が暗くなることがあります。高密度品を長く流す現場では、両側給電・中間給電(パワーインジェクション)・電源分散で電圧降下を抑える設計が前提になります。
Q. 60個/mと120個/mで明るさは2倍になりますか?
A. 必ずしも2倍ではありません。明るさ(lm/m)は密度だけでなく1素子あたりの光束と駆動電流で決まります。素子数が増えてもW/mが同じなら1素子あたりの電流が下がり、総光束はほぼ横ばいで「粒感だけ減る」場合があります。逆にW/mも増える高密度品なら明るさも上がります。カタログでは個/mとあわせてlm/m・W/mを必ず確認し、明るさはlm/mで比較してください。
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