LEDテープを長い距離・広い面積に施工するとき、電源(PSU/ACアダプター)を1か所にまとめる「集中電源」にするか、テープの各区間近くに分けて置く「分散電源」にするかは、電圧降下・配線サイズ・放熱・将来の保守性すべてに効いてくる設計判断です。安易にどちらかに決めると「端だけ暗い」「給電線が太すぎて納まらない」「PSUの熱がこもる」といった問題が後から出ます。このページでは見積・施工図の段階で根拠を持って選べるよう、判断軸と計算式を整理します。

1. 集中電源・分散電源とは

集中電源は、大容量のPSUを1か所(盤・点検口内など)に置き、そこから各テープへ給電線を引き回す方式です。電源管理が1か所で済み、保守・交換が楽で、調光や監視も一元化しやすいのが利点です。一方、給電線が長くなるため電圧降下が大きくなりやすく、それを抑えるには太い電線が必要になります。

分散電源は、テープの区間ごとに小〜中容量のPSUを近くに配置する方式です。給電線が短いので電圧降下に強く、電線も細くて済みます。反面、PSUの設置場所をテープ近くに複数確保する必要があり、各PSUの放熱・点検口・1次側(AC)配線の取り回しが課題になります。

許容電圧降下の目安
定格5%
24Vなら約1.2V以内
PSU負荷率の上限目安
80%
余裕=発熱低減・長寿命化
電圧降下に強いのは
24V
12Vは同条件で約2倍不利
PSU周囲の放熱クリアランス
数cm〜
密閉・断熱材直置きは避ける

2. 2方式の比較表

比較項目集中電源分散電源
給電線の長さ長い(電圧降下大)短い(電圧降下小)
必要な電線サイズ太くなりがち細くて済む
PSU設置場所1か所で済む区間ごとに確保
保守・交換1か所で完結複数箇所を点検
放熱の集中1か所に発熱集中(換気要)熱が分散
1次側(AC)配線1系統で簡潔各PSUへAC引き回し
調光の一元化容易同期設計が必要
向く規模短〜中距離・電源置場あり長距離・フロア横断

ハイブリッドも有効: 「幹線はDC1系統で引き、要所でパワーインジェクション(電源注入)して電圧を持ち上げる」中間案もあります。完全な集中/分散の二択ではなく、電圧降下が許容を超える区間にだけ給電点を追加する発想が実務では現実的です。

3. 電圧降下の計算と幹線サイズ

電圧降下の基本式

給電線で生じる電圧降下は次式で概算します。

Vdrop = 2 × L × I × R
L=片道の配線長(m)/ I=流れる電流(A)/ R=電線1mあたりの抵抗(Ω/m)/ 2=往復(行き帰り)分

電流Iは「テープのW/m × 区間長 ÷ 電源電圧」で求めます。例えば14.4W/mのテープを5m、24Vで点灯すると、電流=14.4×5÷24=3.0A。これを基に給電線の太さを選びます。電線が細いほどR(抵抗)が大きく、電圧降下が増えて端が暗くなります。

状況起きること対策
給電線が長い・細い電圧降下が大きく端が暗い電線を太くする/給電点を増やす/分散電源化
12Vテープで長距離24Vより降下の影響が約2倍24Vテープへ変更を検討
片端給電で長い1本遠端ほど暗くなる両端給電・中央給電で降下を半減
1台のPSUに過負荷発熱・電圧低下・寿命低下負荷率80%以内に分割/PSU増設

許容降下の目安: 一般に電源電圧の5%以内に収めると明るさ・色味の差が目立ちにくくなります。24Vなら約1.2V、12Vなら約0.6V。計算で超える場合は「電線を太く」「給電点を分ける」「PSUを近くに置く(分散化)」のいずれかで対処します。

4. PSU配置間隔・設置場所の決め方

設置環境の条件

放熱と点検性を確保する

熱がこもる場所・開けられない場所はNG。

  • 断熱材に直接埋めない(放熱確保)
  • 周囲にクリアランスを取る
  • 将来開けられる点検口を必ず設ける
  • 結露・水気のある場所は適合IPを選ぶ
1次側(AC)の取り回し

AC配線ルートを先に決める

PSUへのAC供給が現実に引けるか確認。

  • 各PSUへAC100Vを引けるか確認
  • 1次側はPSE適合・有資格者施工
  • 分電盤の回路容量に余裕を持たせる
  • 突入電流による遮断器トリップに注意

5. 電源レイアウト設計の手順

6. よくある設計ミスと対処

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7. 電源レイアウト設計チェックリスト

8. よくある質問

LEDテープの電源は1か所にまとめるべきですか、分散させるべきですか?
総延長が短く(目安20〜30m程度まで)電源置き場を1か所に確保できるなら集中電源が管理・保守の面で有利です。総延長が長い、フロアをまたぐ、ルート上に給電線を太く引けない場合は、テープの各区間近くにPSUを置く分散電源が電圧降下に強く配線も細くて済みます。判断軸は『太い給電線を引けるか』『PSUの設置場所と放熱を確保できるか』『将来の保守でどこを開けるか』の3点です。
LEDテープの電圧降下はどう計算しますか?
電圧降下V=2×L×I×R で概算します(L=片道配線長m、I=電流A、R=電線1mあたりの抵抗Ω、2は往復分)。12Vテープは降下の許容幅が小さく端が暗くなりやすいため、24Vテープの方が同じ配線でも余裕があります。許容降下は一般に定格電圧の5%以内(24Vなら約1.2V)を目安にし、超える場合は給電線を太くする、給電点をテープの中央や両端から取る、またはPSUを近くに置く分散化で対処します。
分散電源にすると複数のPSUで明るさがばらつきませんか?
同一型番・同一定格出力のPSUを使い、各PSUの出力電圧を可能なら無負荷時にそろえておくと差は最小化できます。それでも個体差や負荷率の違いで境目がわずかに見えることがあるため、明るさの境目が視線に入りにくい位置(コーナー・見切り・什器の影)でPSUの担当区間を分けるのが実務上のコツです。調光する場合は同じ調光信号・同じ調光方式(PWM等)で全PSU/デコーダーを駆動し、調光カーブのばらつきを避けてください。