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規格改正のお知らせ(2026年8月時点)
JIS Z 9110は2024年12月20日に改正され、屋内の具体的な照度の数値はJIS Z 9125:2023(屋内照明基準)へ移りました。本記事に載せている照度値は旧版(JIS Z 9110:2011)の区分に基づくものです。数値そのものが大きく変わったわけではありませんが、設計書・仕様書に根拠を書く場合はJIS Z 9125:2023を参照してください。 → 2024年改正で何が変わったのかを詳しく見る

風除室・廊下・階段は何lx?マンション共用部の照度基準一覧|JIS Z 9110の維持照度と駐車場・LED選定

「管理組合から照度基準を求められたが、JIS値がわからない」「蛍光灯をLEDに替えたら廊下が暗いとクレームが来た」——マンション共用部のLED工事で施工業者がはまりやすいのは照度不足とIP等級の選定ミスです。区域別推奨照度(JIS)・LED選定の確認ポイント・管理組合向け省エネ試算の手順を実務データとともに整理します。

マンション共用部のエントランスホール。集合ポストの周りと天井の間接照明で、足元まで均一に明るい
共用部の実装に使う部材(当店の実物)
廊下・エントランスの足元灯・間接照明にはCOBテープライト(DC24V・約12W/m・Ra90超・5m巻 税込¥2,310〜)+LEDテープの電源(DC24V・200W 税込¥4,180〜)。設計の型はマンション共用部の照明ガイドへ。

JIS Z 9110 マンション共用部の照度基準一覧

照度の推奨値は日本産業規格(JIS)が用途別に定めています。屋内の数値は現在 JIS Z 9125:2023(屋内照明基準) に収録されており、JIS Z 9110は2024年12月20日の改正で総則になりました。共同住宅の共用部分は JIS Z 9110:2011 の表18 に区分と維持照度が並んでいます。下の表Aはその表18の値をそのまま並べたもので、うちが勝手に決めた数字ではありません。「維持照度」は経年劣化後も下回らないようにする値なので、設計時はここに保守率(LEDなら0.8前後)を見込んで初期照度を決めます。表18に区分が無い場所(屋外アプローチ・ゴミ置き場・機械室など)は表Bに分け、うちが現場で使っている実務値だと分かるようにしています。

表A JIS Z 9110:2011 表18(共同住宅の共用部分)の維持照度

区域(表18の区分名) 維持照度 実務上の補足
風除室(表18の区分名は「棟の出入口」) 100 lx 外と屋内の明暗差をつなぐ場所。昼は外光が強く100 lxでは暗く見えるため、昼夜2段階の切替か調光を入れる。扉直近は雨が吹き込むのでIP44以上
ロビー(エントランスホール) 150 lx 防犯カメラの撮像品質・来訪者の顔の識別に影響。実務では200 lxまで上げる物件が多い
エレベータホール 150 lx 呼び出しボタン周辺は局部照明を追加
廊下(居住階) 100 lx 夜間は人感センサーで15〜30 lxまで落とす2段階調光が一般的
階段 150 lx 踏み面を均一に照らし、段鼻部を明確に視認できること
非常階段 50 lx 建築基準法の非常用照明とは別の回路。回路分離を必ず確認
集会室・管理事務所・受付 300 lx 書類確認・会議を想定。作業面での照度確保が必要
車庫(屋内駐車場) 100 lx 防犯・ナンバープレートの識別を考慮
洗濯場・浴室・脱衣室 150 lx 共同の設備がある物件のみ
物置 75 lx 作業時のみ点灯するセンサー対応で省エネ可
ピロティー 50 lx 屋外に準じる。防犯灯との連携で確保
構内広場 20 lx 夜間の顔の識別を重視する場合は50 lx以上

出典=JIS Z 9110:2011 表18(共同住宅の共用部分)。2024年12月20日の改正で屋内の具体的な数値は JIS Z 9125:2023 へ移っているため、設計書・仕様書に根拠を書くときは JIS Z 9125:2023 を参照してください。

表B 表18に区分が無い場所(当店が現場で使っている実務値)

区域 実務値 根拠・補足
屋外エントランス・アプローチ 50 lx 表18の「ピロティー」に準じる。夜間の顔識別を重視するなら100 lx
屋内駐車場(駐車スペース) 30 lx 表18の「車庫」は通路を含む100 lx。停める枡の中はドア開閉と荷物の出し入れができる明るさがあればよい
ゴミ置き場 30 lx 表18に区分なし。作業時のみ点灯するセンサー対応で省エネ可
機械室・電気室(点検時) 200 lx 表18に区分なし。高圧機器周辺は影ができにくい均一照度設計が必要

表Aは規格の値、表Bは当店の実務値です。いずれも建物の設計仕様書や管理組合の要求仕様が優先されます。省エネ補助金(経産省・各自治体)を申請する場合は、申請要件に照度基準の記載があることがあるため、申請前に必ず確認してください。

区域別のLED選定ポイント(IP等級・色温度・センサー)

廊下・階段

居住階廊下の最大の課題は「夜間の省エネ」と「安全照度の確保」の両立です。人感センサー(PIR)付きダウンライトまたはベースライトを選定し、在室時100 lx(表18の廊下の維持照度)・非在室時15〜30 lxの2段階調光が標準的な仕様です。非常用照明(バッテリー内蔵型)との回路分離も必ず確認してください。色温度は4000〜5000 K(白色系)が廊下・階段では視認性が高く、高齢者居住比率が高い物件では演色性Ra80以上を指定する管理組合も増えています。

エントランスホール

エントランスは第一印象を決める空間であり、演色性Ra80以上・色温度3000〜4000 Kで上質な印象を演出する物件が多いです。防犯カメラのナイトビジョン性能と照度バランスを確認し、カメラの感度に合わせた照度設計が必要な場合があります。屋内エントランスはIP40以上、風除室(雨の侵入がある扉直近)はIP44以上を選定してください。

屋内・地下駐車場

駐車場は天井高が低く(2.2〜2.5 m)、既存が蛍光灯40W管×2や水銀灯の場合が多いです。LED直付けベースライトまたは防塵型LEDに交換します。

駐車場タイプ 推奨IP等級 推奨光源 センサー
屋内平置き駐車場 IP44以上 LED直付けベースライト 40W相当 人感センサー(省エネ)
地下駐車場(換気あり) IP54以上 防湿型LEDベースライト 常時点灯(防犯)
機械式駐車場(ピット内) IP65以上 防水防塵型LED作業灯 常時点灯
屋外開放型駐車場 IP65以上 屋外用LEDポール灯・投光器 タイマー+センサー

蛍光灯・HIDからLEDへの交換時の照度確認方法

既存蛍光灯をLEDに置き換えるときに「照度が下がった」とクレームになる主な原因は次の3つです。

  1. 光束(ルーメン)を確認せず型番だけで選定した — 「FLR40W型⇒LED40W相当」でも製品によって光束が1,800〜3,500 lmと大きく異なります。
  2. 照射角の違いを無視した — 蛍光灯は360°配光、LEDチューブは片側120°または全周配光が混在します。反射板付き器具では全周配光型が必要です。
  3. 保守率を低く見積もった — 蛍光灯の保守率は0.70〜0.75、LEDは0.80前後。初期照度が同等でも数年後の維持照度差が出ます。

簡易照度計算式(概算確認用)

計算式の変数 内容 マンション廊下の目安
E(平均照度 lx) E = F × N × U × M ÷ A 目標:50〜100 lx
F(光束 lm) 製品カタログの全光束値 LEDダウンライト:700〜1,200 lm/台
N(灯数) 設置台数 2.4 m幅廊下:2.5〜3 m間隔が目安
U(照明率) 室指数から配光表で取得 廊下(室指数0.6〜0.8):0.45〜0.55
M(保守率) LED:0.80 / 蛍光灯:0.72目安 —
A(床面積 m²) 照明対象面積 1スパン:幅2.4 m × 奥行3 m = 7.2 m²

廊下のように細長い空間は室指数が低く(0.6〜0.8程度)照明率が低め(0.45〜0.55)になりやすいため、同じルーメン数でも広い部屋より照度が出にくいです。廊下長さ÷天井高の比が大きい場合は灯数を増やすか高光束型を選定してください。

管理組合向け省エネ提案の試算フォーマット

マンション管理組合は長期修繕計画との整合を確認しながらLED化を判断します。以下のフォーマットで試算を提示すると承認が取りやすくなります。

試算項目 蛍光灯(現状) LED(提案)
設置台数 __ 台 __ 台
1台あたり消費電力 __ W __ W
合計消費電力 __ W __ W
年間点灯時間 センサーなし常時点灯:8,760 h / センサーあり(在室率15%):1,314 h
年間電力量 __ kWh __ kWh
電力単価(目安) 管理組合の実績単価(または目安31円/kWh)
年間電気代 __ 円 __ 円
年間削減額 __ 円(削減率 __%)
工事費込み初期投資 __ 円
投資回収年数 __ 年(初期投資 ÷ 年間削減額)

廊下・共用部の点灯時間は人感センサーの有無で大きく変わります。センサーなし(常時点灯):8,760 h/年、センサーあり(在室率10〜20%の場合):900〜1,750 h/年が計算上の目安です。深夜は低調光(15〜30 lx相当)に落とすゾーン調光設計と組み合わせると、さらに電力削減効果が高まります。

省エネ補助金(経産省・各自治体)を活用する場合は補助率・上限額を確認し、補助金適用後の実質回収年数を試算に加えると管理組合の承認が得やすくなります。

LEDテープライトを共用部で活用できる場面

LEDテープライトは主照明の補助として意匠性を高める用途で共用部に採用されています。以下の場面で実績があります。

  • エントランス足元ライン:サッシ下や床と壁の見切り部に間接照明を仕込み、深夜の誘導灯代わりに10〜20%調光で常時点灯。防水IP65以上のシリコンカバー型テープが適合します。
  • エレベーターホール天井廻縁:アルミフレームにCOBテープを収めてトップライト形状の間接照明を演出。色温度3000 Kで高級感を出す設計が人気です。
  • 集会室のブラケット補助照明:壁面の見切り材にLEDテープを仕込み、演色性Ra90のテープでメイン照明のグレアを補完します。
  • 駐車場の誘導ライン:通路端に低輝度(100〜200 lm/m)のLEDテープを設置して夜間の車両誘導に使用。アルミ押し出しフレームに収めると踏みつけ対策になります。

いずれの場合も主照明回路とLEDテープ回路を分けて、テープの故障が主照明に影響しない配線設計が基本です。

よくある質問(FAQ)

Q. 風除室の照度は何lxにすればよいですか?

JIS Z 9110:2011 表18(共同住宅の共用部分)に「風除室」という区分名はなく、該当するのは「棟の出入口」の維持照度100 lxです。ただし風除室は数値より明暗差の設計が要点になります。昼間は外が数千〜数万lxあるため100 lxでは暗く見え、夜間は逆に中が明るすぎて外から丸見えになります。昼夜2段階の切替か調光を入れ、隣のロビー(表18で150 lx)との差を大きくしすぎないほうが目が慣れます。扉の直近は雨が吹き込むためIP44以上を選定してください。

Q. マンション共用部の廊下に必要な照度は何lxですか?

JIS Z 9110:2011 表18(共同住宅の共用部分)の維持照度は、廊下100 lx・階段150 lx・棟の出入口(風除室)100 lxです。これは経年劣化後も下回らないようにする値で、設計時はここに保守率を見込んで初期照度を決めます。人感センサーと組み合わせ、非在室時は15〜30 lxに落として省エネと安全を両立する設計が一般的です。

Q. 共用部のLED照明に防水等級(IP)は必要ですか?

屋内廊下・エレベーターホールはIP20〜IP40程度で通常問題ありません。地下・機械式駐車場はIP44以上、屋外エントランス・アプローチはIP65以上が推奨です。清掃時に高圧洗浄を行う箇所はIP54以上を選定してください。

Q. 管理組合への省エネ提案で投資回収年数はどう計算しますか?

削減W数 × 年間点灯時間(h)÷ 1,000 で年間削減電力量(kWh)を算出し、電気料金単価(実績値または目安31円/kWh)を掛けて年間削減額を出します。投資回収年数=工事費込み初期投資 ÷ 年間削減額です。人感センサーを追加する場合は点灯時間を在室率10〜20%で計算してください。

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