オフィス・事務所の照明基準ガイド|JIS Z 9110 照度500lx・色温度・LEDへの切り替えポイント

オフィス・事務所の照明には、JIS Z 9110(照度基準総則)による推奨照度が定められています。基準を満たさない照明環境は作業効率の低下・眼精疲労・健康障害のリスクを生じます。照度基準の根拠から色温度の選び方・蛍光灯からLEDへの切り替えポイントまで、施設管理者・総務担当者向けに実務データを整理します。

JIS Z 9110 オフィスの照度基準一覧

JIS Z 9110は、建築物の各用途・作業種別に応じた「推奨照度(lx)」を定める日本産業規格です。2011年改正版が現在も適用されており、建築基準法や労働安全衛生規則と合わせて参照されます。

事務所・オフィスの区域別推奨照度

作業・区域 推奨照度(lx) 主な照明方式
一般事務(PC作業・書類確認) 500lx 全般照明
設計・製図・精密作業 750lx 全般照明+局所照明
会議室・応接室 300lx 全般照明
受付・ロビー 300〜500lx 全般照明+装飾照明
廊下・通路 100lx 全般照明
階段 150lx 全般照明
休憩室・食堂 200lx 全般照明
書庫・倉庫 200lx 全般照明
トイレ・洗面 200lx 全般照明

照度の測定方法

JIS Z 9110では、照度は作業面(通常は床上75cm:机面の高さ)で測定します。照度計を用いて室内を格子状(2〜4m間隔)に計測し、その平均値が推奨照度を下回らないことを確認します。

既存オフィスで照度不足が確認された場合の対応:

  • 照明器具の増設・光束の高い器具への交換
  • 照明器具の清掃(経年汚れによる光束低下の回復)
  • デスク上への局所照明(デスクライト)の追加
  • 天井・壁の反射率を高める(白系内装での反射効果)

労働安全衛生規則との関係

労働安全衛生規則第604条では、精密な作業は300lx以上、普通の作業は150lx以上、粗な作業は70lx以上と定めており、JIS Z 9110の推奨照度より低い設定です。ただし、JIS基準を満たすことで作業効率・健康管理の両面で実質的な職場環境改善につながります。

オフィス照明の「色温度」と「演色性」の選び方

色温度:オフィスには昼白色(5000K)が基本

オフィス・事務所では昼白色(4500〜5000K)または昼光色(6000〜6500K)が標準です。色温度が高いほど青白く、集中力・覚醒度が高まる効果があります。一方、電球色(2700〜3000K)はリラックス感が強く、長時間のPC作業には適しません。

色温度 色の印象 推奨用途
2700〜3000K(電球色) オレンジ〜暖白 休憩室・応接・照明演出
3500〜4000K(白色) 中間白 受付・ロビー
4500〜5000K(昼白色) 自然白 一般事務・PC作業(推奨)
6000〜6500K(昼光色) 青白 設計製図・精密作業

演色性(Ra値):オフィスにはRa80以上

オフィスでは資料・製品・人の顔色などを正確に把握できることが重要です。JIS Z 9110では、一般事務にはRa80以上を推奨しています。色校正・デザイン業務にはRa90以上が望ましい基準です。

Ra値 推奨用途
Ra70以下 廊下・倉庫など色再現性が不要な区域
Ra80以上 一般事務・会議室(標準)
Ra90以上 デザイン室・色校正・品質検査

グレア(まぶしさ)対策と照明配置の基本

オフィスでのグレア問題とは

グレアとは、視野内に存在する過度に明るい光源や反射光が原因で生じる不快感・視機能低下です。PCモニターへの照明の映り込み(反射グレア)と、照明器具を直視したときの不快感(直接グレア)が主な問題です。

グレア対策の基本

  • ルーバー・拡散カバー付き器具の選択:直接グレアを抑えるルーバー(格子カバー)や乳白拡散カバー付きの照明器具を使用する
  • 照明器具の配置方向:PCモニターの反射を防ぐため、照明をモニター画面と平行に配置(モニター正面から見て左右に器具を配置)
  • 照度均一性の確保:照明間隔が広すぎると明暗ムラが生じ、目の疲労が増加する。JIS Z 9110では均斉度(最低照度÷平均照度)0.7以上を推奨
  • 間接照明の補完使用:天井面へのLEDテープ間接照明を補完的に使用することで、グレアを出さずに全体の明るさ感を高められる

VDT作業ガイドラインとの整合

厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(2019年)」では、画面の輝度は500cd/m²以下・周囲と画面の輝度比は3:1以下を推奨しています。周囲が暗すぎる(照度不足)と輝度比が悪化するため、作業面500lxの確保は眼精疲労対策の基本です。

蛍光灯からLED照明への切り替えポイント

2027年蛍光灯製造禁止と切り替えの背景

水銀に関する水俣条約に基づき、日本では2027年末を目処に一般照明用蛍光灯の製造・輸出入が禁止される予定です。現在使用中の蛍光灯は点灯し続けますが、球切れ後の補充球が入手困難になるため、今から計画的にLED化を進めることが推奨されます。

蛍光灯→LED切り替えの3パターン

方式 概要 メリット 注意点
器具ごと交換 LED一体型器具に全交換 最も安定・高効率・長寿命(20年設計) 初期費用が最大
直管LED(工事あり) 既存器具の安定器を撤去してLED管を挿入 器具を流用できる・高効率 電気工事士による安定器撤去工事が必要
直管LED(工事なし) 既存器具にLED管を挿入(グロー式器具限定) 工事不要・低コスト 安定器劣化のリスク・効率が低い

LED切り替えで照度が変わることへの対応

蛍光灯(Hf32W)の光束は約3,600lmに対し、同等クラスのLED一体型器具は4,000〜4,800lmを出力するものが多く、交換後に照度が上がるケースが一般的です。逆に低コストのLED管では光束が下がる場合があるため、カタログの光束値(lm)と効率(lm/W)を必ず確認します。

省エネ効果と投資回収シミュレーション

50坪オフィス(蛍光灯40本→LED器具交換)の試算

項目 蛍光灯(Hf32W×2灯) LED一体型器具
1台の消費電力 約72W 約34W
40台の合計電力 2,880W 1,360W
年間電力消費(10時間×250日) 7,200kWh 3,400kWh
年間電気代(30円/kWh) 約216,000円 約102,000円
年間削減額 約114,000円(53%削減)

LED器具40台の交換費用を1台あたり15,000円(材工込み)と仮定すると総額60万円となり、年間11.4万円の電気代削減によって約5.3年で投資回収できます。補助金(経産省・省エネ補助金)を活用できれば、回収期間はさらに短縮されます。

LEDテープライトをオフィスで活用できる場面

一般的なオフィスでは天井の全般照明が主体ですが、LEDテープライトを間接照明として活用することで、グレアを抑えながら快適な照明環境を実現できます。

活用シーン

  • 受付カウンター・エントランス:カウンター前面や天井コーブへの間接照明。2700〜4000Kで企業イメージを演出。
  • 会議室の天井コーブ:蛍光灯の直接グレアを避け、天井反射光による柔らかい全般照明。Ra90以上・昼白色5000Kで資料の視認性を確保。
  • 執務エリアの間接補助光:デスク側面の棚下にCOBテープ(フリッカーフリー・Ra80以上)を設置し、手元の均一性を向上。
  • 廊下・通路の足元灯:IP65対応のLEDテープを床面近くに設置し、夜間の廊下照度を確保しつつ消費電力を抑制。
  • サーバー室・倉庫の棚下照明:棚間の暗がりをLEDテープで補光し、物品管理の視認性を向上。

オフィスでのLEDテープ選定基準

用途 推奨色温度 Ra値 電圧
執務エリア間接照明 4500〜5000K(昼白色) Ra80以上 24V(長尺対応)
会議室コーブ照明 4500〜5000K Ra90以上 24V
受付・エントランス演出 2700〜4000K Ra80以上 12V or 24V
廊下・通路足元灯 4000〜5000K Ra80以上 24V(IP65防水)

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