規格改正のお知らせ(2026年8月時点)
JIS Z 9110は2024年12月20日に改正され、屋内の具体的な照度の数値はJIS Z 9125:2023(屋内照明基準)へ移りました。本記事に載せている照度値は旧版(JIS Z 9110:2011)の区分に基づくものです。数値そのものが大きく変わったわけではありませんが、設計書・仕様書に根拠を書く場合はJIS Z 9125:2023を参照してください。 → 2024年改正で何が変わったのかを詳しく見る

ドラッグストア・薬局のLED照明ガイド|電気代削減40〜55%・JIS照度基準・商品別演色性選定と省エネ試算

ドラッグストア・薬局は長時間営業・広い売場面積・多種商品陳列の三重負荷で照明電力コストが高くなりやすい業態です。LED化による電気代削減40〜55%の実現に必要な照度基準・演色性選定・投資回収計算を実務向けに整理します。

ドラッグストア・薬局の照明基準(JIS Z 9110)

JIS(屋内の現行規格は JIS Z 9125:2023。2024年12月20日の改正で JIS Z 9110 から移行)では、小売店・薬局の売場照度は500〜1000lxが推奨されています。医薬品・化粧品・食品の正確な色確認が必要な売場では高照度・高演色性が求められます。

エリア 推奨照度(lx) 根拠・理由
一般売場(医薬品・日用品) 500〜750lx 商品の視認性・ラベル確認
化粧品売場 750〜1000lx 肌色・化粧色の正確な確認にRa90以上も推奨
食品・飲料売場 500〜750lx 食品の鮮度感・色再現性(Ra90推奨)
調剤カウンター・受付 750〜1000lx 処方箋確認・薬剤色確認(Ra90以上)
通路・エントランス 300〜500lx 歩行安全・導線誘導
バックヤード・倉庫 200lx 在庫管理・ピッキング

ドラッグストアの照明電力コストが高い理由

一般的なドラッグストア(150〜200坪)では照明器具が100〜200台規模になります。年間営業時間が3,600時間(12時間/日×300日)を超える業態では、蛍光灯からのLED切り替えで年間数百万円規模の電気代削減が実現できます。

商品ゾーン別の演色性・色温度選定

ドラッグストアで演色性が重要な理由

演色性(Ra値)が低い照明では、商品の実際の色と見た目の色に差が生じます。特に化粧品・医薬品・食品では色の正確な確認が購買判断と安全性に直結するため、売場の演色性設計は重要です。

商品カテゴリ 推奨色温度 推奨Ra値 理由
化粧品・スキンケア 4000〜5000K(白色〜昼白色) Ra90以上 肌色・ファンデーション色の正確な確認
医薬品・医療機器 4500〜5500K(昼白色〜昼光色) Ra80以上 錠剤色・ラベル文字の視認性確保
食品・健康食品 3000〜4500K(白色〜昼白色) Ra90以上 食品の鮮度感・パッケージカラー再現
日用品・生活雑貨 4000〜5000K Ra80以上 商品視認性・価格ラベルの見やすさ
エントランス・通路 4500〜5000K Ra80以上 歩行安全・全体の明るさ感

色温度で売場の「印象」が変わる

化粧品売場では4000〜5000Kの白色〜昼白色が「清潔感・信頼性」を演出します。一方、3000K以下の電球色は肌への温かみは出ますが、薬局としての「正確さ・信頼性」のイメージとはかけ離れるため避けるべきです。

電気代削減のシミュレーション

100坪ドラッグストア(Hf蛍光灯→LED一体型器具)の試算

項目 蛍光灯(Hf32W×2灯) LED一体型器具
1台の消費電力 約72W 約34W
器具台数 80台
合計消費電力 5,760W 2,720W
年間電力消費(13時間×360日) 26,957kWh 12,730kWh
年間電気代(31円/kWh・税込) 約836,000円 約395,000円
年間削減額 約441,000円(53%削減)

※単価は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が案内する 電気料金の目安単価 31円/kWh(税込) を使用しています(令和4年7月22日改定。経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会の電力取引報をもとに算出されたもの。2026年8月8日確認)。

自分の店の数字で出し直す

上の試算はあくまで目安です。電気代の単価は契約している電力会社と契約種別で変わります。 実際の店舗で判断するときは、次の3つを自店の数字に置き換えてください。

  • 単価:検針票(電気ご使用量のお知らせ)の請求額を、同じ月の使用電力量(kWh)で割る。基本料金と再エネ賦課金も含めた「実際に払っている1kWhあたりの金額」が出る
  • 器具の台数と消費電力:安定器込みの実消費電力で見る。Hf32W×2灯は器具として約72W(管の32W×2ではない)
  • 年間点灯時間:営業時間ではなく点灯時間で計算する。開店前の準備と閉店後の清掃で、営業時間より1〜2時間長いのが普通

計算式は 「合計W ÷ 1000 × 年間点灯時間 × 単価」 だけです。 蛍光灯側とLED側の2回計算して差を取れば、その店の年間削減額が出ます。

LED棚下照明(テープライト)の追加効果

天井照明のLED化に加えて、棚下へのLEDテープ照明追加で棚面照度を300lx追加確保できます。天井照明を落としながら棚下照明で商品面の照度を確保する「重点照明」設計で、さらに10〜20%の電力削減が可能です。

投資回収計算

想定規模 初期投資額(材工込み) 年間削減額 投資回収期間
50坪(器具40台) 約60万円 約22万円 約2.7年
100坪(器具80台) 約120万円 約44万円 約2.7年
200坪(器具160台) 約240万円 約88万円 約2.7年

※省エネ設備の補助金を使えると初期投資の一部を賄えるため、回収期間はさらに短くなります。 制度ごとの補助率・上限額・公募の時期は LED照明に使える補助金・助成金のガイドにまとめています。 ほとんどの制度は交付決定より前に発注・着工すると対象外になります。見積りより先に公募要領を確認してください。

調剤薬局エリアの照明基準

調剤室・処方カウンターには医薬品の正確な識別のために特に高い照度と演色性が必要です。

エリア 推奨照度 推奨Ra値 推奨色温度
調剤室(調剤台) 750〜1000lx Ra90以上 5000〜5500K(昼白色〜昼光色)
処方箋受付カウンター 500〜750lx Ra90以上 4500〜5000K
待合スペース 300〜500lx Ra80以上 3000〜4000K(白色)
薬棚・在庫エリア 300〜500lx Ra80以上 4500〜5500K

調剤室のLEDテープ活用例

調剤台・棚下へのLEDテープライト設置は、天井照明だけでは確保できない手元照度を補完します。COB型LEDテープ(Ra90以上・5000K・フリッカーフリー)を棚下アルミフレームに固定することで、薬剤師の作業精度向上と眼精疲労軽減に寄与します。

LED照明選定の早見表と導入ポイント

ドラッグストア・薬局向けLEDテープ選定基準

用途 色温度 Ra値 形状 電圧
化粧品棚下照明 4000〜5000K Ra90以上 COBテープ(均一発光) 24V(長尺対応)
医薬品棚下照明 4500〜5500K Ra80以上 COBまたはSMDテープ 12V or 24V
食品棚下照明 3000〜4500K Ra90以上 COBテープ 24V
調剤台手元照明 5000〜5500K Ra90以上 COBテープ(フリッカーフリー) 24V

蛍光灯廃止(2027年)に向けた計画的LED化のすすめ

ドラッグストア・薬局では全館蛍光灯が使われているケースが多く、2027年の蛍光灯製造禁止後に補充球が入手困難になるリスクがあります。今から3〜5年計画でゾーンごとにLED化を進めることで、補充球切れによる突発停止ロスを防ぎながら電気代削減と設備投資の平準化が実現できます。

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