4.8W/mから20W/mまでの違いと、間接照明・看板・作業照明・屋外サインごとの選定基準を施工業者向けに解説
W/m(1メートルあたりの消費電力)は「明るさの目安」として使われますが、高W/mを選ぶと発熱増大・電源容量不足・電圧降下の悪化・ケーブル太さ変更が連鎖します。用途に必要な輝度から逆算してW/mを決め、放熱と電源を合わせて設計する流れが現場の基本です。
W/m(ワット/メートル)はLEDテープが1メートルあたりに消費する電力を示す数値です。一般的にはW/mが高いほど明るく、発熱が多く、電源・配線も大きくなるという相関があります。
ただし、明るさ(lm/m)はW/mだけで決まらず、発光効率(lm/W)も重要です。高効率のテープは同じW/mでも輝度が20〜40%高くなります。W/mを選ぶ際は「何のためにその明るさが必要か」という用途から逆算するのが正しいアプローチです。
W/mと消費電力の計算:
全消費電力(W)= W/m × テープ総長(m)
例:9.6W/m × 8m = 76.8W → 電源は少なくとも76.8W ÷ 0.8(余裕係数80%) = 96W以上が必要。24V電源なら96W÷24V = 4Aの電源が必要。
| 用途カテゴリ | 推奨W/m | 目安lm/m(効率80lm/W時) | 放熱対策 | 推奨電圧 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 棚下・間接照明(アクセント) | 4.8〜7.2W/m | 384〜576lm/m | アルミフレーム推奨(なしでも可) | 12V / 24V | 長時間通電が多い。省エネ重視なら低W/m |
| 天井コーブ・建築間接照明 | 7.2〜9.6W/m | 576〜768lm/m | アルミフレーム必須 | 24V推奨 | 均一な照度が求められるため、高効率テープを選択 |
| 陳列棚・ショーケース照明 | 7.2〜14.4W/m | 576〜1152lm/m | アルミフレーム必須 | 24V推奨 | Ra90以上の高演色テープと組み合わせる |
| 看板内照バックライト(小〜中型) | 9.6〜14.4W/m | 768〜1152lm/m | アルミフレーム必須+換気 | 24V必須 | 面発光均一性のためCOBタイプも検討 |
| 屋外看板・大型電飾サイン | 14.4〜20W/m | 1152〜1600lm/m | 放熱シート+アルミフレーム+換気穴必須 | 24V必須 | IP65以上の防水テープを使用。電圧降下に注意 |
| 作業照明・工場ワークライト補助 | 14.4〜20W/m | 1152〜1600lm/m | 放熱シート+アルミフレーム必須 | 24V必須 | 粉塵環境はIP54以上。高天井は別途照明器具を検討 |
| 植物育成・農業施設 | 20W/m以上 | (育成用波長で判断) | 専用放熱機構必須 | 24V / 48V | PPFDで設計する。汎用テープは不適切なケースが多い |
LEDテープは消費電力の約70〜75%が熱に変換されます(残り25〜30%が光)。W/mが高いほど単位長さあたりの発熱量が増え、チップ接合部温度(Tj)が上昇します。Tjが高すぎると光束低下・色ずれ・寿命短縮が加速します。
| W/m | 発熱量(目安) | アルミフレームなし時の基板温度 | アルミフレームあり時の基板温度 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 4.8W/m | ≒ 3.4W/m(熱) | 40〜50℃ | 35〜40℃ | 長寿命 |
| 7.2W/m | ≒ 5.2W/m(熱) | 50〜60℃ | 40〜48℃ | 良好 |
| 9.6W/m | ≒ 6.9W/m(熱) | 60〜75℃ | 48〜58℃ | アルミフレーム必須 |
| 14.4W/m | ≒ 10.4W/m(熱) | 75〜90℃+(危険域) | 55〜68℃ | 放熱シート+フレーム必須 |
| 20W/m | ≒ 14.5W/m(熱) | 90℃+(寿命激減) | 65〜80℃ | 強制換気・大型フレーム必須 |
放熱設計の実務: 基板温度が60℃を超えると寿命が半分以下になります。アルミフレームは放熱だけでなく、テープの固定・光線のコントロール(拡散カバー)も兼ねるため、9.6W/m以上では必ず採用してください。フレームと壁の間に隙間を設けて対流換気を確保することも効果的です。
電源は「余裕係数1.25」を確保することで過負荷による保護回路動作・発熱・寿命低下を防げます。
複数回路がある場合は系統ごとに計算して個別の電源を割り当てるか、
大型の集中電源BOXと回路ブレーカーを組み合わせる構成にします。
間接照明は壁・天井に拡散した光が目的であり、20W/mの直接光は眩しさのトラブルになりやすい。7.2〜9.6W/mに拡散カバーを組み合わせる方が品質が高い。
小型の薄型看板(アクリル板)では面輝度が不足して文字が読みにくくなる。看板用途では最低でも9.6W/m以上を選び、必要に応じてCOBテープを検討する。
既設の電源でW/mの高いテープに交換すると電源の定格を超えて保護回路が動作・頻繁にリセットが起きる。テープのW/mを変える際は電源容量も必ず再計算する。