「IP65対応のLEDテープを使ったのに、屋外に施工した1年後に接続部から浸水して点滅が止まらなくなった」——この手のトラブルは現場で頻繁に発生します。原因のほとんどが接続部・端末・配線引き出し部の防水処理不足です。LEDテープ本体のIP規格は「テープの基板・チップ部分」に対する試験値であり、接続コネクタや半田付け部分は別途処理しなければなりません。本記事では、施工現場で行う防水処理の材料選びと手順を解説します。
なぜ防水処理が必要か——IPxx対応でも処理が要る理由
IPコード(IEC 60529)はLEDテープの製造時の試験値です。施工後の接続部・コネクタ・ハンダ部分は試験対象に含まれていません。IP65・IP67のテープでも、以下の箇所は無処理のまま屋外に設置すると1〜3年で浸水故障します。
| 要防水処理箇所 | 故障の起きやすさ | 必要な処理 |
|---|---|---|
| コネクタ接続部 | ★★★ 高 | シリコンシーラント充填 または 防水コネクタ使用 |
| テープ端末(カット面) | ★★★ 高 | シリコンシーラント + エンドキャップ 或いは 熱収縮チューブ |
| 電源への配線引き出し部 | ★★☆ 中〜高 | 熱収縮チューブ + シーラント、またはケーブルグランド |
| ハンダ付け部(延長・分岐) | ★★★ 高 | 防水熱収縮チューブ(内面接着剤付き) |
| テープの両面テープ張り合わせ面 | ★☆☆ 低〜中 | アルミフレーム収納 または シーラント線打ち |
よくある誤解: IP65テープを屋外サインに施工し、コネクタを市販のパナソニック接続端子(防水なし)でつないだ結果、1年で端子部から浸水して全長点滅不良になるケースが多発しています。テープのIPと接続部のIPは別物です。
防水処理の材料と選び方
シリコンシーラント(コーキング剤)
汎用性が最も高い防水処理材です。接続部・端末・引き出し部の隙間に充填して硬化させます。
| タイプ | 特徴 | 適用箇所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 透明(クリア)シリコン | 汎用品・最安値・目立たない | 全箇所 | 硬化に24〜48時間必要 |
| 防カビタイプ | 浴室・水回り専用 | 浴室・厨房 | 屋外外壁には不向き(黄変) |
| 変成シリコン | 塗装可能・密着強 | 外壁面との打ち継ぎ | シリコンより高価 |
熱収縮チューブ
ハンダ付け部・電線接続部に被せて熱収縮させる処理材です。内面接着剤入り(防水タイプ)を選ぶことが必須条件です。一般品(接着剤なし)では水が毛細管現象で浸入します。
| 種類 | 収縮比 | 防水性 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| 標準品(接着剤なし) | 2倍 | ×(防水なし) | 絶縁のみ・屋内のみ |
| 防水タイプ(内面接着剤付き) | 3倍 | ○(IP67相当目安) | 屋外・水回り接続部 |
| 防水タイプ 高収縮(4倍) | 4倍 | ◎ | 太い電線・異径連結部 |
防水コネクタ・防水カプラー
コネクタそのものにシール材が内蔵された製品です。IP65〜IP68対応品があります。LEDテープの延長接続が多い現場では、後処理不要で作業性が高まります。
- 圧着型防水コネクタ(ボタン式ロック・IP67): 工具なし接続可、現場作業性が高い
- ネジ型Oリングコネクタ(IP68): 水中照明・噴水・プールの水中設置に適用
- ケーブルグランド(PG型): 防水ボックスへの配線引き込み口に使用
防水処理の手順
① コネクタ・クリップ接続部の防水処理
IPA(イソプロピルアルコール)でテープ接続部の油分・水分を拭き取り、完全乾燥させる。濡れた状態でシーラントを打つと密着不良・硬化不全が起きる。
防水処理前に必ず点灯確認。硬化後に不灯が判明しても修正が困難になるため、この順序は厳守する。
コネクタの隙間・クリップの歯と基板の隙間にシリコンシーラントをノズル先端で確実に充填する。外側を覆うだけでは浸水経路が残る。内部まで入るよう圧入する。
シリコンシーラントの表面硬化は1〜2時間だが、内部硬化は24〜48時間かかる。養生完了前に雨水や洗浄水がかかると防水効果が落ちる。
② テープ端末(カット面)の防水処理
LEDテープのカット面(端部)は基板と半田パッドがむき出しになります。防水テープ(IP67仕様)でもカット面は保護されていない場合がほとんどです。
カット面全体にシリコンシーラントを均一に塗布し、半田パッドを覆う。塗りが薄い場合は2回塗り(初回乾燥後)にする。
シリコンカバー(ネオンフレックス)を使用している場合は、シーラント充填後にサイズの合ったエンドキャップを取り付ける。サイズが1mmでも異なると取り付け不可になるため、カバー幅と型番を事前確認すること。
エンドキャップが使用できない形状の場合は、防水熱収縮チューブ(内面接着剤付き)をカット面から5〜8mm被せ、ヒートガンで均一に収縮させる。端部をつぶすように収縮させて完全封止する。
③ 電源への配線引き出し部の防水処理
アルミフレームや壁の穴からケーブルを引き出す「貫通部」は、施工業者が最も見落としやすい箇所です。
| 状況 | 推奨処理方法 |
|---|---|
| アルミフレームの開口部からの引き出し | 引き出し後にシリコンシーラントで開口部を埋める。ケーブル径+1mm程度の隙間はシーラントで確実に充填。 |
| 外壁・看板の穴貫通部 | ケーブルグランド(PGネジ型)を穴に取り付けて配線を引き込む。グランドのOリングでケーブル径に合わせて締め込む。 |
| 防水ボックスへの引き込み | ケーブルグランドまたは防水ブッシング使用。ボックス内の電線接続はビニールテープではなくワゴ型防水コネクタを使用。 |
④ ハンダ付け部の防水処理(延長・分岐施工)
現場でLEDテープを延長・分岐するためにハンダ付けした部分は、最もデリケートな防水処理箇所です。
ハンダが完全冷却するまで防水処理を行わない(30秒以上待機)。残留フラックスがある場合はIPAで除去。
ハンダ付け前にチューブをケーブルに通しておく。チューブはハンダ部を左右5mm以上余裕をもって覆う長さを選ぶ。内面接着剤付き3倍収縮品を使用。
350〜400℃のヒートガンをチューブの端から中央へ向けて均一に当てる。片側だけ当てると偏収縮して端部に隙間ができる。収縮後に内面接着剤がはみ出すくらいまで加熱する。
施工後の防水確認チェックリスト
防水処理後に以下を確認してから引き渡してください。
| 確認項目 | 確認方法 | 基準 |
|---|---|---|
| シーラントの硬化 | 指で軽く押して確認 | 24時間後、表面がゴム状に硬化していること |
| コネクタ部の充填 | 目視・ライトで照らす | 隙間・ピンホールなし(空気泡が見えないこと) |
| 端末の封止 | 目視 | 基板・半田パッドが完全にシーラントで覆われていること |
| 熱収縮チューブ端部 | 目視・軽く引っ張り | 端部から内面接着剤のはみ出しあり、隙間なし |
| 配線貫通部 | 目視 | ケーブル周辺の隙間が完全充填されていること |
| 通電・点灯確認 | 電源ON | 全長点灯・チラつきなし |
IPX7相当の試験方法(簡易): 防水処理が必要な接続部・端末を、1mの水を入れたバケツに30分浸漬し、取り出し後に点灯確認する。設備がある場合は引き渡し前の品質チェックに活用できます。
よくある失敗と原因
| 症状 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 半年〜1年でコネクタ部から浸水・点灯不良 | シーラントの充填量不足・ピンホール残存 | シーラント打ち直し+防水コネクタへの交換 |
| 熱収縮チューブを使ったが端部から浸水 | 一般品(接着剤なし)を誤使用 | 内面接着剤付き防水タイプへ交換。加熱温度不足の場合は再加熱 |
| 外壁貫通部からの雨水侵入 | 配線周辺の隙間未処理 | ケーブルグランド取り付けまたはシーラント充填 |
| シーラント硬化後に白っぽく変色 | 一液型シリコンの酢酸硬化型(酢酸ガスが金属腐食) | 中性硬化型(ノンブリードタイプ)シリコンを選択 |