「IPは見たがIKを見落とした」を防ぐ。IK00〜IK10の衝撃エネルギーと用途別の必要等級を施工業者向けに解説
屋外サイン・体育館・駐車場・床見切りなどの現場で、IP等級(防水・防塵)だけを確認してIK等級(耐衝撃)を見落とすケースが多発しています。IPとIKはまったく別の規格で、いくら防水でもボール・台車・車両・蹴り・いたずらの衝撃でカバーが割れれば一発で浸水・点灯不良になります。物が当たる現場では両方を必ず確認してください。
IK等級は、照明器具やカバーが外部からの機械的衝撃(ぶつかり・落下・打撃)にどこまで耐えるかを表す国際規格(IEC 62262 / JIS C 0920に関連)です。「IK」のあとに続く2桁の数字が大きいほど耐衝撃性が高く、規格上の上限はIK10(衝撃エネルギー20ジュール)です。
試験は規定の質量のハンマー(おもり)を規定の高さから落として与える衝撃エネルギー(単位:ジュール/J)で定義されます。施工業者が押さえるべきポイントは「IK値=何ジュールの衝撃まで壊れないか」という1点です。
基本原則:IK等級は「LEDテープ単体」ではなく「テープ+保護カバー(アルミプロファイル+ポリカ等)」のシステム全体で決まる。
むき出しのテープは耐衝撃性ほぼゼロ(IK00相当)。物が当たる場所は、テープ本体の防水とは別に「カバーが割れない・外れない」ことを設計してください。
| IK等級 | 衝撃エネルギー | 試験条件(おもり質量×落下高さ・目安) | 想定される設置場所 | LEDテープでの推奨 |
|---|---|---|---|---|
| IK00〜01 | 保護なし〜0.14J | — | むき出しテープ・接触のない隠蔽部 | 衝撃のある場所NG |
| IK02 | 0.2J | 0.2kg ×(約100mm) | 手の届かない高所の天井間接照明 | 屋内・非接触のみ |
| IK03〜04 | 0.35〜0.5J | 0.25kg ×(約140〜200mm) | コーブ照明・高所壁面 | 屋内・高所向け |
| IK06 | 1J | 0.25kg ×(約400mm) | 人の手が触れる腰高の壁面 | 一般室内・接触あり |
| IK07 | 2J | 0.5kg ×(約400mm) | 屋外低位置サイン・公共空間の壁面 | 屋外・人通り多い |
| IK08 | 5J | 1.7kg ×(約300mm) | 体育館壁面・駐車場・台車動線 | 衝突リスクあり推奨 |
| IK09 | 10J | 5kg ×(約200mm) | スポーツ施設・車路・公共設備 | 高衝撃環境推奨 |
| IK10 | 20J | 5kg ×(約400mm) | 床埋込・段鼻・フォークリフト周辺・破壊対策 | 最高保護・床/車両近接 |
※試験条件(おもり質量×高さ)はIEC 62262に基づく代表値の目安です。製品によって試験方法・表記が異なる場合があるため、最終的にはメーカーの仕様書・試験成績書を確認してください。
必要なIK等級は「設置高さ」「人や物が触れる・ぶつかる可能性」「ボール・台車・車両の衝突有無」で決まります。現場で迷ったら以下を基準にしてください。
| 設置場所・現場 | 想定される衝撃 | 推奨IK | カバー・保護の考え方 |
|---|---|---|---|
| 天井裏・コーブ内(手が届かない) | ほぼなし | IK02〜03 | 放熱・防塵優先。耐衝撃は最小で可 |
| 店舗・住宅の腰高〜目線の壁面 | 人の接触・荷物 | IK06〜07 | アルミプロファイル+ポリカカバー |
| 屋外低位置サイン・袖看板の足元 | 蹴り・台車・いたずら | IK07〜08 | IP65以上+IK08を併用 |
| 体育館・スポーツ施設(ボールが当たる高さ) | ボール直撃・プレーヤー接触 | IK08〜10 | 乳半ポリカ+金属フレームで面保護 |
| 駐車場・車路・搬入動線 | 車両・台車・カートの衝突 | IK08〜10 | 低位置はガード材も併用 |
| 床埋込・階段段鼻・通路ライン | 踏みつけ・キャスター荷重 | IK10 | 荷重対応の埋込プロファイル必須 |
| 工場・倉庫(フォークリフト周辺) | 重量物・車両の接触 | IK10+物理ガード | IKだけに頼らず防護柵・離隔も |
【判定例】体育館の壁面・床から2.0mの位置にライン照明 → ①触れない高さだが ②バレーボールが当たる高さ → IK08〜10を採用。乳半ポリカ+金属フレームで面で受ける構造とし、端部キャップが衝撃で外れない固定にする。
耐衝撃はポリカーボネートが圧倒的に有利。アクリルは透明度は高いが衝撃で割れやすく低温で脆くなる。物が当たる場所は乳半ポリカ+アルミプロファイルを基本にする。
IK値はカバーが「割れない」だけでなく「外れない」ことも前提。クリップ・ビス・端部キャップが衝撃で脱落しないよう、メーカー指定の固定ピッチを守る。
IK等級だけに頼らない。屋外は防水(IP65以上)と両立させ、車両・重量物の近接部は防護柵やガード材で物理的に衝撃を遠ざける多重防御が安全。
| 項目 | IP等級 | IK等級 |
|---|---|---|
| 規格 | IEC 60529 | IEC 62262 |
| 守る対象 | 粉塵・水の侵入 | 機械的衝撃(ぶつかり) |
| 表記例 | IP65 / IP67 / IP68 | IK07 / IK08 / IK10 |
| 大きいほど | 防塵・防水が高い | 衝撃に強い |
| 確認すべき現場 | 屋外・水回り・厨房 | 体育館・駐車場・床・公共部 |