「DC24VのLEDテープだから感電の心配はない」——これは半分正しく、半分危険な思い込みです。テープ自体の低圧側は安全でも、その手前にあるAC100V/200Vの電源(PSU)と、テープを貼り付ける金属什器・金属サイン枠には、絶縁劣化や雨水侵入で金属部が充電状態になるリスクがあります。ここで効いてくるのが接地(アース)と漏電遮断器です。本記事では、どこに接地が必要か、金属造作・屋外サインでのD種接地の取り方、漏電遮断器との組み合わせを、施工業者の現場目線で整理します。なお接地・AC配線は電気工事士による施工が前提です。

そもそも「どこ」に接地が必要か

LEDテープ照明の回路は「AC電源 → PSU → DC低圧 → テープ」という流れです。接地が問題になるのはAC側とPSUの金属筐体、そしてテープを載せる金属造作です。低圧DC側のテープ本体にはアース端子はありません。

AC側(一次側)
接地必須
PSUのアース端子を建物の接地へ
PSU金属筐体
接地必須
絶縁劣化時に筐体が充電するのを防ぐ
金属造作・サイン枠
接地推奨
人が触れる金属部は地絡対策が必要
DC低圧側(テープ)
アース端子なし
12V/24Vは人体に危険な電圧ではない

接地を取る理由 — 感電と漏電のメカニズム

金属筐体・金属造作の内部でAC配線の被覆が傷んだり、屋外で雨水が侵入したりすると、本来電気が流れないはずの金属部が「充電状態」になります。ここに人が触れると、人体を通って地面へ電流が流れ感電します。

接地線で金属部をあらかじめ大地につないでおくと、漏れた電流は抵抗の低い接地線を通って地面へ逃げます。その電流変化を漏電遮断器(ELB/RCD)が検知し、瞬時に回路を遮断します。接地と漏電遮断器はセットで初めて機能する、と覚えてください。

危険: 接地を取らずに漏電遮断器だけ付けても、地絡電流の経路がなければ検知が遅れます。逆に接地だけで漏電遮断器がなければ遮断されません。屋外・水気のある場所では接地+漏電遮断器の両方が安全施工の前提です。

金属造作・屋外サインのD種接地

一般的な300V以下の低圧機器・金属造作はD種接地が対象です。施工時の要点を整理します。

項目D種接地の目安施工上のポイント
対象300V以下の低圧機器・金属筐体PSU筐体・金属サイン枠・金属什器
接地抵抗原則100Ω以下(条件により緩和あり)漏電遮断器の動作と組み合わせる
接地線の色緑/緑‐黄の保護導体他の配線と識別できるよう統一
締結専用の接地端子・アース端子へ確実に塗装面は削って金属導通を確保
屋外端子防食・防水処理端子の腐食で接地不良になるのを防ぐ

注意: 接地抵抗値・接地工事の要否は設備・地域条件で異なります。具体の数値・要否は電気設備技術基準と現場条件にもとづき、電気工事士・電気主任技術者が判断します。本記事は施工計画を立てる際の目安としてご活用ください。

屋外サインでの接地・防水とアースの実務

屋外サインは雨水・結露・温度変化にさらされ、内部に水が回るとAC側が金属枠へ地絡する典型ケースです。接地は実質必須と考えてください。

屋外サインの接地手順(計画の流れ)

  1. 金属枠の接地点を決める:塗装を削って金属面を露出させ、専用アース端子を設ける。
  2. PSU筐体と金属枠を保護導体で連結:緑/黄の接地線で確実に締結する。
  3. 建物のD種接地へ落とす:分電盤の接地端子・接地極へ接続する。
  4. 回路に漏電遮断器を入れる:屋外回路は感度の高いELBを選定する。
  5. 端子を防食・防水処理:屋外端子の腐食は接地不良の最大要因。シール・防水カバーで保護する。
  6. 導通・接地抵抗を測定:施工後にテスター/接地抵抗計で確認し記録を残す。

屋外サインは防水処理と接地が両輪です。テープ・コネクタ側の防水はIP等級と防水施工で確保し、金属枠側は接地で守ります。防水等級の選び方はIP65・IP67・IP68の違いガイド、屋外サイン向けの防水テープ選定は屋外サイン用LEDテープ選定ガイドを参照してください。

接地と誘導ノイズ(おまけの効果)

接地は感電対策が主目的ですが、副次的に誘導ノイズ・静電気の逃がし先としても働きます。金属造作に貼ったテープの配線が長く引き回される現場では、筐体を確実に接地することでノイズの回り込みが軽減される場合があります。ただしノイズ対策の主役はあくまで配線取り回しとフィルタであり、接地はその補助という位置づけです。詳しくはLEDテープのEMI・電波ノイズ対策ガイドを参照してください。

接地施工チェックリスト

  • □ PSUの金属筐体を建物の接地に接続したか
  • □ 人が触れる金属造作・サイン枠を接地したか
  • □ 接地線は緑/緑‐黄の保護導体で識別したか
  • □ 塗装面を削って金属導通を確保したか
  • □ 回路に漏電遮断器(ELB)を入れたか
  • □ 屋外端子を防食・防水処理したか
  • □ 施工後に導通・接地抵抗を測定し記録したか

まとめ

ポイント内容
接地が必要な箇所AC側・PSU金属筐体・人が触れる金属造作
テープ本体DC低圧でアース端子なし。危険なのは手前のAC側
D種接地300V以下の低圧機器が対象。緑/黄の保護導体で締結
セット運用接地+漏電遮断器で初めて感電を防げる
屋外サイン接地は実質必須。端子の防食・防水まで行う

「低圧テープだから安全」で済むのはテープ単体の話です。金属造作・屋外サインでは、その手前のAC側と金属部に接地と漏電遮断器を組み合わせることが、感電・漏電を防ぐ施工品質の分かれ目になります。AC配線・接地工事は必ず電気工事士の手で行ってください。金属面へのテープ施工時の絶縁については金属面へのLEDテープ絶縁施工ガイドもあわせてご確認ください。

よくある質問

DC12V/24VのLEDテープ自体にアースは必要ですか?
テープのDC低圧側(12V/24V)は人体に危険な電圧ではないため、テープ本体にアース端子はありません。接地が問題になるのはAC100V/200Vを扱う電源(PSU)側です。金属筐体のPSUにはアース(接地)端子があり、ここを建物の接地に確実につなぐことで、絶縁劣化時に金属部へ漏れた電流を地面へ逃がし、感電を防ぎます。テープを金属什器に貼る場合は、その金属什器の接地も検討対象になります。
金属什器や屋外の金属サインにLEDテープを付ける場合、接地はどうしますか?
金属筐体・金属什器・金属サイン枠は、内部のAC配線やPSUが絶縁劣化した際に金属部分が充電状態になる恐れがあります。これを防ぐため、金属部を建物のアース(D種接地)に接続し、あわせて漏電遮断器(ELB/RCD)を回路に入れます。屋外サインでは雨水侵入のリスクが高いため接地は必須に近く、接地線は緑/黄の保護導体で確実に締結し、端子の防食処理も行います。電気工事士による施工が前提です。
接地を取らないとどうなりますか?
接地がないと、絶縁劣化や雨水侵入でAC側が金属部に漏れたとき、金属に触れた人に電流が流れて感電します。接地と漏電遮断器が正しく機能していれば、漏電を検知して瞬時に回路を遮断し、感電を未然に防げます。特に屋外サイン・厨房・浴室など水気のある場所、不特定多数が触れる場所では、接地と漏電遮断器をセットで設けることが安全施工の基本です。

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