「LEDテープを点けたら店のラジオに“ザー”という雑音が入るようになった」「業務無線が聞き取りづらい」「AMの放送が受信できない」——施工後に意外と多いのが、この電波障害(EMI=電磁妨害)のクレームです。光り方は問題ないのに別の機器に障害が出るため、原因が分かりにくく対応が後手に回りがちです。本記事では、LEDテープがなぜ電波ノイズを出すのかという仕組みと、現場で原因を切り分ける手順、フェライトコア・高周波調光・シールド配線・電源選びによる具体的な消し方を施工業者向けに整理します。

先に結論: LEDテープ本体が直接ノイズを出すことはまれで、原因の大半は「スイッチング電源(PSU)」と「PWM調光器」、そして「長く伸びてアンテナ化した配線」です。まずこの3つを疑えば、ほとんどのラジオ雑音は止められます。

なぜLEDテープでラジオ・無線にノイズが入るのか

LED自体は直流で光る素子で、点灯しているだけならノイズ源にはなりません。問題は電気を「高速でON/OFFする」回路から生まれます。

  • スイッチング電源(PSU):AC100Vを24Vの直流に変換する際、内部で数十kHz〜数百kHzの高速スイッチングを行います。この切り替えのたびに高周波ノイズが発生します。
  • PWM調光:明るさを「点滅のON時間の比率」で調整する方式で、調光のたびに急峻な電圧の立ち上がり・立ち下がりが生じ、その高調波が広い周波数帯にノイズとして広がります。
  • 配線のアンテナ化:上記で発生したノイズは、長く伸びた給電線・テープそのものを“送信アンテナ”として空間に放射されます。配線が長い・束ねていない・シールドが無いほど飛びやすくなります。

この放射ノイズが、近くのAM/FMラジオ・業務用無線・アマチュア無線・一部のテレビ受信に重なって「雑音」として聞こえる、というのが電波障害の正体です。

どの機器が影響を受けやすいか(周波数帯の目安)

影響の受けやすさは周波数帯で大きく変わります。LED由来のノイズは比較的低い周波数帯に強く出るため、AMラジオと業務無線が最も被害を受けやすく、Wi-FiやBluetoothはほとんど影響を受けません

機器・用途周波数帯の目安影響の受けやすさ症状の出方
AMラジオ約530k〜1600kHz非常に高い「ザー」「ジー」という連続雑音
業務無線・簡易無線数十〜数百MHz帯高い受信感度低下・了解度の悪化
FMラジオ76〜95MHz弱電界で雑音・ステレオが崩れる
地上波テレビUHF帯低〜中受信環境が悪い所でブロックノイズ
Wi-Fi / Bluetooth2.4G/5GHzほぼ無し通常は影響しない

切り分けのヒント: 被害が出ているのがAMラジオや業務無線なら、ほぼLED側のEMIで間違いありません。逆にWi-Fiだけ不調という相談は、LEDノイズではなく別の原因(電子レンジ・チャンネル混雑等)の可能性が高いと判断できます。

現場でのノイズ源の切り分け手順

対策を当てる前に、まず「電源・調光器・配線」のどれが主犯か」を特定します。順番に消去法で絞り込むのが確実です。

試すこと雑音が消えたら主な原因
調光器を外し全点灯(100%)にする消えるPWM調光器
電源を質の良い別PSUに替える消えるスイッチング電源
給電線を短くまとめ直す/離す弱まる配線のアンテナ化
テープを別系統のコンセントへ消える電源ライン経由の伝導ノイズ

①②で消えれば対策箇所が確定するので、その機器に絞ってフェライトコアや交換を行います。③で弱まる場合は放射ノイズなので、配線の取り回しとシールドが効きます。

ノイズの消し方(対策と効きやすさ)

1. フェライトコアを入れる(最優先・低コスト)

クランプ式フェライトコアは、ケーブルに通すだけで高周波ノイズを熱に変えて減衰させる部品です。電源のDC出力線 → 調光器の入出力線 → テープへの給電線の順で、ノイズの出口に近いところから付けます。ケーブルをコアに2〜3回巻いて通すと効果が上がります。

2. PWM周波数の高い調光器に替える

安価なPWM調光は周波数が低く(200Hz〜1kHz程度)、可聴ノイズ・電波ノイズ・カメラのちらつきを招きます。数kHz〜十数kHz以上の高周波PWM調光器に替えると、ノイズと目に見えるちらつきの両方を抑えられます。詳しくはLEDテープの調光方式の違いを参照してください。

3. 配線を短く・ツイスト・シールド

  • 給電線・調光器〜テープ間の配線はできるだけ短くする(アンテナ長を短くする)。
  • +と−の線をツイスト(より線化)して放射を打ち消す。
  • 被害機器(ラジオ・無線アンテナ)から物理的に離す。数十cm離すだけでも改善することがあります。
  • 金属モール・金属ダクトに通す、シールド線を使うと放射が抑えられます。

4. 質の良い・EMC適合の電源を選ぶ

そもそもノイズの少ない電源を選ぶのが根本対策です。PSE/CEに加えてEMC(VCCI/EN55015等)への適合をうたう電源はノイズフィルタが内蔵されており、最初から雑音が出にくくなっています。電源選びの基本はDC24V電源の選び方もあわせてご確認ください。

対策コスト効きやすい相手効果の目安
フェライトコア(電源出力)AMラジオ全般大(まず試す価値大)
高周波PWM調光に交換調光時のノイズ
配線短縮・ツイスト放射ノイズ全般
シールド線・金属モール業務無線・FM中〜大
EMC適合電源に交換中〜高根本原因大(再発防止)

やってはいけない対策: ノイズを止めたいからと電源のアース線を外す・絶縁を省くのは厳禁です。アースはノイズを逃がす重要な経路でもあり、外すとかえって悪化したり感電・漏電のリスクが生じます。アースは正しく接続したうえでフェライト・シールドで対処してください。

電波ノイズ対策チェックリスト

クレーム発生時・予防施工時に上から順に確認すれば、対策の取りこぼしを防げます。

  • 被害機器がAMラジオ・業務無線かを確認した(Wi-Fiのみなら別原因を疑う)
  • 調光器を外して全点灯し、ノイズが消えるか試した
  • 電源(PSU)を別の質の良いものに替えて切り分けた
  • 電源のDC出力線にフェライトコアを通した(2〜3回巻き)
  • 調光器を高周波PWM品に交換した/検討した
  • 給電線を短くまとめ、+−をツイストした
  • 被害機器・アンテナからLED配線を物理的に離した
  • 採用電源がEMC(VCCI/EN55015等)適合かを確認した
  • アース・絶縁を外す対策をしていない

まとめ

症状まず疑う最初の一手
AMラジオにザー雑音スイッチング電源電源出力にフェライトコア
調光すると雑音が出るPWM調光器高周波PWM調光に交換
業務無線の感度低下配線の放射配線短縮・ツイスト・離隔
交換しても再発する電源の品質EMC適合電源に置換

LEDの電波障害は「電源・調光器・配線」の3点を切り分ければ、フェライトコアと配線取り回しという低コストな対策でほとんど解決できます。再発を防ぐなら、最初からノイズの少ないEMC適合の電源と高周波調光器を選ぶのが確実です。調光まわりの基礎はLEDテープのコントローラー・調光器ガイド、点灯不良全般の切り分けはLEDテープのトラブル診断もあわせてご覧ください。

よくある質問

LEDテープを点けるとAMラジオに雑音が入ります。まず何を疑えばよいですか?
最初に疑うのは「電源(PSU)」と「調光器」です。安価なスイッチング電源やPWM調光器はスイッチングのたびに高周波ノイズを出し、これが電源線や信号線を通じて放射されてAM/FM帯(数百kHz〜数十MHz)に雑音として乗ります。切り分けは簡単で、調光器を外して全点灯(100%)にして雑音が消えれば調光器、電源を質の良いものに替えて消えれば電源が原因です。どちらでも消えなければ配線のアンテナ化を疑い、配線を短くまとめてフェライトコアを通します。
フェライトコアはどこに付ければ効果がありますか?
ノイズの出口に近いほど効きます。最優先は電源(PSU)のDC出力線、次に調光器の入出力線、最後に長く伸びたテープへの給電線です。クランプ式フェライトコアにケーブルを2〜3回巻き付けて通すと、1回通すだけより高い減衰が得られます。AM帯のような比較的低い周波数には大きめ・巻き数多めが、数十MHz以上の高い周波数には小さめのコアが効きやすいので、効果が薄ければ位置と巻き数を変えて試します。電源側に1個付けるだけで大半のラジオ雑音が収まるケースが多いです。
調光しているとノイズが出ます。調光をやめずに消す方法はありますか?
PWM周波数の高い調光器に交換するのが最も効果的です。一般的な安価なPWM調光は200Hz〜1kHz程度ですが、ノイズ対策と人の目に対するちらつき対策を両立するには数kHz〜十数kHz以上の高周波PWMが有効です。さらに調光器の入出力にフェライトコアを追加し、調光器〜テープ間の配線を短くツイスト(より線化)すると放射が抑えられます。それでも残る場合は、PWMではなくアナログ(定電流)方式の調光や、コントローラー自体をEMC適合品に替えることを検討します。

ノイズの少ない業務用LED電源・調光器をプロ価格で

EMC適合の24V定電圧PSU・高周波対応コントローラー・COBテープを取り揃えています。
法人・個人事業主のお客様のご注文を承っています。

LED PRO SHOP を見る