施工方法ガイド

LEDテープにヒューズは必要?
過電流保護(回路保護)の入れ方と容量計算

ヒューズ容量の計算式・設置位置・配線太さとの整合・分岐回路の保護を施工業者向けに解説

公開: 2026-06-04 | カテゴリ: LEDテープ施工方法ガイド

よくある施工リスク:「配線が短絡して被覆が溶けた・焦げた」

LEDテープのDC配線でプラスとマイナスが触れて短絡すると、電源の保護が働く前に細い配線が一瞬で過熱し、被覆溶融・発火に至ることがあります。電源側に保護があっても、電源から先の配線は無防備になりがちです。ヒューズは「LEDを守る」ためではなく「配線を守る」ために入れる——これが過電流保護の出発点です。

なぜDC配線にヒューズ・回路保護が要るのか

スイッチング電源には過負荷・短絡保護が内蔵されていることが多いですが、その保護は電源自身を守るための動作です。電源から先のDC配線で短絡が起きると、電源の保護が落ちるまでの短時間でも、許容を超える電流が細い配線に流れて急激に発熱します。

とくに振動・水分・人の出入りでショートしやすい環境(什器・移動什器・屋外サイン・車載・イベント設営)や、配線が長い・束ねる・金属に這わせる現場では、配線側に独立した過電流保護を設けるのが安全です。保護は配線の最上流(電源直近のプラス側)で切るのが鉄則です。

原則:ヒューズ容量は「LEDの最大負荷を流せる大きさ」かつ「配線の許容電流を超えない大きさ」の両方を満たすこと。配線が先に焼けるヒューズ設定(配線許容<ヒューズ容量)は保護になりません。

ヒューズ容量の計算手順

ヒューズ容量の決め方(DC低電圧回路)

① 最大負荷電流 = LED合計消費電力(W) ÷ 電源電圧(V) ② ヒューズ容量 = 最大負荷電流 × 1.25〜1.5(突入余裕) → 規格値(3A/5A/7.5A/10A…)に切り上げ ③ 条件: ヒューズ容量 ≦ 配線(ハーネス)の許容電流 (これを満たさない場合は配線を太くする)

例:24V・8W/m × 10m = 80W → 80W ÷ 24V ≒ 3.3A
ヒューズ = 3.3A × 1.5 ≒ 5A(規格値5Aを選択)
条件確認:使用配線0.75mm²の許容が約7A → 5A ≦ 7A で成立(OK)

負荷電流とヒューズ・配線の早見表

下表は一般的なDC配線の目安です。配線の許容電流は被覆種類・周囲温度・束ね方で変わるため、実際はメーカー値で確認してください。

最大負荷電流 推奨ヒューズ容量 最低配線断面積の目安 判定
〜2A 3A 0.5mm²(許容約5A) OK ✓
〜3.5A 5A 0.75mm²(許容約7A) OK ✓
〜5A 7.5A 1.25mm²(許容約12A) OK ✓
〜7A 10A 2.0mm²(許容約17A) OK ✓
5A負荷に10Aヒューズ+0.5mm²配線 10A(過大) 0.5mm²(許容約5A) 不可 ✗ 配線が先に焼ける

保護デバイスの種類と使い分け

管ヒューズ/ブレードヒューズ

最も安価で確実。溶断したら交換が必要。ヒューズホルダ・インラインヒューズで配線途中に挿入する。DC定格電圧(例:DC32V以上)が回路電圧以上の品を選ぶ。

サーキットプロテクタ(再起動式)

過電流で遮断し、原因除去後にボタンやレバーで復帰できる。交換不要で保守性が高い。常設の什器・サインや、点検しにくい場所に向く。

ポリスイッチ(PTC)

過電流で抵抗が急増し電流を制限、冷えると自動復帰する自己復帰型。小電流回路の基板保護向き。大電流幹線の主保護には管ヒューズ等を併用する。

正しい設置位置と配線手順

AC一次側との区分:ここで扱うのは電源より後段のDC低電圧側の保護です。AC100V/200Vの一次側のブレーカ・漏電遮断器・接地は電気工事士の資格範囲となるため、有資格者が施工してください。施工区分は電源の入力端子で明確に分けます。

分岐回路の保護構成(多系統サイン・什器)

幹線(主保護)

位置電源+出力直近
容量全系統合計×1.25〜1.5
配線合計電流に耐える太さ

各分岐(分岐保護)

位置分岐点の各+線
容量その系統負荷×1.25〜1.5
狙い1系統障害の局所化

環境別の配慮

屋外/車載防水ホルダ・振動対策
常設什器再起動式が保守◎
束ね配線許容電流を減じて計算

過電流保護チェックリスト

よくある質問

Q. LEDテープのDC配線にヒューズは必要ですか?
強く推奨します。電源(PSU)自体に過負荷・短絡保護が内蔵されていても、電源から先のDC配線で短絡(プラスとマイナスの接触)が起きると、電源の保護が働く前に細い配線が一気に発熱して被覆溶融・発火に至る恐れがあります。とくに自動車・什器・屋外サインのように振動や水分でショートしやすい環境、配線が長い・束ねる現場では、電源直近のプラス側にヒューズまたはサーキットプロテクタを入れて回路を保護してください。ヒューズは「機器を守る」より「配線を守る」ために入れるのが基本の考え方です。
Q. ヒューズの容量(A)はどう決めればいいですか?
まずLEDテープの最大負荷電流を求めます。電流(A)=合計消費電力(W)÷電源電圧(V)です。例えば24V・8W/mを10m使うなら 80W÷24V≒3.3A。これに対しヒューズは突入電流による誤断を避けるため、最大負荷の1.25〜1.5倍程度を選び、規格値に丸めます(3.3A×1.5≒5A)。ただし重要なのは、ヒューズ容量が配線(ハーネス)の許容電流を超えないことです。配線が4Aまでしか流せないのに10Aヒューズを入れると配線が先に焼けるため、ヒューズは必ず配線許容電流以下に設定します。
Q. ヒューズはプラス側とマイナス側どちらに、どの位置に入れますか?
DC回路では電源のプラス側に、できるだけ電源出口の直近に入れます。理由は、保護したい配線の最上流(電源側)で切ることで、短絡時に下流の配線全体を保護できるためです。マイナス(GND)側に入れると、ショート箇所によってはヒューズを経由せずに電流が流れ保護できない場合があります。複数系統に分岐する場合は、幹線に主ヒューズを入れたうえで各分岐にも分岐ヒューズを入れる多段構成にすると、1系統の短絡で全系統が落ちるのを防げます。

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