アクリル板の側面(エッジ)からLEDテープの光を入れて面全体を光らせるエッジライト方式は、厚さ20〜30mm程度の薄型看板・メニューパネル・サインプレートを作れる定番の手法です。ただし「透明アクリルにテープを当てただけでは光らない」「入光側だけ明るくて奥が暗い」「表面に明るいスジが出る」など、初回の製作でつまずくポイントがはっきり決まっています。本記事では、導光板の選び方・板厚とテープ幅の対応・片側/両側入光の判断・遮光処理という順で、エッジライト看板の設計基準を施工業者向けに整理します。

エッジライト(導光板)が光る仕組み

エッジライトは、透明アクリルの内部を光が全反射しながら進む性質を利用します。素の透明アクリルでは光は内部を素通りして反対側の端から抜けるだけで、面はほとんど光りません。面を光らせるには、片面に拡散パターン(ドット印刷またはレーザー彫刻)を施した導光板(LGP: Light Guide Plate)を使い、パターンに当たった光を表面方向へ取り出します。

  • 導光板(LGP):入光辺の近くはパターンが疎、遠くは密に設計され、面全体が均一輝度になる
  • 乳半アクリル:内部拡散が強く光がすぐ減衰。端だけ明るくなり看板用途には不向き
  • 彫刻加工した透明アクリル:彫った文字・ロゴの部分だけが光る。ロゴサイン・ネームプレート向け

構成部材:基本構成は「導光板+背面の反射シート(白)+表面の拡散シートまたは乳半カバー+入光部のLEDテープ+周囲フレーム」です。反射シートを省くと背面へ抜ける光がそのまま損失になり、体感で明るさが大きく落ちます。

導光板は既製品か自作か|面の光らせ方4方式の比較

導光板(LGP)はアクリル加工業者からサイズ指定で調達するのが基本ですが、レーザー加工機を持つ看板業者であれば透明アクリルへの彫刻で自作することもできます。方式ごとの向き不向きを整理します。

方式面の均一さ向く用途注意点
既製導光板(ドット印刷LGP)◎ 面全体が均一ポスターパネル・メニュー看板など面発光全般サイズ指定で加工業者へ発注。入光辺の指定(パターン密度の向き)を間違えない
既製導光板(レーザー彫刻LGP)◎ 面全体が均一面発光全般。小ロットでも調達しやすい彫刻面は背面(反射シート側)に向けて組む
透明アクリルに彫刻して自作△ 彫った部分のみ発光ロゴ・文字・ラインだけを光らせるサイン入光辺から遠い部分ほど彫刻を深く・密にすると明るさが揃いやすい。必ずテストピースで確認
乳半アクリル+直下型(背面配置)○ テープ配置次第大型パネル・厚みを取れる筐体エッジライトではなくバックライト方式。薄型化はできないが大面積に強い

自作のコツ:彫刻自作では「彫刻面=背面」「入光辺から遠いほど密」の2点が仕上がりを分けます。本番の板を彫る前に、同じ板厚の端材で彫刻密度を2〜3段階変えたテストピースを作り、実際のテープで点灯確認してから本番加工に進んでください。

板厚とLEDテープ幅の対応(最重要)

エッジライトの効率は「テープの光をどれだけ板の断面に入れられるか」で決まります。原則は「テープの発光面幅 ≦ 板厚」。テープ幅が板厚を超えると、板に入らない光が漏れて損失になるだけでなく、フレーム内で反射した光が表面のスジ・ホットスポットになります。

アクリル板厚適合するテープ幅推奨タイプ備考
5mm4〜5mm細幅COBテープSMDの標準幅8mmは不適合。細幅品を選定する
6mm5〜6mm細幅COBテープ小型プレート・メニューパネル向け
8mm8mm以下COB/高密度SMD(幅8mm)屋内看板で最も使いやすい組み合わせ
10mm8〜10mmCOB/高密度SMDA2〜A1クラスのパネルに対応しやすい
15mm以上10〜12mm高出力SMD・2列貼りも可大型・高輝度用途。放熱設計も併せて必要

LED密度:ホタル(粒ムラ)を出さない

入光辺の近くでは、LED素子の間隔がそのまま「明・暗・明」の縞(ホタル)として見えます。エッジライトでは連続発光のCOBテープ、またはチップ間隔の狭い120chips/m以上の高密度SMDを使ってください。60chips/mクラスの低密度テープは、入光部から板の絵柄までの距離(かくし代)を大きく取らない限り縞が残ります。COBとSMDの違いはCOB vs SMDの比較ガイドを参照してください。

テープ幅の原則 ≦ 板厚 発光面が板の断面からはみ出さないこと
推奨LED密度 COB / 120chips/m〜 入光部の粒ムラ(ホタル)防止
片側入光の有効距離 300〜400mm 導光板性能により変動。超えたら両側入光へ
出力の目安 8〜14W/m 屋内サイン想定。高輝度化は放熱とセットで

片側入光・両側入光とパネルサイズの判断

光は入光辺から遠ざかるほど減衰します。パネルの「入光辺から最も遠い点までの距離」で入光方式を決めます。

発光方向の寸法入光方式目安の用途
〜300mm片側入光(長辺の下または上)ネームプレート・卓上メニュー・A4パネル
300〜400mm片側入光(導光板性能の確認要)A3パネル・小型壁面サイン
400〜800mm両側入光(対向2辺)A2〜A1パネル・カウンター上サイン
800mm超4辺入光 or 直下型へ変更B1超・大型フレックスサインは直下型が確実

両側入光では2本のテープの明るさを揃えることが重要です。同一製品・同一ロットを使い、同じ電源から同じ長さの配線で給電してください。片方だけ配線が長いと電圧降下で明るさ差が生まれます。大型パネルで直下型(背面にテープを等間隔で並べる方式)に切り替える場合の設計は光天井・ライトボックスの設計ガイドが参考になります。

入光部の施工ポイント(遮光・固定・放熱)

1. テープと板の位置合わせ

  • テープ発光面と板断面のセンターを合わせる。ズレると片面に光が偏りスジの原因になる
  • 発光面と板断面の隙間は1〜2mm以内。離れるほど入光効率が落ちる(密着はさせず、熱膨張ぶんの逃げは残す)
  • 板の入光断面は鏡面(メーカーカット面)を使う。ノコ目が残った断面は光が乱反射して効率が落ちるため、切断した場合は断面を研磨する

2. 遮光処理(光漏れ=輝度ロス)

  • 入光部の周囲(テープ背面・側面・板の入光辺の表裏かくし代)をアルミテープ等の遮光材で巻く
  • フレームのかくし代(板の縁を覆う幅)は10〜15mm確保し、入光直近の明るい帯を隠す
  • 遮光が甘いとフレームの隙間から光が線状に漏れ、暗い場所で安っぽく見える

3. 固定と放熱

  • テープはアルミチャンネル(フレーム)に貼り、チャンネルごと筐体に固定する。アクリルに直接貼ると熱がこもり、アクリルの熱変形・テープの寿命低下につながる
  • 10W/mを超えるテープを使う場合、フレーム材をアルミにして筐体へ熱を逃がす
  • 屋外設置は筐体の防水とは別にテープ自体もIP65以上を選定する。屋外サインの防水施工を参照

注意:アクリルの連続使用温度は70〜80℃程度で、局所的な熱で反り・白化が起きます。入光部にテープの熱が直接伝わらないよう、テープは必ずアルミ側に貼り、アクリルとは非接触で組んでください。

エッジライト看板の製作手順(8ステップ)

初回製作で手戻りが出やすいのは「導光板の向き」「テープ選定」「遮光」の3工程です。以下の順で進めると、組み上げ後のバラしが発生しにくくなります。

手順作業内容ここで確認すること
1. 採寸・方式決定発光面サイズと筐体の厚みを決める入光辺から最遠点までの距離で片側/両側入光を判断(〜300mm片側・400〜800mm両側)
2. 導光板の手配板厚・サイズ指定で導光板を発注(または彫刻自作)入光辺の指定(パターン密度の粗い側=入光側)。切断面は鏡面仕上げ指定
3. テープ選定板厚以下の幅・COBまたは120chips/m以上を選ぶ両側入光は同一製品・同一ロットで2本確保。色温度も揃える
4. フレーム加工アルミチャンネルを入光辺の長さに切断かくし代10〜15mmが取れるフレーム断面か。放熱経路(アルミ→筐体)を確保
5. テープ貼付・結線テープをアルミチャンネルへ貼り、電源へ結線この段階で仮点灯し、全点灯・色ムラなしを確認(組んでからの不点灯調査は手戻りが大きい)
6. 遮光処理テープ背面・側面・板の入光辺の表裏をアルミテープで巻く暗所で光漏れがないか。フレーム継ぎ目の線状漏れに注意
7. 組み込み反射シート→導光板→拡散シートの順に重ねて筐体へテープ発光面と板断面のセンター合わせ。隙間1〜2mm・アクリルとテープは非接触
8. 点灯確認正面・斜めから輝度ムラ・ホタル・スジを目視暗所でも確認。問題があれば次章「よくある失敗と対処」で切り分け

手戻り防止:手順5の「組む前の仮点灯」を飛ばすと、不点灯・色ムラの原因調査で筐体を全バラしすることになります。結線直後の仮点灯を工程として必ず入れてください。

よくある失敗と対処

症状主な原因対処法
面がほとんど光らない素の透明アクリル・乳半を使用(導光板でない)ドット印刷またはレーザー彫刻の導光板に変更する
入光側だけ明るく奥が暗い片側入光の限界超え・導光板の向き違い両側入光に変更。導光板はパターン密度の粗い側を入光辺に向ける
入光部に粒々の縞(ホタル)が見える低密度SMDテープ・かくし代不足COBまたは120chips/m以上に変更し、フレームかくし代を10〜15mm確保
表面に明るいスジ・ホットスポットテープ幅>板厚で漏れ光がフレーム内反射テープ幅を板厚以下にし、入光部を遮光テープで巻く
全体的に暗い反射シートなし・断面のノコ目・入光ギャップ過大背面反射シートを追加、断面を研磨、テープと断面の隙間を1〜2mmに詰める
左右で明るさが違う(両側入光)ロット違い・片側だけ配線が長い同一ロットに揃え、両側とも同じ電源・同等の配線長で給電する
アクリルが反った・白化したテープの熱がアクリルに直接伝わっているテープをアルミチャンネル側に固定し、アクリルと非接触にする

エッジライト看板 設計チェックリスト

  • 面発光には導光板(ドット印刷/レーザー彫刻)を使う設計にした
  • テープの発光面幅が板厚以下であることを確認した
  • COBまたは120chips/m以上の高密度テープを選定した
  • 入光辺から最遠点までの距離で片側/両側入光を判断した
  • 両側入光は同一ロット・同一電源・同等配線長で計画した
  • 背面の反射シート・表面の拡散材を構成に入れた
  • 入光断面は鏡面(研磨済み)で、テープとの隙間は1〜2mmにした
  • 入光部の遮光(アルミテープ)とフレームかくし代10〜15mmを確保した
  • テープはアルミチャンネルに貼り、アクリルと非接触にした
  • 屋外はテープIP65以上+筐体防水の二重で計画した
  • 電源容量は総W数×1.25倍以上で選定した(容量計算

まとめ

設計項目基準
板材面発光=導光板(LGP)。乳半単体は不可。ロゴのみ=彫刻アクリル
テープ幅板厚以下(板厚8mm→幅8mm以下)。細板は細幅COB
LED密度COBまたは120chips/m以上でホタルを防ぐ
入光方式〜300mm片側/400〜800mm両側/それ以上は直下型を検討
施工断面鏡面・隙間1〜2mm・遮光巻き・テープはアルミ側に固定

エッジライトは部材点数が少なく、設計基準さえ守れば量産しやすい看板方式です。初回製作時は本番サイズの前に300mm角程度のテストピースで「導光板の向き・ホタルの出方・かくし代」を確認してから本番の板を発注すると、材料の無駄が出ません。

よくある質問

普通の乳半アクリルでもエッジライトは光りますか?導光板でないとダメですか?
乳半(乳白半透明)アクリルでも側面から光を入れれば光りますが、光が内部で拡散されてすぐに減衰するため、入光側の端だけ明るく中央が暗い仕上がりになりやすく、看板用途では実用になりにくいです。エッジライト看板には、透明アクリルの片面にドット印刷やレーザー彫刻の拡散パターンを施した専用の導光板(LGP)を使ってください。導光板はパターン密度が入光側で疎・遠い側で密になるよう設計されており、面全体を均一に光らせられます。文字やロゴだけを光らせる場合は、透明アクリルに彫刻加工を入れる方法も有効です。
LEDテープの幅がアクリル板厚より広い場合はどうなりますか?
テープ幅が板厚を超えると、板の側面(エッジ)に当たらない光がそのまま外へ漏れて損失になり、フレーム内面で反射した光が表面に明るいスジやホットスポットとして現れる原因にもなります。原則は「テープの発光面幅 ≦ 板厚」で、板厚8mmなら幅8mm以下、板厚5mmなら幅5mm以下または細幅COBテープを選定します。どうしても板厚より広いテープしか使えない場合は、アルミチャンネルにテープを納めて開口を板厚に合わせて絞り、入光部全体を遮光テープで巻いて光漏れを塞いでください。
片側入光と両側入光はどう使い分けますか?
片側入光で均一に光らせられる距離は、導光板の性能にもよりますが目安で300〜400mm程度です。看板の発光方向の寸法(入光辺から最も遠い位置までの距離)がこれを超える場合は、対向する2辺から入れる両側入光にして600〜800mm程度までカバーします。それ以上のサイズや、A1・B1クラスの大型ポスターパネルでは4辺入光や、導光板方式をやめて背面からLEDを均等配置する直下型(バックライト方式)への切り替えを検討してください。両側入光では2本のテープを同一ロット・同一色温度で揃え、必ず両方とも同じ電源系統から給電して明るさ差を防ぎます。
透明アクリルに自分で彫刻して導光板を自作できますか?
レーザー加工機があれば可能です。ポイントは2つで、①彫刻面は背面(反射シート側)に向けて組むこと、②入光辺から遠い部分ほど彫刻を深く・密にして減衰分を補うことです。面全体を均一に光らせる用途では既製の導光板(LGP)に精度で及ばないため、彫刻自作はロゴ・文字・ラインなど「彫った部分だけを光らせる」サインに向いています。本番の板を加工する前に、同じ板厚の端材で彫刻密度を数段階変えたテストピースを作り、実際に使うテープで点灯確認してから本番加工に進んでください。
エッジライト看板の電源容量はどう計算しますか?
使用するテープの消費電力(W/m)×使用メートル数で負荷Wを求め、余裕率を見て負荷の1.25倍以上の容量の電源を選定します。両側入光の場合は2本分の合計で計算してください。例えば10W/mのテープを片側0.6m×2辺(計1.2m)使うなら負荷12W→15W以上の電源が目安です。電源を筐体内に収める場合は放熱スペースも考慮が必要です。詳しい計算手順は電源容量計算ガイドを参照してください。

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