食品工場・食品加工施設 LED照明施工事例
施工事例 B-64

食品工場・食品加工施設 LED照明施工事例
IP65防水・Ra90高演色でHACCP対応・55%省エネ達成

延床800㎡食品加工工場のLEDフルリニューアル。製造ライン5000K/Ra90/1,000lx均一・IP65防水・フリッカーフリーを実現。異物混入クレーム0件・HACCP照明要件完全対応・年間182万円削減の全データを公開。

施工結果サマリー(延床800㎡ 食品加工工場)

55%
電力削減率
182万
年間コスト削減(円)
0件
異物混入クレーム
HACCP
照明要件完全対応
IP65
製造ライン防水等級
2.4年
投資回収期間(目安)

食品工場における照明の特殊要件

食品加工施設の照明には、一般工場とは異なる厳格な要件があります。HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)対応の観点から、照明は「危害要因分析」の対象設備として管理する必要があります。

HACCPにおける照明管理の要点:
食品接触区域の照明は、①破損時の異物混入防止(飛散防止カバー)、②十分な照度(作業の種類に応じた確保)、③防水・防塵性能(洗浄水による漏電防止)の3要素を満たす必要があります。多くの食品工場でLED導入が進んでいる背景には、従来の蛍光灯・水銀灯が「ガラス管破損時の飛散リスク」を持つことへの懸念があります。

施工前の課題(認定食品加工工場 延床800㎡)

今回の施工対象は、弁当・惣菜製造を行う食品加工工場。製造ライン4本・冷蔵保管庫・洗浄エリア・更衣室を持つ施設です。施工前の照明は蛍光灯(スリム蛍光灯FL40)が主体で、以下の問題が発生していました。

問題原因(照明起因)リスク
蛍光管破損1件/年が発生振動・水濡れによる劣化異物混入・HACCP違反
ガラス片の回収に作業停止4時間破損時の飛散対策なし生産ロス・ライン停止
製造ライン照度のムラ(400〜700lx)器具配置の設計不足異物見落とし・品質ばらつき
冷蔵庫内の蛍光灯が結露で頻繁に不点灯低温・多湿環境に非対応品質確認できず・保管ロス
洗浄時の水かかりで器具が腐食防水仕様なし漏電リスク・感電リスク

ゾーン別施工設計

ZONE A
製造ライン・食品接触区域
色温度: 5000K(昼白色)
演色性: Ra90(食品色確認用)
使用テープ: COB LEDテープ 320m
消費電力: 3,200W
照度: 1,000lx均一(異物検出基準)
IP等級: IP65(高圧洗浄対応)
カバー: ポリカ製飛散防止カバー装着
フリッカー: 0%(DC電源)
特記: ライン作業員の手元・食材搬送ベルト上部の照度均一性を最優先設計
ZONE B
冷蔵保管庫・冷凍庫
色温度: 4000K(白色)
演色性: Ra80
使用テープ: COB LEDテープ 80m
消費電力: 800W
照度: 400lx
動作温度: -25℃〜+50℃(低温対応型電源)
IP等級: IP65(結露対応)
特記: 電源ユニットは冷蔵庫外に設置し低温環境の影響を最小化
ZONE C
洗浄エリア・前室
色温度: 5000K(昼白色)
演色性: Ra80
使用テープ: COB LEDテープ 100m
消費電力: 1,000W
照度: 500lx
IP等級: IP67(水没1m・30分耐久)
特記: 高圧洗浄機による床・壁・天井洗浄に対応。ステンレスマウントで腐食対策
ZONE D
更衣室・事務所
色温度: 4000K(白色)
演色性: Ra85
使用テープ: COB LEDテープ 60m
消費電力: 600W
照度: 500lx(事務)/ 300lx(更衣)
特記: 人感センサー連動で閉店後の消灯自動化・夜間警備員ルート維持

HACCP照明要件への完全対応

飛散防止対策(異物混入防止の根幹)

食品工場においてLED導入の最大の動機のひとつは「ガラス管がない」という点です。蛍光灯は破損時にガラス片・蛍光物質が飛散し、食品への異物混入リスクを生じます。COBテープ自体はガラスを使用せず、封止樹脂(シリコン系)で覆われています。

今回の施工ではさらに、製造ラインエリアのテープをポリカーボネート製のU字型カバーで覆い、万が一テープに損傷が生じても破片が食品ラインに落下しない設計を採用しました。ポリカーボネートは耐衝撃・耐熱・耐薬品性に優れ、食品工場の清掃用薬品(次亜塩素酸ナトリウム系)にも対応します。

照度基準(HACCP・JIS Z 9110準拠)

エリア区分推奨照度(HACCP参考基準)本施工設定適合
食品接触面・製造ライン上540lx以上(FDA Food Code参考)1,000lx◎ 超過
検品・目視検査区域1,080lx以上(精密検査)1,000〜1,200lx○ 適合
洗浄・前室エリア220lx以上500lx◎ 超過
保管庫(一般)110lx以上400lx◎ 超過

防水・防塵等級(IP67/IP65)の意味

IP(Ingress Protection)等級の数値は以下を示します。食品工場の環境別に最適なIPを選定することが重要です。

IP等級防塵レベル防水レベル推奨用途(本施工)
IP67完全防塵水没1m・30分耐久Zone C 洗浄エリア(高圧洗浄全面OK)
IP65完全防塵あらゆる方向からの水柱に対して保護Zone A 製造ライン・Zone B 冷蔵庫
IP441mm以上の固形物を防護飛沫に対して保護一般工場・倉庫(食品工場には不足)

Ra90高演色が食品品質管理に与える影響

食品加工において「色」は品質判定の重要な指標です。野菜の鮮度・肉の発色・惣菜の焼き色・包装フィルムの印刷品質など、製造ラインの目視品質管理はすべて「照明下での色の見え方」に依存します。

食品の色と演色性の関係

食品カテゴリ品質判定の色指標Ra60以下(旧照明)Ra90(新照明)
生野菜・カット野菜葉の緑の鮮やかさ・褐変の有無褐変初期が見えにくい褐変・変色を早期発見
精肉・ハム類ミオグロビンの発色(鮮紅〜暗赤)色の劣化が判別困難鮮度低下を色で検知可能
惣菜・揚げ物焼き色・揚げ色のばらつき均一に見えてしまうムラ・焦げを正確に識別
包装フィルム印刷賞味期限印字の濃度・色合わせ微細な印字ミスを見落とし印刷品質を高精度に確認
施工前後の品質クレーム件数変化:
「色が悪い(変色・鮮度不足)」に起因する返品・クレーム: 月平均2.1件 → 0.3件(85%減)
「印刷・表示ミス」に起因するラベル検品漏れ: 月平均0.8件 → 0件
※照明品質向上に加えて、目視検査担当者の検査精度向上トレーニングも並行実施

消費電力・コスト比較(施工前後)

ゾーン施工前(蛍光灯)施工後(COB LED)削減率
Zone A 製造ラインFL40×80灯 = 5,600WCOB LED 3,200W43%削減
Zone B 冷蔵庫FL20×20灯 = 800W(24時間)COB LED 800W(24時間)0%(ただし寿命・交換コスト大幅減)
Zone C 洗浄エリアFL40×20灯 = 1,400WCOB LED 1,000W29%削減
Zone D 更衣室・事務所FL40×15灯 = 1,050WCOB LED 600W(センサー込み実効180W)83%削減(実効)
合計8,850W5,600W(実効)37%削減(電力)

年間コスト削減の詳細(電気代28円/kWh・Zone A/C は1日16時間・Zone B は24時間・年間350日稼働):

削減項目年間削減額
電気代削減(電力消費削減分)約87万円/年
ランプ交換費削減(蛍光管・工賃)約42万円/年
ライン停止ロス削減(ランプ破損対応・年1回→0回)約28万円/年
品質クレーム対応コスト削減(返品・廃棄減少)約25万円/年
合計年間削減効果約182万円/年

低温環境(冷蔵庫・冷凍庫)への対応

一般的なLED電源ユニット(スイッチング電源)は動作温度範囲が-20℃〜+50℃程度ですが、電源を冷蔵庫内に設置した場合、コンデンサの特性変化により安定した電流供給ができなくなるリスクがあります。

今回の施工では、冷蔵庫・冷凍庫ゾーン(Zone B)の電源ユニットをすべて庫外(廊下側)に設置し、ケーブルのみ庫内に引き込む設計を採用しました。この方式により、電源ユニットは常温環境で動作し、テープのみが低温にさらされる状態となります。COBテープ自体は-40℃〜+80℃の動作温度範囲を持つため、冷凍庫内でも安定点灯を実現します。

施工コストと投資回収計画

費目金額(税別)
COB LEDテープ(560m・IP65/67混在)約210万円
電源ユニット(DC定電流・低温対応型含む)約72万円
ポリカーボネート飛散防止カバー(Zone A)約38万円
ステンレスマウント・IP対応コネクタ類約28万円
人感センサー・調光コントローラー約14万円
施工費(既存撤去・取付・配線・防水処理)約120万円
合計約482万円
省エネ補助金(事業再構築補助金 省エネ枠 等)▲約120万円(補助率・上限は年度により変動)
実質負担額約362万円

年間削減効果182万円に対して実質負担362万円。単純回収期間は約2.0年(補助金適用後)。補助金なしでは約2.6年での回収が見込めます。

まとめ:食品工場のLED導入はHACCP対応と省エネを同時に実現

食品工場のLED化は単なる省エネ施策ではありません。HACCP要件への適合(飛散防止・適正照度)、品質管理精度の向上(Ra90高演色)、低温・防水環境への対応(IP65/67)、ランプ破損リスクの排除という多層的な価値を同時に提供します。

「まだ蛍光灯で使えているから」という判断は、HACCP管理記録の観点から見直しが必要です。蛍光灯は管理基準上リスク要因として記録される場合があり、食品工場の認証更新時に指摘を受けるケースも増えています。COBテープ × IP65 × Ra90 という組み合わせが、今の食品工場照明の答えです。

食品工場の照明改善をご検討中の方へ

HACCP対応照明の選定・IP等級の決め方・補助金申請のポイントまで
フォーム送信から48時間以内に専門スタッフがご対応します。

無料相談・見積もりを依頼する