実務ガイド

LEDテープ電源容量計算・配線距離の実務ガイド
PSUサイジング・電圧降下・分岐配線まで完全解説

📅 2026年5月1日 ⏱ 読了約10分 🏷 実務ガイド
LEDテープの施工でよくあるトラブルのうち、電源焼け・輝度ムラ・末端が暗いという3大症状の9割以上は「電源容量の不足」か「電圧降下の無視」が原因です。 正しいPSUサイジングと配線設計を知っていれば、これらは全て事前に防げます。 本稿では現場の実務データをもとに、計算式・距離制限・配線パターン・トラブルシューティングを体系的にまとめました。

1. PSU容量計算の基本公式

必要PSU容量(W)= テープ消費電力(W/m)× 使用長さ(m)× 1.2
× 1.2 は安全率(熱による出力低下・突入電流・経年劣化を考慮)。PSU定格出力の80%以下で運用するのが基本。

なぜ80%運用か:PSUは定格出力100%で運用すると内部温度が上昇し、寿命が大幅に短縮します。工業用PSUの仕様書には多くの場合「推奨運用範囲 〜80%」と明記されています。定格100%運用は「緊急時の上限」であって、日常運用ではありません。

施工パターン W/m 長さ 理論電力 ×1.2後 推奨PSU
什器内COB(小規模) 8W/m 5m 40W 48W 60W電源 × 1台
ショーケース照明 12W/m 10m 120W 144W 150W電源 × 1台
テーブル席間接照明 8W/m 30m 240W 288W 150W電源 × 2台
(2区間分割)
コーブ照明(大規模) 10W/m 60m 600W 720W 300W電源 × 3台
(3区間分割・各20m)
工場ライン照明 15W/m 80m 1,200W 1,440W 300W電源 × 6台
(6区間分割・各≈13m)
「1台の大容量PSU vs 複数の分割PSU」どちらが良い?
分割PSUが推奨です。理由:①電圧降下を区間ごとにリセットできる ②1台故障でも全滅しない ③放熱分散でPSU寿命が延びる。大容量PSU1台は初期費用が安いように見えますが、長期運用コストは分割型が有利です。

2. 電圧降下の計算と距離制限

電圧降下は配線ケーブルの抵抗によって引き起こされます。末端の電圧が低下するほど輝度が下がり、長い区間では「給電端は明るい・末端は暗い」という輝度ムラが生じます。

電圧降下(V)= 電流(A)× ケーブル抵抗(Ω)× 2
×2 は往復(+極と−極の2本分)。許容電圧降下は供給電圧の5%以内を目安とする。
12V系:許容降下 ≦ 0.6V / 24V系:許容降下 ≦ 1.2V
電圧 消費電力 電流 ケーブル径 片端給電
最大距離
両端給電
最大距離
12V 5W/m 0.42A/m 0.5mm² 〜4m 〜8m
12V 8W/m 0.67A/m 0.75mm² 〜3m 〜6m
12V 12W/m 1.0A/m 1.0mm² 〜2m 〜4m
24V 5W/m 0.21A/m 0.5mm² 〜15m 〜30m
24V 8W/m 0.33A/m 0.75mm² 〜10m 〜20m
24V 10W/m 0.42A/m 1.0mm² 〜8m 〜16m
24V 12W/m 0.5A/m 1.0mm² 〜7m 〜14m
24V 15W/m 0.63A/m 1.5mm² 〜5m 〜10m
24V 20W/m 0.83A/m 2.0mm² 〜4m 〜8m
表の見方:緑=安全圏 / 黄=注意(テスタで実測を推奨) / 赤=輝度ムラが視認されるレベル(分割給電必須)。値は目安であり、ケーブルの実際の抵抗値・接続部の接触抵抗によって変動します。

3. 配線パターンと選択基準

パターン1:片端給電(シンプル・短距離向け)
PSU
LEDテープ(〜8m推奨)
→暗
最も施工が簡単。24V・8W/m品なら〜10m以内で許容範囲。短い区間や什器内の局所照明に適合。
パターン2:両端給電(輝度均一・中距離向け)
PSU
LEDテープ(〜20m均一)
PSU
両端から同一PSUまたは2台のPSUで給電。片端給電の約2倍の距離をカバー。輝度ムラが最小。コーブ照明・什器ロングラン向け。
パターン3:中間給電(長距離均一・連続区間向け)
前半テープ
PSU
(中間)
後半テープ
PSUを中間点に設置し両方向に給電。最大で片端給電の4倍の区間をカバー。PSUへのアクセスが中間点でも可能な施工環境に適合。
パターン4:区間分割(大規模施工の基本)
PSU①
区間①(〜10m)
PSU②
区間②(〜10m)
テープを電気的に独立した区間に分割し、各区間にPSUを充てる。30m以上の大規模施工は基本的にこのパターン。PSU故障の影響範囲を限定できる利点もある。

4. 電源ケーブル径の選定基準

流れる電流(A) 推奨ケーブル径 典型的な用途例 許容電圧降下(24V・10m往復)
〜3A 0.5mm²(AWG20) 24V・5W/m・10m以下 約0.72V(許容内)
3〜5A 0.75mm²(AWG18) 24V・8W/m・15m以下 約0.57V(許容内)
5〜8A 1.0mm²(AWG17) 24V・12W/m・15m以下 約0.6V(許容内)
8〜12A 1.5mm²(AWG15) 24V・15W/m・20m以下 約0.58V(許容内)
12〜16A 2.0mm²(AWG14) 24V・20W/m・20m以下 約0.54V(許容内)
16A超 2.5mm²以上(AWG13以上) 大規模幹線・分岐前のメイン 要計算
PSUからテープまでの電源ケーブル長が長い場合:テープ自体の電圧降下と別に、PSU→テープ間のケーブル降下も加算されます。PSUはできるだけテープに近い位置(3m以内)に設置するのが理想。長い配線が必要な場合はケーブルを1段太くすることで対処できます。

5. 現場施工の正しい手順

1
テープの総消費電力を計算する
W/m × 使用長さ(m)= 総電力(W)。複数ゾーンがある場合はゾーン別に計算し、給電回路を分割するか合計するかを設計段階で決める。
2
PSU容量を決める(×1.2の安全率を忘れずに)
総電力 × 1.2 ÷ 0.8(定格80%運用) = 推奨PSU定格容量。計算結果に最も近い上位の市販品を選ぶ。
3
電圧降下を計算し、配線パターンを決める
区間ごとの最大電流 × ケーブル抵抗 × 2 ≦ 供給電圧の5%。超える場合は区間分割・両端給電・ケーブル径アップのいずれかで対処する。
4
施工前にケーブル径を決定する
各区間の最大電流からケーブル径を選定(§4参照)。細いケーブルは後から交換できないため、必ずこの段階で確定する。
5
施工後に実電圧をテスタで測定する
テープ末端のDC電圧を実測。設計電圧から5%超の降下がある場合は配線の見直しが必要。この確認を省略すると輝度ムラが後から判明するリスクがある。
6
PSU温度を30分点灯後に確認する
非接触温度計でPSU外表面温度を計測。70℃以上の場合は過負荷または換気不足の疑いがある。密閉場所への設置は避け、換気孔から離す。

6. よくあるトラブルと原因・対処法

末端が暗い・輝度ムラがある
原因:電圧降下
対処:①区間分割 ②両端給電 ③ケーブル径を太くする。まずテスタで末端電圧を実測して降下量を確認する。
PSUが熱くなる・ファンが回り続ける
原因:過負荷 or 換気不足
対処:①テープの実消費電力を再計算 ②PSUを上位容量に変更 ③設置場所に換気スペース確保(PSU周囲5cm以上)。
点灯直後は明るいが数分後に暗くなる
原因:PSU熱保護(サーマルスロットリング)
対処:容量不足のため熱保護が発動している。PSUを1ランク大きいものに変更し、換気を改善する。
チカチカ点滅する
原因:接触不良 or PSU出力不安定
対処:①接続部の締め直し ②PSUの出力端子電圧を実測 ③安価なPSU品の場合はリプル電圧が高い可能性あり、品質グレード品に交換。
ある区間だけ消えている
原因:カット位置ミス or ハンダ不良
対処:当該区間の給電端子電圧を確認。電圧があってテープが点かない場合はテープの断線。電圧がなければ配線の断線・接触不良。
調光時に色が変わる
原因:PSUとコントローラーの相性
対処:PWM調光は定電圧PSUと組み合わせること。定電流PSUはPWM非対応が多い。PSUの調光対応可否を仕様書で確認する。

7. 施工前チェックリスト

以下の項目を施工前に全てチェックし、問題がないことを確認してから施工を開始してください。

テープ総電力 × 1.2 ≦ PSU定格容量 × 0.8
安全率1.2と80%運用の双方を満たしているか確認。
各区間の電圧降下が供給電圧の5%以内
12V系は0.6V以内、24V系は1.2V以内。超える場合は配線パターン見直し。
ケーブル径が流れる電流に対して適切
§4の選定表を参照し、電流値に対して細すぎないことを確認。
PSU設置場所に換気スペースあり
PSU周囲5cm以上の空間・密閉ボックスに入れない・発熱機器の直近を避ける。
調光コントローラーとPSUの互換性確認
PWM調光には定電圧PSU・DALI調光にはDALI対応PSUが必要。仕様書で互換性を確認。
施工後に実電圧測定・PSU温度確認を実施する予定
テスタと非接触温度計を現場に持参し、30分点灯後に実測確認。

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