よくある施工トラブル:「冷凍庫に付けたら数か月で剥がれ・不点灯」
冷蔵ショーケースや冷凍倉庫にLEDテープを使うと、低温で粘着が効かず剥がれる・結露と霜取りの繰り返しで水分が侵入してショート/腐食する・庫内に置いた電源が低温で寿命短縮・始動不良という3つのトラブルが起きがちです。常温の店内と同じ感覚で施工すると短期間で不具合になります。低温環境は専用の選定と固定・防水・電源配置がカギです。
低温環境でLEDテープに起きること
意外に思われますが、LEDチップ自体は低温に強い方です。温度が下がると発光効率が上がり、寿命にも有利に働きます。問題になるのは半導体ではなく、テープを構成する周辺の材料と水分です。
低温では、貼り付け用の粘着テープの密着力が大きく低下して剥がれやすくなり、シリコンコーティングや配線被覆が硬化・ひび割れを起こします。さらに庫内特有の結露・着霜(霜付き)がカット端・はんだ部・コネクタに侵入し、霜取り運転の温度変化と相まってショート・腐食・不点灯を招きます。
低温施工の3本柱:①動作温度範囲がその庫内温度をカバーする低温対応品を選ぶ ②IP67以上の防水+カット端/はんだ部の完全シールで水分侵入を断つ ③電源・コネクタは庫外の常温側に出す。この3つが揃って初めて長期安定します。
環境温度帯別の選定目安
| 用途・温度帯 |
必要な動作温度 |
推奨防水等級 |
固定方法 |
電源位置 |
| 冷蔵ショーケース(0〜5℃) |
−20℃〜対応 |
IP65〜67 |
低温両面+フレーム |
庫外/常温側 |
| 冷蔵庫・チルド室(−5〜5℃) |
−20℃〜対応 |
IP67 |
アルミフレーム固定 |
庫外/常温側 |
| 冷凍倉庫(−18〜−25℃) |
−30℃〜対応必須 |
IP67〜68 |
フレーム+クリップ機械固定 |
庫外必須 |
| 超低温倉庫(−40℃前後) |
−40℃対応の専用品 |
IP68 |
全長機械固定 |
庫外必須 |
低温対応LEDテープの選定ポイント
①
動作温度範囲を必ず確認
「使用温度」ではなく「動作(通電)温度の下限」が庫内最低温度(霜取り後の変動も含む)を下回る製品を選ぶ。−20℃止まりの汎用品を冷凍庫に使わない。
②
IP67以上+端部シール
結露・着霜の水分を防ぐためIP67以上(冷凍はIP68推奨)。さらにカット端・はんだ部は防水コーティングやシールで完全に塞ぐ。防水等級だけでは切断端は守れない。
③
機械固定を前提にする
低温で粘着は効きにくい。低温対応両面テープを使ったうえで、アルミフレーム・クリップ・ネジ等で機械的に固定し、剥がれと垂れを防ぐ。
④
電源・接続は常温側へ
電源・コネクタ・調光器は低温に弱い。庫内へはDC配線のみを通し、機器は庫外の乾いた常温位置に集約する。保守の出入りも減らせる。
結露・着霜への防水処理手順
- 貼り付け面の霜・水分・油分を除去し乾燥させる。冷えた面は施工前に庫内温度へ慣らすか、可能なら昇温して結露を飛ばしてから作業する。
- IP67以上の防水テープを使用し、低温対応両面テープ+アルミフレーム/クリップで機械固定する。粘着のみの固定は不可。
- カット端・はんだ部は防水コーティング/端部キャップで完全密閉する。ここが結露侵入の最大の弱点になる。
- コネクタは庫内に置かず、配線を常温側まで延長してから接続する。庫内接続が避けられない場合は防水コネクタ+追加シール。
- 庫壁の配線貫通部をグロメット・パテで気密シールし、庫内の湿気の流出入を断つ。貫通部の結露・凍結を防ぐ。
- 通電後、霜取り運転を1サイクルさせ、温度変化後に点灯・浸水・結露の有無を確認する。低温施工は1回の点灯確認で終わらせない。
低温での電力・電源容量の考え方
LED合計電力(W) = W/m × 全長(m)
電源容量 = LED合計電力 ÷ 0.8(余裕率80%運用)
※注意:電源は庫外(常温)配置が前提。
庫内配置時は電源の動作下限温度を必ず確認
(多くは0℃〜/−10℃〜で冷凍庫は仕様外)
例:24V・6W/m × 8m = 48W → 電源容量 48W ÷ 0.8 = 60W以上
電源は庫外の常温側に設置し、庫内へはDC24Vの配線のみを通す。
低温施工の機器・部材チェック
LEDテープ
動作下限庫内最低温以下
防水等級IP67〜68
端部完全シール
固定・配線
固定機械固定併用
両面テープ低温対応品
貫通部気密シール
電源・接続
電源位置庫外/常温側
コネクタ常温側に集約
庫内DC配線のみ
施工前・引渡し前チェックリスト
- LEDテープの動作温度下限が庫内の最低温度(霜取り変動含む)を下回っている
- 防水等級がIP67以上(冷凍庫はIP68推奨)である
- カット端・はんだ部を防水コーティング/端部キャップで完全密閉した
- 低温対応両面テープ+アルミフレーム/クリップで機械的に固定した(粘着のみにしていない)
- 電源・コネクタ・調光器を庫外の常温側に配置し、庫内へはDC配線のみを通した
- 庫壁の配線貫通部をグロメット・パテで気密シールした
- 電源容量を合計電力÷0.8で確保した
- 霜取り運転を1サイクルさせ、温度変化後に点灯・浸水・結露の有無を確認した
よくある質問
Q. 冷凍倉庫(−25℃前後)でも普通のLEDテープは使えますか?
一般的なLEDテープの多くは動作温度の下限が−20℃前後までで、それ以下では仕様外になります。LEDチップ自体は低温で発光効率がむしろ上がり寿命にも有利ですが、問題になるのは粘着テープの密着力低下による剥がれ、シリコンコーティングや配線被覆の硬化・ひび割れ、はんだ部の機械的ストレスです。−25℃や−40℃といった冷凍環境では、必ずメーカーの動作温度範囲がその温度をカバーする低温対応品を選び、貼り付けは粘着だけに頼らず低温対応両面テープ+アルミフレームやクリップで機械的に固定してください。
Q. 冷蔵・冷凍庫内のLEDで一番のトラブルは何ですか?
結露と着霜(霜付き)です。庫内の冷えた面に湿った空気が触れると結露し、霜取り(デフロスト)運転で温度が上下するたびに凍結と融解を繰り返します。この水分がカット端・はんだ部・コネクタに侵入すると、ショート・腐食・不点灯の原因になります。対策はIP67以上(できればIP68)の防水テープを使い、カット端とはんだ部を防水コーティングで完全に塞ぐこと、コネクタは庫内に置かず常温側に出すこと、配線の貫通部をパテやグロメットで気密シールして庫内の湿気が外に逃げる/外気が入る経路を断つことです。
Q. 電源(PSU)は冷凍庫の中と外、どちらに置くべきですか?
原則として電源は庫外の常温側に置きます。スイッチング電源は低温に弱い電解コンデンサを内蔵しており、多くの製品の動作下限は0℃や−10℃程度で、冷凍庫内では仕様外になり寿命短縮・始動不良の原因になります。庫内に通すのはDC低電圧の配線だけにし、電源・コネクタ・調光器は庫外の乾いた常温位置にまとめると、保守時の出入りも最小限で済みます。やむを得ず庫内側に機器を置く場合は、低温対応を明記した製品を選び、結露対策の密閉ボックスに収めてください。
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