選び方ガイド

LEDテープの熱管理・放熱設計完全ガイド
寿命を2倍にする温度管理の実践手順

ジャンクション温度の基礎からアルミチャンネル選定・W/m別発熱量計算・設置環境別対策まで。現場施工者が押さえるべき放熱設計の全てを解説します。

LEDテープの寿命を左右する最大の要因はです。「同じ製品なのに現場Aでは3年持ったが現場Bでは6ヶ月で暗くなった」という事例の多くは、放熱設計の差から生じます。LEDチップのジャンクション温度が10℃上昇するごとに寿命は約半分になるとされています。本記事では熱管理の基礎から現場で使える計算手順・アルミチャンネル選定まで体系的に解説します。

1. LED発熱のメカニズムと寿命への影響

LEDは電気エネルギーの約70〜80%を熱として放出します(残り20〜30%が光)。この熱をいかに素早くチップから逃がすかが放熱設計の本質です。

ジャンクション温度(Tj)とは

LEDチップの発光接合部の温度を「ジャンクション温度(Tj)」と呼びます。LEDメーカーが公称する定格電流・光束・寿命のデータは、すべてこのTjが特定の温度(通常85℃または105℃)での値です。実使用時にTjが上昇すると:

💡
光束維持率
−30%
Tj+30℃で光量30%低下
寿命への影響
1/2
Tj+10℃で寿命が半減
🌈
色温度シフト
+300K
高温で青みが強まる傾向
効率低下
−15%
高温でlm/W効率が下落

W/m別・実際の発熱量

LEDテープ1mあたりの発熱量は消費電力とほぼ比例します。以下のチャートで各グレードの発熱量を把握してください。

W/m別 発熱量の目安(1m・連続点灯時)
4.5W
6W/m
Lite
6W
8W/m
Lite+
7.5W
10W/m
Standard
9W
12W/m
Standard+
11.25W
15W/m
High
13.5W
18W/m
Pro
15W
20W/m
Pro+

※発熱量 = W/m × 約0.75(光に変換されない分)で計算

⚠️ 特に注意が必要なケース

2. 熱の流れ(熱抵抗モデル)を理解する

熱はLEDチップ→基板(PCB)→両面テープ→下地材料 の順に伝わります。この経路の「熱抵抗」が低いほど、熱が効率よく逃げてジャンクション温度が下がります。

熱経路の箇所 熱伝導率の目安 ポイント
LEDチップ → 基板(銅パターン) 高(銅: 385 W/m·K) COBテープは基板が広く有利
基板 → 両面テープ 低(一般粘着: 0.1〜0.5 W/m·K)
高(熱伝導テープ: 1〜6 W/m·K)
ここが最大のボトルネック。熱伝導両面テープで大幅改善
両面テープ → 下地材料 アルミ: 160 W/m·K
スチール: 50 W/m·K
木材: 0.15 W/m·K
アルミが断然有利。木材は放熱路として機能しない
下地材料 → 空気 空気: 0.024 W/m·K 表面積が大きいほど放熱効率UP
実践ポイント:一般的な両面テープ(熱伝導率0.2 W/m·K程度)を熱伝導両面テープ(1.5〜3 W/m·K)に変えるだけで、ジャンクション温度を8〜15℃低下させた実測例があります。高W/m品を施工する際は熱伝導テープを必ず指定してください。

3. アルミチャンネル(放熱フレーム)の選び方

アルミチャンネルはLEDテープを保護するだけでなく、放熱フィンとして機能します。チャンネルの形状・素材・サイズでジャンクション温度は大きく変わります。

Uチャンネル(表面露出型)
  • 最も一般的なコの字断面
  • 表面への放熱面積が大きい
  • 拡散カバー付きで光を柔らかく
  • 幅12mm〜17mm品が主流
  • 6〜12W/mに最適
Tチャンネル(埋め込み型)高W/m推奨
  • 天井・壁への埋込仕上げが可能
  • フランジ部が放熱フィンとして機能
  • 下地に密着して放熱効率が高い
  • 幅20mm〜30mmが主流
  • 12〜20W/mの高発熱品に対応
コーナー用チャンネル
  • 45°・90°の出隅・入隅対応
  • 放熱面積は標準Uチャンネルより小
  • 高W/mには非推奨(8W/m以下に留める)
  • 施工箇所が限られるため補助的に使用
  • 接続部に熱溜まりが起きやすい
フラットベースチャンネル
  • 極薄タイプで段差を最小化
  • 下地への放熱は良好(密着面積大)
  • 上面への放熱は少ない
  • 10W/m以下で下地がアルミ・スチールの場合のみ推奨
  • 木下地への施工には不向き

W/m別アルミチャンネルのサイズ推奨

W/m(電力密度) 推奨チャンネル幅 必要放熱面積目安(1mあたり) 備考
6〜8 W/m 12mm Uチャンネル以上 〜25 cm²/m 標準環境では問題なし
10〜12 W/m 17mm Uチャンネル以上 30〜40 cm²/m 密閉環境では1サイズ上を選択
15 W/m 20mm Tチャンネル推奨 必須 50〜60 cm²/m 熱伝導テープ必須
18〜20 W/m 25mm Tチャンネル推奨 必須 65〜80 cm²/m 環境温度25℃以下での施工推奨

4. 施工前に必ず行う発熱量計算

施工前に発熱量を計算し、放熱設計が十分かどうか確認します。以下の手順に従ってください。

  1. 総消費電力を計算する
    W/m × テープ全長(m) = 総消費電力(W)。PSU容量計算と同じです。例:10W/m × 30m = 300W
  2. 発熱量(熱として放出される量)を計算する
    LEDは電力の約75%を熱として放出します。総消費電力 × 0.75 = 発熱量(W)。例:300W × 0.75 = 225W(=225J/s)
  3. チャンネル1mあたりの発熱量を計算する
    発熱量(W) ÷ テープ全長(m) = W/m発熱量。例:225W ÷ 30m = 7.5W/m。この値で前節の推奨チャンネルサイズを照合
  4. 環境温度補正を行う
    施工場所の最大環境温度が30℃を超える場合、チャンネルサイズを1ランク上げるか、施工間隔を空けて放熱面積を確保する
  5. 施工後に温度確認(サーモカメラ推奨)
    通電後30分で熱が安定します。サーモカメラでチャンネル表面温度を測定。表面温度60℃以下(環境温度+35℃以下)が目安。超えている場合は放熱対策を追加
# 発熱量計算の例(診察室 12W/m × 30m)
総消費電力 = 12 W/m × 30m = 360 W
発熱量 = 360 × 0.75 = 270 W
1mあたり発熱 = 270 ÷ 30 = 9 W/m
→ 20mm Tチャンネル推奨(熱伝導テープ必須)

# 施工後確認基準
チャンネル表面温度 ≤ 環境温度 + 35℃(≤ 60℃ @ 25℃環境)

5. 設置環境別の放熱対策

設置環境 温度リスク 推奨対策
開放天井(空調あり) 標準アルミUチャンネル。12W/m以下は特別な対策不要
密閉天井裏(換気なし) 大型Tチャンネル必須。W/mを1ランク下げる(12→10W/m等)か電源の調光機能で70〜80%駆動
屋外(直射日光) 非常に高 IP65以上のシリコンコーティング品。環境温度が40℃以上になるため12W/m以下に抑制。日射遮蔽カバー設置推奨
什器・棚の中(密閉什器) 6〜8W/m以下に制限。熱伝導テープでアルミ什器に熱を逃がす。30分以上の連続点灯には強制空冷(小型ファン)検討
冷蔵ショーケース周辺 低(環境温度が低い) 低温でLED効率が上がりジャンクション温度は下がりやすい。ただし結露対策(IP65以上)が必要
調理場・厨房 非常に高 環境温度が40〜50℃になりやすい。8W/m以下に制限。IP65必須。電源は厨房外に設置

6. COBテープの熱特性と有利な理由

従来のSMD(個別パッケージ)テープに比べ、COB(Chip on Board)テープは熱管理面で大きな優位性があります。

COBが熱に強い3つの理由:
基板面積が広い:チップが基板上に直接実装されるため、発熱が基板全体に分散されます。SMDのように局所的な高温点(ホットスポット)が発生しにくい。

封止材(蛍光体シート)が放熱材を兼ねる:COBの均一な蛍光体コーティングは熱分散にも貢献します。

低電流駆動:COBは多数のチップを並列駆動するため1チップあたりの電流が小さく、Tjの上昇が緩やかです。
比較項目 COBテープ SMD 2835テープ
発熱の分散性 基板全面に均一分散 ◎ チップ個別に集中 △
ジャンクション温度の上昇速度 緩やか ◎ 速い(局所過熱)△
チャンネルへの密着性 高(平坦な基板)◎ チップが凸で密着度が低い △
同W/mでのジャンクション温度 低い(約5〜10℃差)◎ 高め △
光束維持率(L70) 50,000h以上が多い ◎ 30,000〜50,000h △

7. 現場でよくある熱管理の失敗5パターン

まとめ:放熱設計チェックリスト

施工前・施工後の確認事項
  1. W/m × 全長 で総消費電力を計算し、発熱量(×0.75)を把握しているか
  2. W/mに対して十分なサイズのアルミチャンネルを選定しているか
  3. 12W/m以上の施工に熱伝導両面テープを使用しているか
  4. 木下地・プラスチック下地への直貼りを避けているか
  5. 密閉空間での高W/m施工を避けているか(またはW/mを下げているか)
  6. 調光器を活用して70〜80%駆動による温度管理を検討しているか
  7. 施工後30分後にチャンネル表面温度を確認(60℃以下が目安)しているか

LEDテープの放熱設計は「明るさが足りない」「すぐ暗くなった」という施工品質問題の根本原因になります。正しい熱管理で5年・10年の長期安定稼働を実現してください。

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