施設概要と照明課題
本事例は、市内スポーツセンター内の室内アーチェリーレンジ(延床面積400㎡・射程18m〜30mの複合レンジ)へのCOBテープLED全面導入プロジェクトです。シューティングライン・ターゲットゾーン・待合・倉庫の4エリアを統合設計しました。
アーチェリー場の照明設計において最も重要な課題は2点です。第一に射手の目線へのグレア(眩しさ)の防止—アーチャーは的を狙う際に照明が視界に入ると集中力が削がれ、照準精度が低下します。第二にターゲット(的)の色分け視認性の確保—アーチェリー的の黄・赤・青・黒・白の5色リングを正確に識別するために Ra90 以上の演色性が必要です。
アーチェリー照明の核心課題:グレアレス設計と的の色識別
JIS Z 9127(スポーツ照明)および全日本アーチェリー連盟の推奨照度は、シューティングライン照度500lx以上・ターゲット面照度300lx以上です。さらに、照明器具からのグレアが射手の視線に入らないよう、照明を射手の真上または斜め後方に配置し、直接光が射手の目に入らない「グレアレス配置」が競技品質照明の必須条件となります。
4ゾーン照明設計
シューティングライン・射場
- 面積: 180㎡(射手待機エリア含む)
- COBテープ 10W/m × 160m = 1,600W
- 演色性: Ra90 / 色温度: 5000K(昼白色・自然光に近い視認環境)
- 照度: 500〜750lx
- グレアレス配置(拡散カバー付きプロファイル・射手後方配置)
- フリッカーレス(照準集中時の視覚的安定性)
ターゲット・的面エリア
- 面積: 60㎡(的設置エリア)
- COBテープ 8W/m × 60m = 480W
- 演色性: Ra90 / 色温度: 5000K
- 照度: 300〜500lx(的面均一照射)
- 的の5色リング(黄・赤・青・黒・白)を正確に識別
- バックライト効果を防ぐ前面集中照射設計
待合・受付・道具棚コーナー
- 面積: 100㎡
- COBテープ 8W/m × 80m = 480W(一部10W/m)
- 演色性: Ra85 / 色温度: 4000K(白色・落ち着いた空間)
- 照度: 200〜300lx
- 弓・矢・プロテクターの状態確認に十分な演色性
廊下・更衣室・倉庫
- 面積: 60㎡(非競技エリア)
- COBテープ 8W/m × 60m
- PIRセンサー連動(人感時のみ点灯)
- 実効消費電力: 144W(20%稼働換算)
- 演色性: Ra80 / 色温度: 4000K
導入仕様・スペック詳細
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 採用製品 | COBテープLED(10W/m・8W/m 混在) |
| 総延長 | 360m(Zone A:160m + B:60m + C:80m + D:60m) |
| 総消費電力(定格) | 2,704W(Zone D PIR考慮前) |
| 実効消費電力 | 約2,564W(PIRゾーン実効144W含む) |
| 演色性 | Zone A・B: Ra90 / Zone C: Ra85 / Zone D: Ra80 |
| 色温度 | Zone A・B: 5000K / Zone C: 4000K / Zone D: 4000K |
| 照度 | Zone A: 500〜750lx / Zone B: 300〜500lx / Zone C: 200〜300lx |
| グレア対策 | Zone A: 拡散カバー付アルミプロファイル・射手後方配置 |
| フリッカーレス | Zone A・B 対応(競技時の視覚安定性) |
| 旧照明 | 蛍光灯(直管FL40W・FHF32W)・白熱スポットライト |
省エネ効果・投資回収シミュレーション
| 項目 | 旧照明 | LED後 | 差異 |
|---|---|---|---|
| 年間消費電力 | 約28,000kWh | 約16,500kWh | ▲11,500kWh |
| 年間電気代 | 約39万円 | 約26万円 | ▲13万円 |
| 年間ランプ交換・保守費 | 約6万円 | 約0万円 | ▲6万円 |
| 年間総コスト | 約45万円 | 約26万円 | ▲19万円 |
| 施工費 | — | 52万円 | — |
| 単純回収期間 | — | — | 2.7年 |
施工の流れ
- 競技スケジュール確認・施工計画策定:大会・練習スケジュールを確認し、施工は閉館日・閑散期に集中。競技への影響ゼロで完工。
- グレア評価・配置設計:射手の目線シミュレーションを実施。Zone A の照明位置を射手後方2.5mに設定し、直接光が視線上に入らないことを確認。
- アルミプロファイル・拡散カバー選定:Zone A は傾斜カット拡散カバー(片側遮光タイプ)を採用。的方向への集中照射かつ射手側への漏れ光を最小化。
- Zone B(ターゲットエリア)先行施工:的面への均一照射を最優先で施工。照度分布を測定しながら取り付け角度を微調整。
- Zone A(シューティングライン)施工:射手位置での照度測定と、実際にアーチャーに立ってもらいグレア感を確認。問題なしを確認後に固定。
- 最終確認・照度証明書作成:競技用途を想定した照度分布図と演色性データを記録。全日本アーチェリー連盟照明基準への適合を文書化。
アーチェリー場・室内射撃施設照明品質チェック比較表
| チェック項目 | 旧蛍光灯・スポット | COBテープLED | 改善効果 |
|---|---|---|---|
| グレア(射手への眩しさ) | 蛍光灯・スポットの直接光が視線に入りやすい | 拡散カバー+後方配置でグレアゼロ | 照準精度の向上・競技集中力の維持 |
| 的の色識別性(演色性) | Ra60〜75(黄と白、赤と橙の区別が困難) | Ra90(5色リングを正確に識別) | スコアリングの正確性向上・判定ミス防止 |
| ターゲット面の均一照射 | スポット照明で的面に明暗ムラが発生 | COBテープによる面発光で均一照射 | 的面全体の視認性を均一に確保 |
| フリッカー(照準中の視覚安定性) | あり(蛍光灯の点滅が潜在的に集中を乱す) | フリッカーレス | 照準中の視覚的安定性・目の疲れ軽減 |
| JIS Z 9127 スポーツ照明基準準拠 | 旧照明では基準照度を下回るケースが多い | シューティングライン500lx以上確保 | 公認大会・選考会の開催が可能な照度水準 |
| 矢の確認・回収時の安全性 | 的近傍が暗く矢の刺さり位置が不鮮明 | ターゲット面300〜500lx・矢の視認性確保 | 的への接近・矢の回収を安全に実施 |
| 省エネ・維持管理コスト | スポット白熱灯の寿命1,000〜2,000h(頻繁交換) | 50,000h設計寿命・交換コストゼロ | 年間6万円の保守費削減・施設管理の省力化 |
| 省エネ率・エネルギーコスト削減 | 消費電力高(蛍光灯+白熱スポット) | 41%削減・年間19万円削減 | 2.7年で投資回収・公共施設の財政負担軽減 |
お客様の声
「以前の蛍光灯は正直、点滅が視線のすみにチラつく感じがして、照準を合わせる時に気になることがありました。LEDになってからはそういう感覚が完全になくなり、的に集中できます。特に上位レベルの選手ほど照明の質に敏感なので、大会開催施設としての評価も上がっています。」(埼玉県・アーチェリークラブ 代表)
「ターゲットの黄色と白のリングが以前は区別しにくかったのですが、LED換装後は色がはっきりして、特に遠距離(30m)でも的の色分けがよく見えます。スコアの確認も楽になりました。」(神奈川県・アーチェリー愛好者)
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※本事例の数値(省エネ率・削減額・回収期間等)は導入施設の実測データおよびシミュレーション値です。施設規模・使用状況・電気料金単価により異なります。詳細はお問い合わせください。