「夜中の2時に蛍光灯が3本まとめて切れた。脚立を立てて高所作業、ターミナルの営業中に。乗り継ぎ客が見ている前で、保守員が汗をかきながら梯子を上っている——あの光景を二度と見たくない」
地方空港の施設管理担当者が、20年以上使い続けたHf蛍光灯の刷新を決意したのはその夜だった。24時間365日止められないターミナルで、ランプ交換のたびに繰り返される高所夜間作業と、深夜帯も固定点灯し続ける電力のロスが限界に達していた。
「省エネより先に、保守員の安全と運営の安定が目標だった」——空港という特殊環境での照明設計が始まった。
導入前の課題
国内地方空港のターミナルビルで、開港以来20年以上使用してきたHf蛍光灯の全面刷新を検討していた。24時間365日稼働という特性上、ランプ交換のたびに高所作業・夜間作業を要し、年間保守費が膨らんでいた。
早朝・深夜など旅客が少ない時間帯も固定照度で点灯しており、電力のムダが大きかった。とりわけコンコースや通路は日中と深夜で必要照度が大きく異なるにもかかわらず、調光機能のない蛍光灯のままでは対応できていなかった。
「深夜便が終わった後の2〜3時台が一番の心配でした。保守員が梯子を立てて電球を換えている間、お客様は通り過ぎていく。恥ずかしいというより、危険だと思っていた。LED化後は3年間ランプ交換ゼロ。それだけで導入した価値があります」— 国内地方空港ターミナル 施設管理担当者
以前、コスト削減のために搭乗口エリアのみ先行してLED化を行った。その結果、旧蛍光灯エリアとLEDエリアで色温度が2,000K以上異なり、ターミナル内の色ムラがかえって目立つ事態に。利用者から「なんか気持ち悪い」という声も届いた。部分的な入れ替えは色ムラを生むため、ゾーン設計を統一した全面刷新が正解だった。
→ 教訓:大規模施設のLED化は「全体のゾーン設計→統一した色温度」で進めること。場当たり的な部分置換は視認性の悪化と印象低下を招く。
4ゾーン設計と照明仕様
消費電力:576W実効(調光60%平均)
演色性:Ra90 / 色温度:4,000K
照度:500lx(早朝便)→ 150lx(深夜)
面積:400㎡
消費電力:800W
演色性:Ra90 / 色温度:4,000K
照度:400lx均一
面積:350㎡
消費電力:240W実効(調光30%深夜平均)
演色性:Ra85 / 色温度:4,000K
照度:300lx(日中)→ 100lx(深夜)
面積:300㎡
消費電力:72W実効(稼働率15%)
演色性:Ra80 / 色温度:4,000K
面積:150㎡
| ゾーン | 面積 | 旧消費電力 | 新消費電力(実効) | 削減率 |
|---|---|---|---|---|
| Zone A ロビー | 400㎡ | 1,800W | 576W | 68% |
| Zone B ゲート | 350㎡ | 1,400W | 800W | 43% |
| Zone C 通路 | 300㎡ | 900W | 240W | 73% |
| Zone D バック | 150㎡ | 500W | 72W | 86% |
| 合計 | 1,200㎡ | 4,600W | 1,688W | 63%削減 |
※実効電力は各ゾーンの調光率・PIR稼働率を加重平均した値。旧照明比で消費電力63%削減・省エネ率53%(設備全体費用ベース)。
時間帯連動調光スケジュール(Zone A・C)
| 時間帯 | Zone A 調光率 | Zone A 照度 | Zone C 調光率 | Zone C 照度 |
|---|---|---|---|---|
| 早朝便 05:00〜08:00 | 100% | 500lx | 80% | 240lx |
| 午前 08:00〜12:00 | 90% | 450lx | 70% | 210lx |
| 午後 12:00〜18:00 | 90% | 450lx | 70% | 210lx |
| 夜便 18:00〜22:00 | 80% | 400lx | 60% | 180lx |
| 深夜 22:00〜05:00 | 30% | 150lx | 20% | 60lx |
航空機の発着スケジュールと連動させ、便が集中する早朝・夕方便の時間帯に最大照度を確保。深夜便のない閑散時間帯は大幅に調光し、電力消費を最小化した。深夜の30%調光でも最低保安照度を維持し、警備員・清掃員の業務に支障のない明るさを確保している。
経済効果の内訳
| 項目 | 旧照明(年間) | 新照明(年間) | 削減額 |
|---|---|---|---|
| 電気代(24時間稼働ベース) | 67万円 | 32万円 | 35万円 |
| ランプ交換・保守作業費 | 20万円 | 6万円 | 14万円 |
| 合計 | 87万円 | 38万円 | 49万円 |
施工費150万円 ÷ 年間削減額49万円 = 投資回収 3.1年。10年間累計削減額は338万円(施工費差し引き後)。COBテープの公称寿命約40,000時間(24時間稼働で約4.6年)。計画交換を2回行っても十分な長期収支優位を確保できる。
空港ターミナル特有の導入メリット
■ 旧Hf蛍光灯の問題点
- ✗ 深夜帯も固定点灯でムダな消費
- ✗ ランプ寿命8,000h → 年2〜3回交換
- ✗ 高所器具の交換に脚立・夜間作業が必要
- ✗ 演色性Ra70台で掲示物の色再現が低下
- ✗ 点灯まで10〜30秒の予熱時間
■ COBテープLED導入後の改善点
- ✓ 時間帯調光で深夜電力を最大70%削減
- ✓ 寿命40,000h → 約4.6年ぶっつけ稼働
- ✓ テープ交換は脚立不要の簡易作業で完了
- ✓ Ra90高演色で案内表示・サインが鮮明に
- ✓ 即時点灯(0秒)・停電復帰後も瞬時再点灯
特にPIR連動のZone D(トイレ・バックヤード)は稼働率15%まで圧縮でき、保守員・清掃員が通過する時だけ点灯する設計で大幅な電力削減を実現した。
COBテープ選定のポイント
Ra90高演色で案内サイン・掲示物の視認性が向上
空港内の搭乗口番号・フライト情報表示・商業テナントのディスプレイは、演色性が低いと色味がくすんで見え、視認性が低下する。Ra90の自然光に近い発色で掲示物の色再現が大幅に向上し、利用者の快適性と安心感が増した。
調光対応で便スケジュールに合わせた照度制御
0〜100%の無段階調光が可能なCOBテープを採用し、航空便の発着スケジュールに連動した5段階タイマー制御を実装。省エネルギー法のBEMS(ビル管理システム)と連携し、電力使用量の見える化にも対応している。
薄型テープで既存天井に低侵襲施工
旧器具を撤去後、天井凹部・溝にCOBテープをアルミチャンネルでマウントする工法を採用。ターミナル建築の外観を変えず、分割夜間工事で営業を止めずに全施工を完了した。
施工概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象施設 | 国内地方空港ターミナルビル(ランドサイド+エアサイド) |
| 床面積 | 1,200㎡ |
| 旧照明 | Hf蛍光灯(Hf32W・Hf86W 器具230台) |
| 新照明 | 調光COBテープ(12W/m・10W/m・8W/m・6W/m)+PIRセンサー |
| 施工方法 | 夜間分割工事(ターミナル運用時間外)・3週間で完了 |
| 調光システム | タイマー連動ディマー(5段階プログラム・BEMSオプション対応) |
| 施工費 | 150万円(材料費・工賃・旧器具撤去処分費含む) |
| 保証 | COBテープ3年・ドライバー電源3年・PIRセンサー2年 |
2027年問題:蛍光灯フェーズアウトへの対応
よくある質問
Q. 空港ターミナルのLED照明で最も重視すべき仕様は何ですか?
A. 24時間365日稼働する空港施設では、長寿命(40,000時間以上)・調光対応・PIRセンサー連動の3点が最重要です。特に深夜帯の電力削減は年間コストに直結するため、時間帯連動の調光プログラムを組み込んだシステム設計が不可欠です。
Q. 空港など24時間施設でLED化の費用回収はどのくらいかかりますか?
A. 24時間稼働施設は点灯時間が長い分、LED化による省エネ効果が大きくなります。今回の空港ターミナル事例では施工費150万円に対して年間49万円削減を実現し、投資回収期間3.1年を達成しています。施設規模・旧照明の種類によって異なりますので、現地調査を元に試算いたします。
Q. 2027年問題は空港・交通施設にどう影響しますか?
A. 24時間稼働の交通施設は蛍光灯の消費量が多く、2027年の生産終了後に調達困難・価格高騰の影響を最も受けやすい業種のひとつです。緊急交換ができない状況になると空港運営に支障をきたすため、早期のLED移行計画立案が推奨されます。
空港・交通施設のLED照明リニューアルをご検討中の方へ
LED PRO SHOPでは業種別の最適なLED照明製品を取り揃えています。色温度・演色性・防水規格ごとに絞り込んで、施設に合った製品をお選びください。
LED製品一覧を見る →