蛍光灯の高色温度・低演色性ではプレミアム感を演出できず、搭乗までの滞在体験が損なわれる。Ra95・3000K調光対応LEDで解決した800㎡ビジネスラウンジの施工記録。
今回の対象は国際空港内に設置されたビジネスラウンジで、広さ800㎡・座席数200席。航空会社上位会員・ビジネスクラス搭乗客・空港カード会員が利用するラウンジで、食事・シャワー・ビジネス作業・仮眠まで対応する多目的施設です。
リニューアル前は昼白色蛍光灯(5000K・Ra76)を主照明として使用。空港の一般エリアとほぼ同じ照明環境のため、「ラウンジ感が薄い」「落ち着かない」という利用者の声が継続的に寄せられていました。また24時間営業のため年間稼働時間が長く、照明電力コストが大きな課題になっていました。
消費電力は旧設備の40%まで圧縮。24時間365日稼働するラウンジの年間電力料金を大幅に削減し、96万円のランニングコスト削減を実現しました。照明の色温度を3000K温白色に統一したことで滞在満足度アンケートの「快適性」スコアが向上し、長寿命LED(40,000時間以上)により24時間稼働でも交換頻度が大きく下がりました。
| 項目 | スペック | 選定理由 |
|---|---|---|
| 演色性 | Ra95以上 | 料理・内装素材・肌色が正確に再現されプレミアム感を視覚的に担保 |
| メイン色温度 | 3,000K(温白色) | リラックスと清潔感を両立するラウンジの黄金色温度 |
| 朝間色温度 | 4,000K(白色) | 早朝フライト前のビジネス作業・食事タイムの視認性向上 |
| 夜間色温度 | 2,700K(電球色) | 深夜帯の仮眠・リラックス滞在に向けた落ち着いた演出 |
| 調光方式 | DALI制御(1〜100%無段階) | 時間帯・イベント別に照明シーンをタッチパネル1操作で切替 |
| ダウンライト | COB LED 30W相当 Ra95 | グレアを抑えた広角均一照射で長時間滞在でも目が疲れない |
| ペンダント照明 | LED電球型 E26 / Ra95 / 2700K | 個席・ソファエリアの雰囲気演出と食卓への集中照明 |
| 間接照明 | 高演色LEDテープ 3000K / Ra95 | 天井・壁面のコーブ照明・建築光で高級感を演出 |
| 非常灯 | LED誘導灯・航空法準拠仕様 | 空港施設基準に適合した緊急時対応設計 |
① 24時間稼働に耐える長寿命・放熱設計
空港ラウンジは年間8,760時間近く稼働します。一般オフィス(約3,000時間/年)の3倍近い稼働時間のため、LED器具の放熱設計が品質を左右します。今回は熱抵抗の低いアルミヒートシンク搭載のCOB LEDダウンライトを採用し、寿命40,000時間以上を確保。交換頻度の大幅削減と保守コストの最小化を両立しました。
② DALI調光で時間帯別シーンを自動切替
「早朝のビジネス対応(4000K/明るめ)」「昼食タイムのダイニング演出(3000K/中)」「深夜の仮眠対応(2700K/暗め)」の3プリセットをDALIコントローラーに登録し、タイムスケジュール機能で自動切替。スタッフの手動操作が不要になり、時間帯ごとに最適な照明環境が常時維持されます。
③ Ra95で食事・内装の高級感を視覚的に担保
ラウンジの「プレミアム感」は食事と内装の見え方で決まります。Ra80の照明ではサーモンの赤みが失われ、革張りソファの質感が伝わりません。全ゾーンにRa95以上を採用することで、ビュッフェ料理の色鮮やかさと高級素材のテクスチャを正確に再現。「照明で高級感を下げない」設計が、ラウンジ利用者の満足度に直結します。
| 項目 | 旧(蛍光灯) | 新(LED) |
|---|---|---|
| 照明消費電力 | 約 28,000W | 約 11,200W |
| 年間電力料金(照明分) | 約 160万円 | 約 64万円 |
| 年間削減額 | ▲96万円 | |
| 電球交換コスト(年間) | 約 22万円 | 約 3万円 |
| 初期投資(概算) | — | 約 270万円 |
| 投資回収期間 | 約 2.8年 | |
※電力単価28円/kWh、年間稼働8,000時間(24h×約333日)で試算。空調コスト削減分は含まず。
空港ラウンジのLED化は、省エネ効果と同時に「滞在体験の質」を大きく変える投資です。24時間稼働施設だからこそ電力削減の絶対額が大きく、年間96万円の削減は2.8年での投資回収を可能にします。
Ra95・3000K温白色というスペックは、蛍光灯時代では実現できなかったラウンジ固有のプレミアム感を照明から生み出します。「ここにいると落ち着く」という体験が、カード入会や上位クラスのアップグレード需要につながる—空港ラウンジの照明は単なる設備ではなく、ブランド価値を支えるインフラです。